しずちゃんと、としおくん

しずちゃんと、としおくん


「あ、しずちゃん、いらっしゃい。」
「おばさん、こんにちは。」

「おれ、しずと出かけるから。」
「あ、そうか、デートね。楽しんでおいで。」

「あ、としおちょっと。」
「なんだよう」
「ラブホの、ゴムはあてにならないよ、これ持っていきなさい。」
「え?」
「だって、あれ使ったら、あんたができちゃったのよ。で、のぼるさんと結婚することになったの。」
「ひ、な、なんと・・・・。」
「まあ、どっち道そのつもりだったんだけど。」

「うぐぐ」
「どうしたの?」
「とんでもない話、聞いちゃった。」
「おばさん何か言ってた?」
「それがさあ・・・」

しかしか、かくかく・・・・

「ええっ・・・」
「はあ・・・・」

「もう、とんでもない親だ。昔からそんな調子だったわけか。」
「・・・・・・・・」

「とりあえず、何か食べに行こ。」
「うん、そうね。」

ハンバーガーとか、そんなものを食べると、二人は手をつないで、町の散策。
二人で居たら何でも楽しく感じてしまうのです。

「あ、これ、かわいい。」
「ふうん、しずはこんなのが好きなんだ。買ってあげよか?」
「あ、いいよ。ちょっと思っただけだし。」
「でも、ほら・・・」

「あ、うれしい。としおありがとう。」

ほほえましい二人です。

「あれ、日が翳ってきた。」
「というか、夕方が近づいてるんだ。」
「あのさ、あれ、おばさんがくれた・・・・」
「ん?しずは使いたいのか。」
「いやっ、そういう訳でもないんだけど、折角とか・・・。」
「うう、僕もその、気になってるんだけど。」

しずちゃん、俯きながら、上目がちにとしおくんを見つめた。

 

「ただいま」
「お帰り、あら、しずちゃんもいっしょ?」
「おばさん、ただいま。」
「としお、変なことしなかった?」
「これ、買ってくれた。」
「あら、としおいっちょまえのことして・・・」
「う、うるさい」
「もうほんとうに、愛想が無いんだから。で、使った?」
「何をさ。」
「出かける時に渡したでしょ。」

しずちゃん俯いて、真っ赤になっています。

「ふーん、しっかり使ってるんだ。」
「何言ってるんだ」
「まだ、孫はいらないからね。」
「ぼく、しずを送ってくる。」
「しずちゃん大事にするんだよ。あ、行っちゃった・・・・。」

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あちらのカップルがデートしたのでこちらも、ということですが

としおくんの、両親、そんなことがあったんですね。

かあちゃん、避妊具にこだわるのも、むべなるかな。


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