印象派の音楽家たち
ドビュッシー と ラヴェル
≪時計造りの名匠のように精巧で繊細≫
西洋の伝統音楽の歴史を、ものすごーーく、大まかに・・
@ 古代ギリシャの音楽
A キリスト教の音楽、ルネサンスの音楽
B 「バロック音楽」(17世紀・王侯貴族の宮廷音楽)
ポリフォニーの音楽・・・ヴィヴァルディー、バッハ、ヘンデル etc.
C 「古典派の音楽」(18世紀)
バロック音楽よりもメロディーのはっきりした(和声感を重視した)、親しみやすいホモフォニーの音楽
モーツァルトやハイドン
D 「ロマン派の音楽」(19世紀)
百花繚乱!ベートーヴェンより、シューベルト、ショパン、リスト、ワーグナー、etc.
そして・・・今回のテーマ、E 20世紀の音楽の幕開け・・「印象派の音楽」へ・・・
ドビュッシー(1862〜1918)の「牧神の午後への前奏曲」の初演は、1894年12月23日。これまで長い年月をかけて成長してきたヨーロッパの音楽の伝統が、この時点において全く新しいものへ移っていく出発点と言ってもよいでしょう。
「印象派」というのは、元来 モネ、ピサロ、ルノワール、ドガ 等、絵画の一流派の呼び名です。 彼らの画風は、常に変化する「光と影」の効果を表現すること。=現実そのものの明るさを再現することでした。 彼らは、スケッチブックを持って戸外に出て絵を描いた初めての画家たちです。そうする事によって、印象を 主観的に描くことになりました。 「印象派」という呼び名は、モネが描いた風景作品 『印象・日の出 』(1874年)に由来しています。 |
(この背景の壁紙は印象派の画家から頂きました。)
◆ 同時代の音楽家ドビュッシーは、絵画の世界に影響されつつ、「全音音階」や特殊な和音を用いることによって、この考えを音楽で実行したのです。
長音階と全音音階の違い 長音階は、1オクターブを@のように分けて成り立っていますが、 全音音階は、Aのように、1オクターブを全音だけで6等分した音階です。 Aにおいては、全ての音が対等の形で存在します。 (@のように、主音・属音・下属音の「機能を持つ音」がない。) したがって、Aの全音音階においては、調を表すことが難しくなり、そこに一種の特別な感じが生じます。 これが、ドビュッシーが用いた全音音階です。(彼は全音音階を用いて曲を作りました。) |
◆ そして、ラヴェル(1875〜1937)
ドビュッシーと共に、20世紀音楽の出発点として、
ダンディーでおしゃれ人間(笑)ラヴェルをあげる事ができます。
その手法において、印象主義ではあるけれど、ドビュッシーのそれとは
異なった要素を示しています。
ドビュッシーの音楽は、印象主義自体の響きの中に陶酔的な姿勢が強い!
しかしラヴェルは、それに古典的な客観性や形式性を裏付けるという姿勢。
それが彼の音楽をより知性的なものにしています。
(上は、ラベル作曲、「ボレロ」。バレエ音楽になりました。)
(有名どころばかりですが、やはりいい!!)
◆ ≪ドビュッシー≫
「牧神の午後への前奏曲」(管弦楽曲)
彼が、自己の語法を確立し、管弦楽作品に新しい領域を開拓した記念すべき作品!
彼以降のストラヴィンスキーをはじめとする多くの作曲家に影響を与えた。
「亜麻色の髪の乙女」(ピアノ曲)
ルコント・ド・リールの詩に霊感を得た曲。
彼が作曲において、まずメロディー先、和声が後に、という事をこの曲はよく表しています。
ポピュラーのコードネームを使う方がしっくりいきそう?
「月の光」(ピアノ曲)
ひそやかな、夜のしじまに射す月の光。庭園に手を取り合って歩む恋人たち。
噴水の水が音もなく風邪に散って・・・。全てが夢幻の世界。
ヴェルレーヌやワトーの詩を連想させる曲。
◆ ≪ラヴェル≫
「ボレロ」(管弦楽曲)
同じメロディーを楽器を変えて、9回 反復して終わり!(爆)
超単純にして、素晴らしい管弦楽法を見せ付けることになった強烈な作品。
ボレロは、スペインの民族舞踊。ラヴェルはバレエ音楽として作曲しました。(上の絵↑)
「逝ける王女のためのパヴァーヌ」(ピアノ曲)
僕は、この神秘的な雰囲気がとりあえず好きです。←僕のいちおし!(笑)
ある王女が誰を指すのかは不明。
ルーブルにあるヴェラスケスの描いた古いスペイン皇女の肖像に霊感を得たとも言われています。
「パヴァーヌ」とは、スペインに起源を持つ16世紀初頭の宮廷舞曲のことです。
「水の戯れ」(ピアノ曲)
「水に愛撫されて笑いさざめく河の神」というアンリ・ド・レニエの詩句が題辞として引用されてます。
この曲に示された、ピアノの音色の扱い方や表現法の新しさ!
そして、水は、光を反射し、まさに印象派の世界と言えましょう。