サイバー老人ホーム−青葉台熟年物語

61.運 勢

 新聞や雑誌に「あなたの運勢」というのが載っている。大きなお世話だと思うのであるが、なんとなく見てしまう。読売新聞には毎週日曜日の日曜版に「今週の運勢」というのが載っており、毎水曜日に発行する「読売ファミリー」というミニコミ紙に「星占いによる運勢」というのが載っている。更にご丁寧に毎週木曜日の夕刊に「週間運勢」が載っている。
 この歳になると既に運勢など言うものは終わったと思っているのであるが、なんとなく気になるのである。ちなみに今週掲載された私の運勢はと言うとこうなるのである。

・5月9日読売ファミリー(5月9日〜15日)
活動期続行。我欲禁物。自己コントロールがキーワードになる週。10日前後は浪費注意。13日は向上心大切に!14・15日は仕事・金運とも好調、感もさえそう。転職もOK。

・5月11日金曜日夕刊週間運勢(5月12日〜18日)
小さな幸せあり。家族、友人に感謝。金銭出る。
この週安定運となっており、仕事順調。手ごろなバイト探せる。となっている。

・5月13日日曜版(5月13日〜19日)
家族のことで心配事が生じるかも。金銭の出入り多い。
 こう見ると今週の運勢はなかなかなものであるが、要は気を引き締めてことに当たれば良い線になるということだが、家族や友人については良いこともあり気がかりなこともあるということか。まあ、これはいずれにしても全てに順風満帆というわけには行かないと解釈しておこうと思うのである。と思っていたら15日に高校時代の親しい友人の訃報が舞い込んだのである。

 金銭の出入りが多い月になりそうだかこれは例年この時期に自動車税、固定資産税の納付時期が集中する時期でやむをえないことなのかもしれない。もっともこの週、以前から買いたいと思っていたCD−R/WRを一昨日買ったので早速今週の運勢が的中したことになる。果たしてこれが浪費になるかどうか、なんとなく運勢のご託宣どおりの予感がしないでもない。ただし、もともとギャンブルには縁のない人間であり、この時期金銭運が高まる見込みはなさそうである。

 もともと仕事はしていないのだから転職はなさそうであるが、手ごろなバイトは見込みが立ちそうな気配になってきたのである。
 我欲を抑えて、更に向上心大切にすればまずまずの週になりそうであるが、何となくこの前提の「我欲を抑えて」というところが気になるところである。

 ところでこの運勢、週によってはあまり我々の年齢では縁のなさそうなものも出てくる。この歳で、良縁とか、仕事運とか言われても致し方ないところであり、運勢にも摘要年齢と言うところがあるのだろうと思うのであるが、それならばそうと書いておいてくれればと思うのであるが、書いてないところを見ると合うところだけ見ればよいということかもしれない。

 こう言うとやけに占いとか運勢に凝っているように思われるが、それほどでもない。およそおみくじなどと言うものは「買った」ためしがない。信じないと言うことより、あの程度のもので自分の運勢を既定されてもたまらないし、特に引き当てたおみくじで気分的に滅入るのは不愉快である。と言うことは何のことはない、結構ああしたものに心が動かされるタイプで、無関心を装っているだけなのかもしれない。

 ただ、還暦を迎えて定年になったときは正直言ってこれで我が運勢も終わったと半ばほっとした思いがあったのである。思えば自分の運勢を振り返ってみて、何度かは神の導きと感ずることも合ったが、歌の文句ではないが「運が良かったとか、運が悪かったとか」と言うこともなく、まずまず身の丈どおりの人生であったと思うし、取り分け人生の岐路で選択を間違へたり、見落としたとも思えず必然の成り行きだったと思うのである。
 考えてみると運勢というとなんとなく金銭運に重きをおいたように考えがちであるが、通常は人に限らず、あらゆるものとの出会いではないかと思っている。その出会いが自分の人生にプラスになるかマイナスになるかは自分の対応の仕方によって決まってくるような気がしている。

 人には誰にも公平にそれぞれの出会いはあり、その出会いをプラスに導くための努力であり精進がその人の運勢を開くかどうかにかかっているのではないかと思っている。偉そうに今はそう思っているのであるが、その時はその時で努力も精進もあまりしないで結果だけを求めていたような気がしないでもないのである。

 ただ人間の英知を超えた宝くじを当てることやノストラダムスみたいなことは神のなせる業であり、あまり考えない方がよさそうである。(01.05仏法僧)