前回は第三工程まででしたね、今回は第四工程(寸法だし)です
この第四工程(寸法だし)は第三工程で開けた所にもう一度矢を入れて全長を伸ばします
この時に抜きのヘソを入れます
抜きのヘソは第五工程で抜き芯を抜く時に必要です
これは後でお話しますね、(寸法だし)ですからこの工程で、図面寸法にします
でも、穴を抜く時に少し縮みますから(端面を押さえるなら、もっと必要ですが)0.1_位長くします
それと、圧造すると発熱しますから冷めると縮みます、肉厚・全長で異なりますが
今回の製品位だと、0.05_〜0.08_程縮むと思います、え!「たいした事無い」
とんでもないですよ、製品の寸法公差が0.2_〜0.4_程しか有りませんから
0.05_は大きいですよ、交差の1/4寸法が変るのですから
今回の製品の全長が60_ですから、交差をプラス0のマイナス0.2とすると60.00〜59.80_
と言う事に成ります、圧造して発熱した状態で、60.05〜59.95位を狙います(端面は押さえない)
もし、最終工程で端面を押さえるなら、60.20〜60.10位にしなければ押さえられないと思います
後は、実際に機械を稼動させて寸法を測定しながら調整します
因みに、第四工程の矢の寸法は第三工程の矢の寸法マイナス0.05_(先端ベアリング寸法)です
結構細かい仕事でしょう、(^_^;)矢の各部の名称を説明しましたね、多分まだですね(^^ゞ
これが、矢の各部名称です
(私が呼んでいる呼び名です、正式名称かどうかは定かでは有りませんので汗;)
前回もお話しましたが、この矢の材質はハイスと言います、
材質のお話は永くなるので又今度、ゆっくりお話したいと思いますm(__)m
このハイスと言う材質は非常に硬く成ります、そうです焼き入れをすれば
この矢の製造工程は、各メーカーで微妙に違うかも知れませんが、基本的には同じだと思うので
少しお話します、まず定尺(3m・6m)の材料をメーカーから購入して、寸法切りします
この矢の場合は、頭の径がφ13なので、材料はφ14を使うと思います、又長さは矢が160_に
設定しているので、165_位に切断すると思います、その切断された材料(棒)に先ずは
センター付けを行います、勿論両センターです、矢の頭にセンター穴が有ると
割れ易いので、最近は出センターを付ける事が多いです
上図の様に、両端に出センターを付ける加工を行います
次に荒加工をします、これは旋盤で矢の形に削ります
勿論焼き入れ後の研磨代は残して加工します
それから、焼き入れをしてシャンクを研磨して、ベアリングと盗みをNC旋盤で加工します
この時、コーティングの種類(大きく分けて2種類有ります)でコーティング後のシャンク研磨を
するか、しないかでシャンクの径が変ります
コーティングは高温コーティングと低温コーティングの2種類が有ります
高温コーティングとは、字の如く高温でコーティングを行います
高温のメリットは、コーティング層が非常に硬く、又母材に浸透(0.1_程)しますので、はがれ難く
丈夫で永持ちをします、でもデメリットは高温(1600度)近くまで温度を上げるので、コーティング後
歪が発生します、これは溶解ハイスよりも粉末ハイスの方が、歪がきついです
この歪を取って真っ直ぐにする為に、シャンク研磨が、必要です(短い物はしない場合も有ります)
低温コーティングのメリットは、このシャンク研磨をしなくても歪は殆ど起きません
低温と言っても300度位には温度を上げますが(^_^;)
でもデメリットが有ります、低温の為母材への浸透が殆ど無く剥離し易いのです
最近では技術が進み、高温コーティングに負けない様な、低温コーティングも出て来ています
価格もコーティング後のシャンク研磨を省けるので、少しですが安くなります(私の経験上)
最近は母材のグレードを上げて(粉末ハイス)低温コーティングをするメーカーが増えて来ています
高温コーティングは高温の為に歪が出ます、この歪を取る為に、シャンク研磨を行いますが
完璧では有りません、振れがどうしても残ります、振れが残ると圧造した時に(特にパイプ形状)
穴が真っ直ぐ明かない、と言う事が有ります、この問題を解決するのがグレードを上げた母材に
低温コーティングを載せる、という方法です、母材のグレードが低いと、硬度も上がりません
無理に上げる事も可能ですが、脆く成ります
そこで母材のグレードを上げて、コーティングが弱い部分を
母材でカバーするのです、硬度が低いと圧造時に矢が息をします(縦方向に加重が掛かるので
瞬間的に歪みます)コーティングは硬いので収縮は出来ず、結果母材から剥がれます
そこで母材の硬度を上げて、圧造時に母材が歪まない様にすれば、剥がれる事は無くなります
ベストは超硬に低温コーティングを載せる、ですが
超硬の矢にもデメリットは有ります、加重(縦方向の力)には強いのですが
衝撃(横方向の力)には弱いです、それと引っ張りにも弱いです
もし超硬の矢を使う時は、前工程の芯は注意をして下さい、それとKOスリーブとの
整合性にも注意して下さい、上手く行けばハイスの10倍位寿命が延びると思います(経験上)
話が飛んでしまいましたねf^^;)ポリポリコーティングの前には前ラップ
と言って、NC旋盤で切削した時のツールマークを消す為に軽く研磨
をします、研磨と言うか磨くと言った方が正解かな(^^ゞ
それと後ラップもしなければなりません
コーティングをしても磨かなければ、滑りが悪いので使えません(^_^;)
矢の話はまだまだ色々有りますが取り合えずこの辺で終りたいと思います
次回は最終工程の穴抜きです、この第四工程のヘソは、抜きと関係が深いので
次回にお話します、それでは次回お会いできる日を楽しみしています(=⌒ー⌒=)