サイバー老人ホーム-青葉台熟年物語

91.ウイルス騒動

 コンピューターウイルスというい話しは以前から聞いていた。聞いてはいたが具体的にどんなものかお目にかかったこともなければ、勿論被害にあったこともなかったのである。一二度それらしきメールが来たこともあったが、はっきりとウイルスと断定する前に恐ろしさのあまり削除してしまっていた。

 そして今後もそのようなものにお目にかかることもないだろうと思っていたのである。その根拠としては極めて人間臭い理由で、こんな年寄りを相手に手間隙かけてウイルスを流すほどの価値もないそう決め込んでいたのである。

 ところで6月15日に我が青葉台にもケーブルテレビが入ることになり、それと共にプロバイダも変更することにしたのであるが、その翌日になると、先ず、YaHooのEグループというサイトで私が開設したメーリングリスト(ML)から立て続けにそれらしきメールが配信されてきたのある。

 続いてそのMLに加入しているメンバーからも内容不明のメールが次々と飛び込んできたのである。早速本人に確かめたが覚えはないという。それからが大騒ぎである。先ずそれらしきメールが来るわ来るわで1日に多いときは20通以上も飛び込むから削除するだけで大変である。おまけにメールによっては400Kbを越すラージサイズもあるから大変である。

 このメンバーというのが私を含めて全員いわゆる高齢者の部類に入り、したがってパソコンについての知識なども初心者同様の人たちばかりである。まさに、パニック状態になり大混乱に陥ったのである。言葉は悪いが目隠しして象に触ったようなもので、なんとも要領を得ない。

 開設責任者とすれば何らかの対策を講じなければならないところであるが、当人がウイルスなるものにお目にかかったこともないのであるから話しにもならない。結局、以前にMLでは添付ファイルを持ち込まないのがエチケットということを思い出し、メールに添付ファイルは許可しないということに変更し、ML上への書き込みは阻止できてMLへの配信はなくなったのである。

 ところがメンバー個人への配信はその後も続き、27日迄の10日間にわたりおびただしい不審メールが飛び交ったのである。

 その後メンバーやその他からの情報を総合すると、WORM KLEZHというウイルスらしいことが判明した。然らばこれをどう駆除するかということになるがグループの中で最も経験も専門的知識も豊富なメンバーの力を借りて、取敢えずはウイルスチェックソフトで全てのファイルをチェックすることにしたのである。

 ところが現在搭載済みのものは2年前のバージョンで、これによると不審ファイルは確認されなかったのである。更にプロバイダにメールチェックサービスを依頼したところ最新バージョンを手に入れて再度実施してから申し込んで欲しいとのこと、早速トレンドマイクロ社の製品をオンライン購入してみると、なんと1個の不審ファイルが見つかったのである。

 早速削除し、同時にメールアドレスを変更し、これで万全と思ったのである。ところがアドレス変更後間もなく不審メールは以前同様に大量に配信され全く効果はなかったのである。
 あとで聞いてみると、このウイルス、感染した人のアドレス帳を介して不審メールを配信してらしいということで、せっかく変更しても私のほうからの連絡でアドレス帳を変更していれば意味がないことになるのである。

 その後このサイトで知り合いになった方(杉村偕子さん)の紹介でメールソフト(メーラー)を従来のアウトルックエキスプレス(OE)から変更することで、ようやく今回のウイルス対策を完了したのである。

 ところで、このメーラー(鶴亀メール)は大変な優れもので、全ての受信メールをテキストスタイルで受信し、HTMLメールは別ファイルにするか、削除してくれるのである。ウイルスをメールで持ち込まないためには基本的文字コードであるテキストスタイルが最適ということであるが、OEの初期設定がHTMLになっているためそのまま使っていることが多いらしい。更にメールが配信される前のサーバー段階で受信メールを選別できるようになっている。

 尤も完了したところで不審メールは来なくなってしまったが、その理由というのは分からない。ところで、このウイルスらしいファイルというもの、怖いもの見たさに開いてはいけないといわれても開きたいものである。現在はプロバイダ側であらかじめ削除して配信されるから見たくても見ようもないが、ところが不審ファイル以外に奇妙なものが添付されているのである。

 今回は年配の女性の写真が繰り返し添付されており、これがメールのサイズを巨大化させている元凶であるらしい。
 いずれにしても自分の意志とはかかわりのないところで、ファイルの一部が勝手に使われたのであるが、薄気味悪く迷惑千万な話しである。

 このウイルス騒ぎで急遽グループのオフ会が開かれ、発症以来初めて参加し、講師をする羽目になったのである。もともとウイルスなるものを知らない人間が講師といわれても何を話してよいやらわからない。
 結局、杉村偕子さんの「熟年のページ」の一部を使わせていただいたのであるが、出てくる質問が生物学とエレクトロニクスがごちゃ混ぜになり双方とも大混乱だったのである。

 更にこのウイルス、奇数月の6日に活動するらしい。この日はパソコンの電源を入れないほうがよいということで、一日蛸壺に身を隠すようにじっとしていたのである。明けて7月7日、恐る恐る頭を持ち上げてみると、さすがにこの日は仲間からのメールは1件もなし、斯くして恐怖の1日は無事通過したことになる。
 但し、この1日のなんとも手持ち無沙汰であったことか、どうやらウイルスの感染は無事避けることができたようであるが、パソコン中毒はかなり進行しているみたいである。(02.07仏法僧)
(参照:「熟年のページ」)http://www.kisweb.ne.jp/personal/sugimura/