<海外から見た天皇>

外交儀礼(プロトコル、国際礼儀)における天皇の位置づけについては、国際的な慣行により次のような取り扱いがなされる。

第1位 天皇・皇帝・女帝(Emperor,Empress)
第2位 ローマ教皇(Pope)
第3位 国王・女王(King,Queen)
第4位 大統領(President)
第5位 首相(Premier)

2006年現在の世界では、最上位の天皇・皇帝・女帝の位を有するのは日本国天皇のみとされている。学問上の定義として、天皇と皇帝は異なるという理由により、一部の学者等からは、英訳呼称として”Emperor”ではなく、”Tenno”が提唱されたこともあるが、実際の国際慣行においては、日本国天皇は皇帝(エンペラー、カイザー)として扱われている。

 プロトコルの存在を示す実例としては、以下のことが挙げられる。

@ 国際的な場でイギリスのエリザベス女王が日本国天皇と同席するときは、天皇に上座を譲る。
A 天皇・皇后が訪米する時は、アメリカ大統領は白ネクタイで出迎える(この方法はアメリカ大統領の最敬礼の方法で、現在その対象となるのは、日本国天皇、ローマ法王、英国国王のみ)

なお、これらの扱いはあくまで外交儀礼上かつ相対的なものであって、現実の国際社会の様々な局面においてまで「日本国天皇が世界中で最も地位が高い・権限がある」等々のことを示すものではない。

 昭和天皇の大葬の礼の際には世界の163ヶ国の国家元首や首脳と17の国際機関の関係者が参列に訪れ、親日国のインドは3日間、ブータンでは1ヶ月間喪に服した(日本は2日間)。

 しかし、諸事情により上記と異なる扱いとなる場合もある。一例としては、中国からは会食の際、天皇並皇后席が江沢民国家主席(当時)を中心にはさむ様にされ、韓国からは金大中大統領が天皇に道を譲らない等、最上とはいえない待遇を受けることもあった。

天皇の訳語は英語で皇帝を表す「エンペラー」と呼ばれ、おおむねの国はこのような訳語を使用している。ただ大韓民国では、皇帝とは複数の国を治める王のことであり、天皇は日本一国のみの統治者であるとして、皇帝より一段低い呼び名である王を使い、日本の王という意味である「日王」と言う呼び方をする場合がある。韓国でこのような呼び方がされる理由には、韓国併合後、高宗の呼び名を「皇帝」から「王」にされたためとも、反日感情のためとも言われている。