- [ 感 想 ]
(注)[ 感想 ]にはかなりのネタばれが含まれています。
- 詳細なストーリー(特に結末)を知りたくない方は読まないで下さい。
とにかく出演者が豪華。
上記の他にもルトガー・ハウアー(ロアーク枢機卿)、イライジャ・ウッド(ケビン)、ジョシュ・ハートネット(ザ・マン)、ブリタニー・マーフィ(シェリー)、マイケル・クラーク・ダンカン(マヌート)などなど。
原作のコミックは読んだことがないので、どの程度原作に忠実なのかは分かりませんが、パンフレットに掲載されている原作キャラと比べると結構似ているのではないかと思います。
ハーティガン(ブルース・ウィリス)はあまり似ていないと思いましたが(笑)。
設定としては、最初の登場がもうすぐ60歳。続いて舞台はその8年後なので、ブルースは70歳近い役柄のはずですが、そうは見えませんでした。白黒であまり顔がはっきり映っていないせいもあるかもしれませんが、設定の割には若い感じ。
映画のパンフレットによると、ロドリゲス監督は「「こちらブルームーン探偵社」シリーズが大好きだったんだ。白黒画面に映るブルースはカッコいいよね」と語ったとか。素晴らしい(笑)。
白黒の話があったことを覚えてるなんて、監督は本当に「ブルームーン」のファンだったのかも!
さて。本編ですが…とにかくモノローグの多い映画でした。
多いというか全編モノローグといっても過言ではないような勢いで、絶えず誰かの声が聞こえていました。
ちなみにモノローグ担当はザ・マン、マーヴ、ハーティガン、ドワイト。
一様にぼそぼそと静かに話すため、誰が誰だか…。
ハーティガン刑事だけは分かりましたけどね(ファンですから!)(笑)。
でも、この同じような声でたくさんの台詞(結構早口だったってことは、それだけ台詞量が多かったということでしょう)をずーっと聞かされ続け、映画が終わった頃には頭痛が(^^;)。
体調が悪いときに見てはイケナイ映画です。
それから、食事の後も。←食事中ももちろんダメ(笑)。
とにかく気持ち悪い描写がいっぱいです。
この映画は基本は白黒。その中で赤色や黄色が効果的に使われていて、作品独特のムードを盛り上げています。映画を見る前は作品世界を壊さないためにそういう演出にしたのだろうと思っていたのですが、実際に映画を見て思ったのは、あれをフルカラーで映画化するのはムリだろうな、と。
撃たれる。切られる。潰される。もう血まみれです。
しかし、バイオレンス・ムービーというわけでもない。
あまりに非現実的、漫画的なので、「き、気持ち悪い…(-_-;)」とは思うけれど、ヤリ過ぎ、イキ過ぎてて笑える、みたいな感じです。
暴力が主題でもないですしね。
基本はハードボイルド。エグいハードボイルドといったところでしょうか。
ドワイトの台詞「死ぬのも男。皆殺しにするのも男」や、マーヴやハーティガンのパートで出てくる「夢のような女」という台詞がこの映画の主題ではないかと思いました。
映画の中には女性が闘う描写もたくさん出てきますけどね(笑)。
でも、女性が闘うのは自分たちのためなんです。
でも、主役の男たちが闘うのは自分にとっての女神のため。
ブルースの出番はそれほど多くないはずですが、見せ場が最後にあるので何となくそれに誤魔化されている感じです(笑)。
私的にツボだったのは、病院のベッドに横たわり助けた少女に微笑むブルース!
優しそうでとっても素敵です。
そして、8年後に酒場でナンシーと再会するシーン。
偶然ライトを浴びて暗闇の中に一人浮かび上がるハーティガンを見たナンシーが「彼だ!」と気付くシーンなのですが、このときのブルースが凄くカッコ良い!
また、ここはカッコ良くなければならないシーンなのです。
マーヴにとってのゴールディが運命の女であったように、ナンシーにとってのハーティガンもまた運命の人なのですから。
白黒の世界で彼だけが光り輝いている。
劇的な再会の瞬間をとてもよく伝えていたと思います。
効果的な演出といえば、ハーティガンがジュニアの手によって首吊りの刑に処せられるシーンで、一瞬、音も映像も消えて真っ暗になるんです。
怖いほどの静寂。
自分もハーティガンと同じように死の淵を覗いたような気分になりました。
面白い演出といえば、冒頭のジョシュ・ハートネットとマリー・シェルトンがキスする場面で、二人の間にハート型の空間が生まれていたように見えたのですが…。私の気のせいかもしれません。
キスシーンはどれも美しかったですね。優しいキス。激しいキス。色々ありましたけど。ブルース・ウィリスとジェシカ・アルバのキスシーンも素敵でした(^^)。
前半はとにかくマーヴ。彼が主役でした。
恐ろしい外見や行動を見せられてもなおマーヴを可愛く思えるのは、彼が男の純情をめいっぱい表現してくれるせいだと思います。結局、ゴールディがマーヴに近付いたのは自分自身のためだったと知っても、彼女を神聖視していたり。
最後は死刑になってしまいますが、地獄でゴールディと抱き合えるなら、彼にとって地獄は天国ですね。
中盤はドワイトが主役のはずですが、個性的なキャラに囲まれて、正直主役の影が薄かったです。
日本刀を振り回すミホ(デヴォン青木)。
セクシーでタフなゲイル姉さん(ロザリオ・ドーソン)。
そして何よりジャッキー・ボーイ(ベニチオ・デル・トロ)!
生きてるときも強烈でしたが、死んでからがまた凄い!(笑)
運転席にはドワイト。助手席にはジャッキー・ボーイ(死体)。
ドワイトの妄想の中で二人は会話をしながら車を走らせるのですが、このときのジャッキー・ボーイが車が揺れるたびに頭がカックンカックンして、いかにも死んでるっという感じだったのが不気味でユーモラスでした。白バイに止められたときは頭からダッシュボードに突っ込んで、いかにも眠っているふうを装ってくれたのも笑えました。
ハーティガンの最期を見たら、北条司さんのコミック「シティーハンター」を思い出しました。昔、主人公の冴羽リョウがアメリカでケニーというオジサンとパートナーを組んでいた頃の話なのですが、ある組織から「冴羽を殺せ。さもなければ娘を殺す」と脅されたケニーは、要求を断った後、娘のソニアを守りつつ組織から逃げ延びるのはムリだと判断。わざと死を選ぶのです。(もっとも、ケニーは自殺ではなく、無理矢理リョウと決闘してその銃弾に倒れるわけですが)
これも男性にとってはひとつのロマンなのでしょうか。自分の死と引きかえに愛する者の命を守る。
ちなみに3つの話はあまりリンクしていません。
同じ場所や同じ人は出てきますけど。
映画的にはハーティガンの話よりマーヴの話が先に完結してしまいますが、実際の時間的にはハーティガンの話の方が先だったりして、1度見ただけでは時間軸の判断が難しかったです。
再度見て確かめたい気もしますが…。
後日DVDで必要な場面だけ見てチェックすることにします。
全編見るのは私にはキツいので(苦笑)。
最後に。
この映画は男の夢やロマンに溢れ、男性には非常に楽しめる内容になっていると思いましたが、グロテスクな暴力シーンが多々登場するため、こんな映画を「大好き!」と言われた日には思いっきり引くなぁ、と思いました(^^;)。
そんな映画です。
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