少しコツのいる種類の栽培ポイント

  • ギムノの強刺種「光琳玉」「天平丸」の栽培
  • 「兜」栽培のコツ
  • コーデックスの栽培

    ギムノの強刺種「光琳玉」(Gymnocalycium cardenasianum)の栽培について(天平丸等も準じる)


                                            2024,8月

    光琳玉はボリヴィア産の高山性サボテンの為多少暑さに弱く、南米産特有の作りにくさを
    あわせもっていて、銘品ながらなかなか大きく立派な株にすることはむつかしい。いくつかのポイントを
    ネットなどからひろってみました。

    写真の株は径8pぐらい。ここまではなんとか成長するものの、これから先が、なかなか難しい。
    ときどき、はるかに巨大で立派な株をみかけるが、成長につれて現地の特性を考慮に入れて栽培したいものです。


    *南米産の特徴としてより酸性土が望ましい。北米産も以前はアルカリ性土にするために古い本などでは
    石灰分の混入などが書かれていた。ディスコやユーベルマニア等はかなり強い酸性度にするために
    無調整のピートモスを混ぜる栽培家もいる。また、最近は木炭類もアルカリに傾くのでよくないのではと
    自分的に考えています。(ヤシガラ活性炭はPH8ぐらい)。
     また、原産地ではかなりの酸性の雨が降るようなので、ときどき木酢液(酢)をかなりうすめて潅水している。

    *高山性なので、夏は水を控え遮光下で休ませる。強刺の割に遮光50%以上でも問題ないようです。
     仙太郎くんはギムノは夏は外・・とわりきっているようです。
     間違っても夏に、フェロや有星類、牡丹類と同じ環境ではよろしくない。高温障害も出るようです。
    *3号、4号鉢位まではわりと問題なく育つようだが、ここから、1度拗れさせると見本のように刺も貧弱になり 
     茶膜も上がって見苦しい姿に。
     対策としては、毎年は排水のよい土に植え替えするか、接木で育て、ある程度大きく成ってから接ぎ降ろす。
     

    写真の株は、高温障害、南米病を経て、さらに下から老化が上がってきた。
    丈夫な株のようなので、これから回復につとめたい。

    *病気について
     ・ 黒腐れ病・・・成長点付近が黒くなり腐れが下に浸潤し広がっていく。進行するとほとんど
              助からない。
       梅雨から夏時期にかけて通風に努める。同時に、この時期に、2,3回殺菌剤を散布する。
     ・ 南米病(天平丸にも多い)
       成長点付近が焼けたようにケロイド状に傷ができ変色する。
              一度症状が現れると成長が著しく遅くなる。 
       ホウ素欠乏やマンガン欠乏の微量元素不足が要因と考えられている。
               高温なときほど微量元素が流失し、欠乏しやすいようです。
       PHがアルカリ性に振らない、弱酸性にすると良い。
      対策として、用土にホウ砂を混ぜる。症状の初期にボロン水溶液(ホウ酸を水に溶かす)を潅水する。
      時々、木酢液を薄めて潅水する。 
     

     

     

    「兜」栽培のポイント

       少し栽培にコツのいる品種の栽培講座2回目
    今回は兜。誰もがあこがれる品種ではあるが、もっとも多く腐らした種類ではないでしょうか。
    今は、栽培方法も進歩していろいろコツらしいこともわかってきたので、要点を整理してみます。
    1,原産地での様子からわかること。
     前会長の江隈さんによれば、谷底のサウナになるような場所に土に半分埋まっているという。
    一瞬にして眼鏡もくもるそうな。村主氏の本によると標高300mぐらいで小高い丘の裾野で
    泥に半分埋まっているらしい。
     当然、栽培にも高温が必要で、大体、40〜50℃の環境のようです。温度プラスもう一つの条件は、
    風にあてないこと。フレームなどで通風をはかると、温度も下がるし、保温の意味でも蒸しづくりが
    よいようです。それと、成長期(特に5月から夏)にはかなりの水分が必要でこの時期に水を切らすと
    腰折れやこじれの原因になります。
    2,植え替え
    小苗、中苗は、毎年、最低2年に一回は必要です。根をどの程度切るかは意見が分かれるところですが、
    温度の保てるところほどかなり切ってもよいようです。ポイントは根を切ったあとよく乾燥させることです。(一週間以上)。
    土は、それほど神経質にならずに、水はけのよい(現地の泥とは矛盾しますが)赤玉に鹿沼を少しまぜたものに
    肥料分のすくないバーク堆肥をくわえたものを使用します。ゴールデン培養土または山城のペレットをごく少量混ぜます。
     時期は、5月から6月にかけて。温度の高くなる時期がよい。ある名人の話しにならって菌の少ない1月に
    植え替えてみたが根が出ずにほとんどが腰折れ状態になった。要は、温度に注意して早く根を十分張らせることのようです。 3,水やり&遮光
     成長期には3日から1週間で十分潅水する。意外とはやく乾く。秋から冬にかけてはかなり少なくする。
    まったくやらないという人もいるが、鉢底を少しぬらすとか、株のまわり鉢の2〜3個所から底の方に水が
    少し行くぐらいに水差しで少量潅水する。鉢のまわりに潅水する底水という方法もあり。ポイントはとにかく
    腰折れを防ぐことです。温度条件も大切ですが、潅水もそれなりに気を配りたいものです。冬季の低温&過湿はNG。
     地面に潜るように自生しているので当然、強光線は苦手です。寒冷紗の切れ端をかぶせるとか、
    不織布をかけるとかします。(ティッシュ1枚ぐらいの遮光)
    4,接ぎ木
     かっての名人とよばれた伊丹勝吉さんによれば、「兜は短毛に接げ」だそうです。同じアストロフィツム属の新種の
    カプトメデューサはほとんど短毛丸に接ぎ木されています。アストロフィツム属は短毛丸の接台との相性がよいようです。
    以前、テキサス兜の短毛接ぎを栽培しましたが20年以上大丈夫でずい分大球に育ちました。他の、竜神木の接ぎ下しなどは
    しばらくしてダメになりました。そもそも、寿命の短いサボテンのようなので、正木でもはやく、大きく成長させたいものです。
    5,栽培設備の工夫


