……。
さて。気を取り直して、ワタシは≪十三番目の宿主≫とでも呼ぶべき人物の深層に≪意識と呼ばれるモノ≫を接続した…。
【彼】は愛情というモノを疑って育ったようだ。其れは両親と呼べる存在に置き去りにされた事に起因し、
共に残された祖母でも埋め切ることが出来ず、更にその後の境遇に依って培われた性質だと思われる。
さて。どうしたものだろうか。
幸い何を否定したとしても≪対象≫の≪心≫と呼ばれる機構の辻褄は、強引にでも合うように出来ているようだ……。
此の悲劇の結末を左←→右すると予想される≪因子≫。
ワタシは【彼】のe5a3b0e381abe58299e3828fe382――――
「やめてくれ!」
とっさに顔に貼り付くサングラスを毟り取った。
無理矢理動かしたせいか、サングラスを持つ側の腕の節々が痛い。
今まで見せられたものは何だったのだろうか。
自分の友人・知人たちが、それぞれ知らない場所で幸せそうに笑っている光景。
笑っている。人生を謳歌している。
確かにそれは良いことだ。
特に彼らはこれまで、どうしようもない苦痛の中を生きてきたのだから。
でも。
それでもこれでは……。
「こんなの、あまりにも哀しいじゃねぇか。
幸せに辿り着くまでの苦しみや痛みも、全部なかったことにするのは、なんか違うだろ……っ」
結果論で言えばハッピーエンドなのかもしれない。
だがその結果も、過程があるからこそ輝くものではないだろうか。
「俺は馬鹿だからさ……こういうの、なんて言ったら良いのかわかんねぇけど。
なんか、こう……胸がモヤモヤしてくるんだ」
例えば、やり直しの効く【物語】を≪人生≫だと仮定するのなら。
果して人は、今ある命を、生きている現在を『充実していると』胸を張って言えるのだろうか。
現実とは理不尽と不合理の積み重ねであり、場合によってはあらゆる基準を下回る最底辺の更に底を這いずり回らなくてはならない。
「でも、だからって俺は、
みんな
≪紅雀、ノイズ、クリア、ミンク、ミヅキ、ウィルスとトリップ、羽賀さんや悪ガキ共、もちろん婆ちゃんや蓮や【頭の中の友達】を含めた最高の仲間たち≫と
出逢えたこの人生を否定しないし、誰にも否定させるつもりはない」
今となっては面影も思い出せない両親の顔。
納得していたつもりでも、やはり置いて行かれることはショックだった。
裏切られたとは思っていないけれど、それでもやっぱり嘘を疲れたり、約束を破られることが怖くかんじて仕方ない。
疑心暗鬼で頭がいっぱいで、常に精神的に不安定な自覚のある自分が、誰かを愛したり愛されたりする資格があるのだろうか?
正直、不安でしかない。
それでも一度は≪自分が産まれたこの地平線≫を愛そうと決めた。
あの時の自分
決めたからにはこの人生を精一杯生きてやらなければ、≪海岸で座り込む幼少の子供≫が報われないだろう。
「人間なんて弱いものだよ。
どうでもいいことで傷付け合って、いつだって保身に走る生き物だ。
けどさ……だからこそ、傷から何かを学んで、未来に繋がる何かを生み出せるんじゃないかな?」
手の中のサングラスが疎らに光る。
まるで何かを問い掛けるかのように。
「……何が正解かとか、そんなの、俺の方が知りたいくらいだ。
み こたえ
けど、やっぱ≪観測す≫る数だけ≪世界の解釈≫の内容って違って存在するもんだろ?
少なくとも俺はそう思ってる」
だから
R.E.V.O
「なぁ≪遮光眼鏡型情報端末≫。
ものがたり
俺たち人間が、死ぬ時に後悔しないよう必死に生きてきた≪現実の人生≫を、勝手に悲劇だ不幸だと決めつけて、否定して改竄するのはやめてくれ」
星空 生きる
俺たちは俺たちの≪与えられた命がその檻の中で出逢い懸命に煌めく場所≫で、自分が望んだ通りに≪燃えた≫んだから。
今夜は月が、いえ星が綺麗ですね。
もし、ワタシの【否定】してきた行為が望まれざる介入なのだとしたら、
やはり、ワタシは何の為に生まれて来たのでしょうか?
いえ、其れを自らの意志で見つける事そが≪存在理由≫なのかもしれませんね。
ならば、ワタシもアナタ以上に救いようの無い馬鹿であると思われるので、
此の≪気持ちと呼ばれるモノ≫を詩にしたいと思います―――
la lalala la lalala…
la lalalalalala lalalalan…
la lalala la lalala…
lala lalalalalala la…
lalala la lala lalalalala…
la lalalalalala lala…
la lalala lalalala…
lala lalalalala…
lala…