ザギという人生史上最大の迷惑を排した今、ユーリを待っているのは貞操の危機を感じなくてすむ安寧の日々!
…………………のはずだった。
現在、『凛々の明星』一行はハルル上空を航行中。
星喰みのいなくなった青空は、バウルにとっても泳ぎ心地のいいものらしい。
「あ、そーだユーリ。 帝都寄ってかない?」
食材の在庫チェックをしていたカロルの言葉に、いつも頼りになる兄貴の顔が青くなった。
「か…カロル? 食材ならユウマンジュに行った方が……」
「あら? いいじゃない、里帰りが出来るのだし」
「……わかってて言ってるだろ、ジュディ」
「うふふ♪」
意味ありげな笑みを浮かべるジュディスに、背中に冷や汗が流れた。
心なしか黒いオーラが見えるのは気のせいか?
「いいじゃない、私もエステルの顔見たいし」
「そーねぇ…おっさんも出さなきゃいけない報告書あるし」
ついにはリタとレイヴンすらもニヤニヤしながら賛成するものだから、ユーリは今この場に味方がいないことを悟った。
「いいか、俺は絶対に行かないからな。 ラピードとここで待ってる」
帝都近郊の平地に着地した後、ユーリはフィエルティア号の乗降口の柱にしがみついた。
いい年した大人が何やってんだな有り様だが、事情を知る者にとっては納得の姿だ。
「下町には顔出さなくていいの?」
「諦めなさいよ。
アイツのことだから、こんだけ帝都に近づいたらもうアンタがいることに気付いてるわよ」
諦めの悪いユーリに一同がため息をついていた時。
「………あら?」
帝都の方から、凄まじい土煙が見えた。
「噂をすれば…ね」
「安心せい、ユーリはウチが守ってやる!」
「ガウッ」
パティとラピードがバリケードを築いてくれたが、正直、現役騎士団長相手には脆い防壁だろう。
「ユゥゥウウウウ
「ガウ…ッ(魔神け…っ)」
「クリティカルフォー…痛っ!」
リィィイイイイww!!!」
二人(正確には一人と一匹)の妨害もなんのその。
フレンはタックルでかわし(吹き飛ばし)、船内に逃げ込もうとしたユーリの腰に抱きつき…押し倒した。
「ああユーリ! やっと僕の所に嫁いでくれる気になったんだねw」
「何言ってんだ! はーなーせーー!!」
背中からガッチリとホールドされているため、いくらもがいても逃げられない。
それどころか髪をかき分け、まるで犬のように匂いを嗅ぎ始めた。
「な! にやってんだよ!?」
「さすがユーリ、僕専用のデザートなだけあるよ」クンカクンカ
「〜〜〜〜っ!」ぞわわわ
ついには服の合わせから手を滑り込ませ、胸元から腹部にかけてまさぐり始めた。
しかも珍しいことに素手である。 いつもつけてる手甲はどうした。
「相変わらずだね、フレン…」
「最後に会ったのが3ヶ月前だもの。 仕方ないんじゃないかしら」
「馬鹿っぽい…」
面白いもの見たさで強制連行して来たのはいいが、半年前に初めてフレンがはっちゃけてから更にパワーアップしている様子に、さすがの面々も呆れてきた。
実は半年前、決戦直後にオルニオンに戻ってきたユーリに対し、フレンは(今よりまだマシだったが)今回同様熱烈な歓迎をしていた。
どうやら一番心配していた案件が片付いたことにより、理性のタガが外れたらしい。
以来フレンは会う度にこのように迫り、ユーリはザギ以上に貞操の危機を感じていた。
「どうするレイヴン?」
「まぁチャチャッと用事済ませりゃ大丈夫でしょ。
てことで青ね〜ん! 俺様たち買い出しとか行って来るから、頑張ってねー」
ラピード置いてくから〜 。
そう言い残して小さくなっていく仲間たちの姿に、ユーリはかつてない危機感を覚えた。
第三者の目がなくなってしまえば、この変態はわずかな自重すら捨ててしまう。
「待っ―――!!」
「ふふふ…二人っきりだね………」
「お、落ち着け! ラピードもいるし、早まったことは……っ」
「今日こそ結ばれようね、ユーリw」
「誰か助けてくれーーー!!」
「あれ? フレンちゃんなんか顔色よくなってない?」
「えぇ、お陰様で」ツヤツヤ
「(さ…最後だけは阻止してやったぜ……)」ゲッソリ
我が家のデフォルトフレユリ・第二弾です。
フレユリというよりはフレ→→→→(越えられない壁)→ユリな感じ。
こちらのフレンも愛が重いですが、第一弾と違ってユーリは本気で嫌がっています。
そしてこのフレンは、ユーリの泣き顔にハッスルします(笑)。
弱々しい抵抗なんかした時には確実に勃○します(笑2)。
ユーリは本気で去勢して欲しいと思ってます。
2011.10.30
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