大 文 字(1997.10.26) 晴れ

大勢の人々に見つめられる山

山には、大勢の人々に眺められる山があります。富士山や槍ヶ岳がその例になるでしょう。
京都にも、意味合いは少し違うかもしれませんが、一度に大勢の人々に見つめられる山があります。如意ケ嶽、すなわち大文字山がそれです。
毎年8月16日にそれは30分ほどだけれど沢山の人に眺められます。

・銀閣のお隣りが登り口

今日は風が強く、市バスの窓から見える比叡山は、いつもよりくっきりと見えます。バスを降りて「大」の字に向かって進むと、朝の10時を少し過ぎている銀閣寺道は、もう修学旅行の生徒と観光客でにぎわっています。
通りのみやげもの屋は、私と同様に眠たいのでしょうか今少し元気がありません。

哲学の道を通り過ぎて、 正面に銀閣の入り口が見えてきます。その右隣りに浄土院があって、このお寺が送り火を主宰しています。 京都の五山には、それぞれ主宰するお寺があります。
けれども観光客の人気は、すべてお隣りの銀閣寺に向いてしまっていますから、少し気の毒な気がします。
お盆の送り火の時は、きっとこのお寺が人気を独占するのですから今は、仕方が無いのかもしれません。
大文字山への登り口は、このお寺の角を曲がったところにあります。

朝のジョギングコースを行く

大文字山への登りは、近隣に住む人のかっこうのジョギングコースになっています。
トレーナを着た人々がすがすがしい朝のジョギングを楽しんでいます。
京都の町中にして、けっこう自然が残っていて少し意外な感じもあります。

少し登り出すとさすがにジョギングする人は見当たらなくなってきます。
強い風が木々をざわつかせています。それがかえって遠くに聞こえていた街の騒音をカムフラージュして、けっこう山の中の雰囲気を味わせてくれます。

30分ほどたったでしょうか少し長い石段を上り切って大の字に到着しました。

京の町を一望する

「大」の字のすべての画が交差する「字のおへそ」から京都の町を展望できます。
右手の奥の方に木々で少し隠れている比叡山、北に木船の山々、桟敷岳、愛宕山などの北山が見えます。近くには、妙法、舟形、左大文字の文字を見ることができます。

その山に囲まれた京都の町が広がり、中心には御所があります。 五山はすべて御所の北側に配置されています。

送り火は、鎌倉時代にはすでにあったそうです。鴨川の水をおぼんに汲んで「大」を映して飲むとか、燃えた後のからっけしを種火にすると、息災でいることができるとか言い伝えがあります。
送り火のなかではこの「大文字」が一番古くから行われていたそうです。

そのようなことを思い出して、大の字の優雅な部分である「南の流れ」(大の字の3画目)を覗いてみますが、近くで見ても優雅であるわけではありません。

山科の毘沙門堂へ下る

静かな尾根道を歩くと、風に吹かれたどんぐりが落ちてその音が、雑木のざわつきにアクセントを付けます。
しばらくすると南禅寺、三井寺、山科へと道が別れます。
毘沙門堂の側を通り山科へ出る道を選びました。古代の製鉄後があるそうですが、今日は素通りして閑静な住宅街を駅に向かいました。時刻は12時前になっていました。

フ音が、雑木のざわつきにアクセントを付けます。
しばらくすると南禅寺、三井寺、山科へと道が別れます。
毘沙門堂の側を通り山科へ出る道を選びました。古代の製鉄後があるそうですが、今日は素通りして閑静な住宅街を駅に向かいました。時刻は12時前になっていました。