芦生・三国岳 (1999.5.1〜2)晴れ

1.ぶらりのんびり

昨年の秋に訪ねた「芦生」のキャンプが楽しくて、その折「又、春に来ようよ」と約束した通り「春の芦生」を満喫することになりました。
京都駅9時集合の「ぶらりのんびり」の始まりです。

昨年秋のほぼ同じメンバーで朽木への鯖街道を北上します。
途中で「岩魚」や「こごみ」の仕入れなど結構、道草をしながら地蔵峠に到着です。
皆さん山のベテランで登山届けをきちんと提出するなど、マナーの手抜きはいたしません。感心感心。
京都大学長治谷作業所に到着したのが、12時を回ったころですからずいぶん「ぶらりのんびり」です。結構結構。

2.ザックは小さいのにかぎります。

今回もテントで一泊の予定です。しかも皆さんグルメ派ですから、荷物は想像以上に多くなります。車に積み込んだそれらの荷物は、それぞれのリュックに分担されます。
私のリュックは、35リッターの小型です。それ以上の荷物を担ぐ自信がありません。
それでも細引きで荷物を積み上げることになります。
最後にお酒が2リットル残りました。リッュクの大きなH氏に収まります。「ザックは小さいのにかぎります。」

3. 人は動物、少しだけの自然回帰

今夜のキャンプ地は、岩谷です。予定では到着後に時間があることになっています。
渓流釣りを楽しむ人。昨年残した源流大谷までのピストンを予定している人。そして、昼寝を予定している人。それぞれ思惑を持っての山行です。
ところが思わぬことに渓流釣り人の足が遅れます。足がと言うよりは、腰が・・・と言う状態で宿泊地に到着は3時になってしまいました。
しかし、皆さんのんびりしたもので途中仕入れた岩魚とコゴミの料理、そして岩魚酒にありつけるのであれば、時間がかかろうが問題になりません。

この由良川源流域は、原生の姿が良く残っています。
このような所を歩いていると、「人間は動物だナー」と言うことを感じます。
原生の木々の青葉と渓流の水音は、ものごとを単純にします。
澄んだ大気と歩きに伴う呼吸は、人を単純にします。崩れた道やへつらい道も少しずつ慣れて恐怖は遠のき、ただ集中力だけが必要となります。内臓は大いに活動し、腹を減らします。吹き出す汗は、皮膚を洗い呼吸さえするようです。
しかし、それは残念ながらほんの少しの回帰で、まだまだ動物には遠いようです。

4. 岩魚酒と静けさの中の睡眠

夕食は、水炊きと途中で摘んだコゴミです。鍋をひっくり返したりしながらてこずって「たらふくまんぶく。」
後はお待たせ岩魚酒です。2升近くのお酒がアット言う間に無くなるのですから、おいしさを説明する必要は、ありません。

見上げる星の数が多く見えます。しかもグルグルと回ります。
本当にそのようだったのか、酔っ払ったためなのか定かではありません。
ほのかに香りを持った山の夜の空気と清みきった静けさは、私を ぐっすりと眠らせてしまいます。

5.わさび田

岩谷から本流を渡って沢を三国岳へ遡ります。数十秒ですが、足がしびれてすっかり目が覚めてしまいます。
小さな沢ですが、良く自然が残っています。人もあまり入っていないようで、踏み跡もほとんどありません。
幾つかの支沢が入ってきます。
小さな落ち込みの陰に小鳥の巣があります。親鳥が頻繁に出入りします。
沢の両側にはワサビが自生しています。
このあたりが芦生一番だと思います。武奈林やわさび田に見とれてルートを間違ったようです。
滝に出合って先へは、進めません。枝沢を見逃したようです。
地図を眺めて鳩首会議、結局、尾根を一つ越えて枝沢を詰めることにします。

悪戦苦闘、薮もかき分けて、やっとのことで三国岳への尾根道に出ることが出来ました。 尾根道は、岩団扇が満開です。

頂上からの帰りは、本来の沢に入ることが出来ましたが、踏み跡はほとんどありません。
下りでは、ワサビ田でお土産用に少しばかり摘み取りました。この場所には、ほとんど人は入りません。摘み取った量も自然回復の範囲を心がけますが、少しばかり気がとがめるのはどうしてでしょうか。

テント場でラーメンの昼食です。テントを撤収し下山です。原生の林に深呼吸をしながら満足の道を下ります。
来春もきっとこのブナ林に入っていることでしょう。


Aほとんど人は入りません。摘み取った量も自然回復の範囲を心がけますが、少しばかり気がとがめるのはどうしてでしょうか。

テント場でラーメンの昼食です。テントを撤収し下山です。原生の林に深呼吸をしながら満足の道を下ります。
来春もきっとこのブナ林に入っていることでしょう。