【ルール説明】
〇基本ルール
・制限時間は3時間(180分)
・賞金は1秒につき100ガルドずつ上昇、逃走成功報酬は108万ガルド
・エリア内に設置された電話ボックスからは自首が可能。以降の敗者復活ゲームの参加権を失うかわりに、その時点での獲得賞金は保証される
・ハンターに確保されれば、その時点で賞金は0となる
〇特別ルール
・治療目的および回復魔法以外のすべての戦闘行為を禁止する(例:×魔神剣、○守護方陣)
・走行姿勢など、逃走行為に弊害が起きる衣装は、自身の称号衣装に限り、ゲーム中であっても変更可能(これにより何人かがマント&鎧&ジャケットをオフ)
〇ハンターは自身を強化する術技のみ使用可能(例:×ピコハン、○鋭招来)
「あー!みんな久しぶりだね〜〜♪」
何かの神殿の中のような回廊に集まった逃走者たち。
すでに何度か共演を果たしている顔ぶれもあり、特に古参でもあるファラが集団の中に飛び込んでいった。
「よっ、元気にしてたか?」
「久しぶりユーリ、フレンも元気そうで良かったよ」
「アスベルもね」
「言っとくが、賞金は俺とルカが頂くからな」
「ええ!?困るよ〜、賞金獲れないとトイレ掃除させられ……」
「飛燕連脚(黙れこのスカタンが)!」
「すごい人数だな……」
「競争率高そ〜……」
初対面の者は自己紹介を、そうでない者は近況報告と会話に花を咲かせる中、
「なぁガイ、あれ……」
「どうした?…………げっ(汗)」
アビス組が見つけたのはハンターボックス………の中で待機している、4体のハンター。
「く、クロトア!?」
「アルタークもいるぞ!?」
「うわぁ……ルーナシエラとラオティールまでいる………」
「しかも全員、『盗賊』のレディアント装備にジェットブーツ、だと……?」
逃げ切れる気がしねぇ〜〜〜!!
それまで賑やかに話していたのが一気に静まり返る。
と同時に、スタートゲーム開始の合図の銅鑼が鳴った。
『【スタートゲーム】テイルズ オブ ブラックジャック
事前に抽選で選ばれた5人がサイコロを振る。
5人全員が振り終わった段階で、出た目の合計が21以下ならクリア。
先行逃走時間3分が与えられる。
しかし21を超えれば、その瞬間にハンターが放出され、逃走者の確保に向かう。
抽選で選ばれた逃走者は、ヴェイグ→ジュード→マルタ→スタン→ユリウス
(ちなみに、巨大サイコロ提供→マリク)』
「ユリウスさん、こういうバラエティー系は初参加ですけど、大丈夫ですか?」
「運に頼った勝負はあまり経験がないな。ま、ルドガーが逃げられる時間は稼ぐよ」
「兄さん……(キュン)」
「え、おたくら兄弟だよな?」
ファンタジア組とエクシリア2組が漫才をしている間に、静かにヴェイグが1投目を振る。
「いやせめて一言なんか言えよ!?」
ティトレイ、正論。
さて出た目は、
『1』
「………………しょぼ」
「うるさい」
「ジュード、次は君だ」
「うん、ミラは走る準備してて」
「いやまだどの目が出ても大丈夫だから」
ティトレイ、今回は珍しくツッコミ役か。
2投目は、
『2』
「……次、もしかして3かな?」
「エミル、そういうのは思ってても言っちゃダメ。じゃ、マルタいっきまーす!えいっ」
3投目、『3』
……………………………………。
…………現実にサイコロ振ってますよ?ちなみに念のため4投目振ってみたら『4』が出ました。
サイコロの神光臨?(by筆者)
とにかく、この時点でスタートゲームのクリアが確定。
先行逃走時間3分が与えられる。
「……なんか釈然としねぇ」
「ルーク、しっ」
「にしても、あっちーなココ。イフリートの洞窟より暑ぃんじゃねぇの?」
スタート地点から全力ダッシュで離れたリッドは、顎の下へ流れる汗を拭った。
いくら全力で走ったとはいえ数十秒のこと。ここまで汗をかくはずがない。
「そういや地図ちゃんと見てなかったな。
えーっと…………へ?『地獄』?」
リッドが広げた逃走エリアの地図の右上端には、しっかりと『日本・八大地獄』と書かれていた。
今回の逃走エリアは『日本地獄』。
広大なその敷地の中でも、特殊な術で空間を繋げた特設ステージは、実に東京ドーム3個分を誇る。
正真正銘、魑魅魍魎蔓延る、亡者たちの裁判所兼刑場だ。
広さはもちろんだが、地獄の業火による熱気も逃走者たちの体力を奪う。
いかにスタミナを温存しながらゲームに臨むかが、逃走成功の鍵を握る。
エリアは大きく4つのエリアに分かれている。
1つ目は先程スタートゲームを行った『黄泉平坂』。
怪物・牛頭と馬頭が門番を努める、あの世の入り口であり天国と地獄の境だ。
薄暗い回廊の両側に、高く太い柱が無数に建っている。
2つ目は『第五裁判所・閻魔殿』。
文字通り閻魔大王が鎮座するあの世の裁判所のひとつで、御殿の中には勤務職員用の寮もある。
今回は関係者以外立ち入り禁止区域以外が逃走エリアになった。
3つ目は『衆合地獄・花街』。
一般的な繁華街で、飲食店や宿泊施設はもちろん、花街特有の店舗も多数軒を列ねている。
衆合地獄自体が色欲の地獄だからか、行き交う住民や獄卒も女性が圧倒的に多く、男性はどうしても目立ってしまう。
4つ目は『等括地獄・不喜処』。
動物を虐待し殺した亡者が堕ちる地獄だ。
等括地獄は殺しを専門に扱うが、地獄全体では最も軽い罪であり、故に亡者の数も最も多い。
R‐18Gが平気なら、紛れ込むにはちょうどいいかもしれない。
これらのエリアは屋内以外、すべて地獄の熱気が充満している。
果たして逃走者たちは、どのように動くのだろうか。
一方その頃。
「…………………………暇」
「仕方ないだろ、あともう少しの辛抱だ」
ハンターボックス内で待機中のディセンダーたちは暇を持て余していた。
そんな彼らにはフライング放出防止のために、巨大な矛と錫杖が突きつけられている。
その矛と錫杖を持つのは、それぞれ牛と馬の頭をした巨大な『ご婦人』。
「ごめんなさいねぇ、『ゲームはきっちりフェアじゃないと』って上から言われてるものだから」
「あともうちょっとだから我慢してねぇ?」
「いや、お嬢さん方も仕事なのだから仕方ない。我々も平気だから気にしないでくれ」
「あらぁ、お嬢さんだなんて嬉しいわぁ〜!ね、馬頭♪」
「そうね牛頭♪」
「………ルーナ、お前よく冷静だな」
先行逃走時間の3分が経過し、ついにハンターが放出された!
果たして逃げ切れる者はいるのか! ?
現在:残り時間180分。
残り逃走者32名。
脱筆:2014.11.13 加筆修正:2017.09.18