サイバー老人ホーム-青葉台熟年物語

22.肥満禁止令

 今年の正月にあるホームページのメーリングリストに、「西暦2100年の予想」と云うのを載せたことがある。例によって、余りうけなかった。

 その中の一つに「気候の温暖化と天候不順により地球規模で食料不足が生じ、全人類が公平に食料を分配するために、特定の国だけの食料の大量消費が認められなくなる。その結果、日本では国民一人一人に基準体重が設定され、それを超えた場合は、肥満税が課せられる」と言うのが有った。

 ところが最近ラジオで聞いた話であるが、フィリピンのある島の警察で、警察官の制限体重を設け、これを超えたものは一定期間に制限体重以下に減量することが義務付けられ、守られなかった場合は解雇もありうると言うのである。
概して東南アジヤやアフリカ諸国に日本人や欧米人のような肥満は見当たらない。居ても僅かである。 これは単に貧富の差だけの問題ではなく、食事に対する考え方が根本から違うような気がする。

 最近、厚生省の発表した「健康日本21」による健康作り計画によると、男性の肥満比率24パーセントを15パーセントまで引き下げるのが目標とのことである。この24パーセントの中には当然我々高齢者も含まれていることになる。

 最近の若者の糸トンボのような細いのもこれで日本の将来を託せるかいささか心もとない気もするが、それよりか高齢者の肥満のほうが問題である。
時々近くの有馬温泉のヘルスセンターに行くが、居るわ居るわ、ざっと見ても風呂に入っている60パーセントは下回らない肥満老人が「カバの水浴」のように巨体を浮き沈みしている。

 これは何も男性に限ったことではない。覗いたわけではないが、外見から創造しても推して知るべしである。一風呂浴びた後は今度は大広間で、ド演歌と日本舞踊の演芸を楽しむのであるが、ここではカバが牛か馬に変身して牛飲馬食となり、演芸などそっちのけである。
食べ終わると今度はトドに変身して長々と昼寝である。これで太らないほうが不思議と言うことになる。

 最近の読売新聞の「超高齢時代(肥満と生活習慣病)」と言う特集記事で、肥満指数BMI(Body Mass Index)と言うのが有ることを知った。体重(kg)を身長(m)割り、更に身長(m)割った値が26.4を超える場合は肥満であると言うのである。
更にこのBMIが男性で22.2、女性で21.9の場合が、最も病気にかからない体型で有るそうである。

 歳をとると何も楽しみがないのだから、せめて食べたいものを食べたらよい、と言う考えもあるが、肥満は諸悪の根源である。腰痛、関節痛はもとより、内臓疾患から循環器系まで、全て肥満から始まっている。

 たまにはいいではないかと言われるかもしれないが、歳をとるにしたがって、僅かの不摂生の連続でも習慣になるのが早い。これは何も食べることに限ったことではない。体の不調を庇う姿勢がいつのまにか慢性化して、老人スタイルになっている。人は微細な体の変化には気が付かない。気が付いたときにはカバになっているのである。

 そもそも美味しいものが食べたいと言う欲望は、食欲の不振を味覚か雰囲気でカバーしようとしているのである。節度ある簡素な食事に心がけていると、何を食べても美味しく食べられるものである。何を食べても美味しければ取り立てて美味しいものを食べに行かなくても良いのである。

 このページに投稿いただいた花あやめさんの言われるように、歳をとったらせめて足りることを知って、食べ物の虜にはなりたくないものである。あの小鳥でさえ足りる限度を知っているからこそ楽しくさえずりもし、空高く飛ぶことが出来るのである。かくしてかつてカバ同類であったのが、現在のBMIは22.1・・・・!(00.5仏法僧)