    @ハウス内に50℃近く温度の上がる場所を作る。園芸用の支柱をまげて、ビニールで覆いました。牡丹類も一緒に入れていますが
    ずい分吸水してご機嫌に成長しています。真夏もほぼこの状態ですが、遮光をプラスしています。
    A 小苗は、育苗箱にいれて、上から園芸用の不織布(ベタがけ一発)をかぶせる。保温と遮光の一石二鳥ですが、
    中が見えない。まわりのサボテンの刺によくひっかかるのが欠点です。
    追記 例会の討議から
    @ 植え替えるととにかくよく腐る。根のつけ根が痛む。→1か月以上乾かして5月に植える。根を整理したときに、
    バリダシン液剤などの殺菌剤につけてから乾かす。
    A 蒸しづくりにすると白点が汚れるのではないか?→ 定期的にベンレートなどの殺菌剤を噴霧する。潅水後少し通風する。
     

     

    コーデックス類の基本的な育て方


              2025年8月  神戸カクタスクラブ
    パキポディウムが代表的なコーデックスは、またの名を塊根植物と言い、茎や根が肥大化するものが多く、
    特徴的なフォルムが人気のある植物です。夏型・冬型など季節によるタイプの違いや、塊茎・塊根・灌木系など
    様々な種類が存在していますが、厳密にはどこまでが多肉植物でコーデックスと呼べるものなのか区別はあいまいです。
    中には気難しいものもありますが、丈夫な植物が多いので育てやすいです。
     基本的な栽培方法を説明します。種類別の栽培方法については、本やネット等に沢山情報がございますので参考にしたり、
    実際に育てている方と楽しく談義していただければと思います。

    1.ポイント
    @ 『日当たり』 成長期は日に良く当たる場所で管理します。光が足りないと徒長し、
      せっかくのフォルムが崩れてしまいます。
    A 『風』 風通しの良い場所で管理して下さい。植木鉢もスリットが入ったプラ鉢がおすすめです。
    B 『水』 乾燥にはとても強い植物達です。水のあげすぎで根腐れを起こして株をダメにしてしまうことが
      多いです。特殊な栽培を除いて、鉢がしっかり乾いてから水をあげて下さい。
    C 『環境』 霜には当てないで下さい。冬の夜間は室内に取り込む等の対策が必要です。
    D 『植え替え』 植え替えは成長期に行うのが良いです。夏型は春から秋の間、冬型は秋から春の間

    2.用土について
    水はけの良い清潔な用土を好みます。水はけが良ければある程度はどのような用土でも育ちます。
    これに緩効性肥料のマグァンプやオルトラン・ダイアジノンを入れています。
    栽培環境による所が大きく、人それぞれになってくるかと思います。水持ちが良すぎる様でしたら軽石や日向土の割合を足す。
    乾きすぎる様でしたら赤玉土の割合を増やせば良いと思います。

    3.タイプ別管理方法
    ■夏型
    成長期の春から秋は日当たり良く・風通りの良い場所で管理して下さい。水は葉が出始めたら徐々に量を増やしていきます。
    春先は表面が湿る程度。夏は乾いたらたっぷり。
    晩秋を迎え葉が落ちてきたら、日陰の風通しの良い場所で管理します。
    パキポディウム等の休眠期は水を切ってしまっても大丈夫ですが、オペルクリカリア等灌木類は休眠期でも湿る程度
    水を与えた方が良いと思います。
    ■冬型
    冬に成長する植物ですが、寒すぎるのは苦手です。真冬の夜間などは屋外での管理はできません。室内に取り込むか、
    ハウス等で温度管理が必要です。厳密には春秋型と考えると良いと思います。
    成長期の秋から春は日当たり良く・風通りの良い場所で管理して下さい。水は葉が出始めたら徐々に量を増やしていきます。
    秋は表面が湿る程度。冬は乾いたらたっぷり。
    春を迎え葉が落ちてきたら、日陰の風通しの良い場所で管理します。