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ぶん太とうさん初体験!
京都顔見世・中村勘三郎襲名興行
南座のまねき
突然ですが、歌舞伎に行ってきました。しかも京都の師走の風物詩と言われている吉例・顔見世です。今年は中村勘三郎の襲名興行を締めるとあって、チケットはプレミアもんです。クレイジーケンバンドより入手困難で、松竹のチケット会員になっている友人がチケット発売日に電話をかけまくって押さえてくれました。多謝!中村勘三郎と言えば、言わずと知れた勘九郎さんなのですが、なんでも2年も掛けて襲名興行を行っていたそうです。そして興行を締めるのが京都・南座の顔見世。口上でも「えー、スゴロクでも江戸は日本橋から始まって京都は三条大橋が上りでございます。三条を超えて四条まで参りましたが、京都・南座の顔見世で襲名興行を締められるのは、本当に幸せなことでございます。」とのこと。勘三郎という大看板の襲名興行を顔見世で見られることはないということで、例年以上の人気になっているそうです。京都生まれの京都育ちですが、歌舞伎はおろか南座へも行ったことがなく、初体験づくしの歌舞伎鑑賞になりました。
南座の正面
チケットは口上のある「夜の部」で、開演時間は午後4時。高島屋で弁当を買って行くのがツウということで、デパ地下に集合して弁当やらビールやら買い込んでいざ南座へ。雨の中、着物を着た芸妓さんやらマダムやら、意外と若い女性も多くて南座の前は大賑わい。吉兆やたん熊といった料亭の弁当を持ち込む人もちらほら。高級弁当の方は一階の桟敷席へ、我々は三階の三等席へ。三等席と言っても侮ることなかれ、チケット代は7,350円。顔見世は普通の歌舞伎に比べて倍のチケット代だそうです。
十八代目 中村勘三郎さんゑ 初めての歌舞伎ということで、ネットで前知識を得ておりまして、実は3階というのは「大向こう」と呼ばれる席で、「○○屋!」「まってました!」等の掛け声を掛けていい場所とされているのです。せっかくのこの機会、据え膳食わぬはではないですが、なんとか「中村屋!」と声を掛けることを目標に南座へと参った次第でございます。と席に座って「誰が声掛ける人だろう?」と辺りをキョロキョロしているうちに、幕が上り顔見世・夜の部がはじまりました。
「さあ、中村屋言うぞ!」といきこんでいたら、さっそく右手から「っしまや〜!」ん?あわててガイドブックを見ると、最初の演目「俊寛」は主役が片岡仁左衛門。その他の片岡の名前の役者さんばかりで、屋号は「松島屋」。う〜ん。ちゃんと役者さんと屋号を確認しないといけないんですねぇ。その後も「しまや〜!」の掛け声だけで芝居は進んで行きます。ちなみに掛け声の基本は江戸っ子のように短く、前の二文字は言わないのが良いようです。「松島屋」は「しまや!」、「中村屋」は「むらや!」なんです。「俊寛」という物語は近松門左衛門の作だそうで、平家に逆らった坊さんの俊寛が瀬戸内海の孤島に同罪の2人と流されてしまい、なんやかんやで1人残されてしまうというお話なのですが、片岡仁左衛門の鬼気迫る演技に今回の演目で一番印象に残りました。そして、島の岩場から舟を見送る最後のシーンは圧巻でした。思わず「松島屋〜」と初掛け声を出しました。(なかなか江戸っぽく言えないもんです。)しかし、そのときに左手から「お大事に〜!」という掛け声。1人置き去りにされる俊寛への掛け声です。えてすれば愉快犯のような掛け声ですが、芝居の流れを見極めたウィットに富んだものと思いました。う〜ん。奥が深い。
永谷園
舞台変わって中村勘三郎の襲名口上。舞台幕は永谷園のお茶付けみたいなものに変わります。役者さんの着物もそうですが、舞台装置の艶やかさにも目を見張るものがありました。口上は15〜6人の役者さんが順番で祝辞やら勘三郎のエピソードやらを短く述べていきます。最初に名を名乗るので、そのタイミングで声を掛けるようですが、これまた名前と屋号が一致しないと言えません。ここは大向こうさんにお任せです。(掛け声をする人を大向こうさんと呼ぶそうです。)
椎名林檎 口上は意外にも普通の言葉で、アドリブっぽいものも多く、考えながら言ってる役者さんもいました。考えながら言ってるので、言葉がもつれたりするのですが、最後に「おんねがいたてまつりますぅ〜」と付けるだけで歌舞伎の口上に収まります。口上が終わると30分の休憩。この時間に買って来たお弁当を頂きます。いっしょに行った歌舞伎マスターのK橋氏が、小走りで2階ロビーに駆け下りて、4席分の応接セットを押さえてくれました。やはり慣れた人と行かないとこうはいきません。多謝。高島屋で買った1,150円也のおこわ弁当を食べて、ちらっと隣のグループを見るとまるでおせち料理のような豪華弁当。東京から顔見世だけ見に来たようで、気合の入り方が違います。ロビーには生写真の販売やら、左の写真のような祝辞のまねきみたいなものもあって、華やかな感じでした。まねきには写真の「椎名林檎」やら「江川卓」やら「唐沢寿明」やら芸能界から財界・政界まで、いろんな名前が見受けられました。
休憩明けは、いよいよ勘三郎のお披露目。「京鹿子娘道成寺」。安珍清姫で有名な道成寺を舞台に勘三郎が踊りまくり。つごう80分の演目で何度も早変わりを見せてもらいました。最後は落ちた鐘の中で清姫の霊にとり憑かれてしまった勘三郎が、大きな青竹を持ったおっさんに退治されました。それにしても体力の居る演目です。「待ってました!」「むらや〜!」と何度も声が掛かって、この日一番の盛り上がりでした。
更に顔見世は続いて、坂田藤十郎さんの「雁のたより」。屋号は山城屋でございます。有馬温泉を舞台にした松竹新喜劇のような、癒し系のお話でした。これは上方歌舞伎というそうです。長丁場の勘三郎の後でしたが、いろいろなキャラクターの出演で客を飽きさせません。とりあえず、ここでも「しろや〜!」を一発かましておきました。
そして最後「乗合船恵方萬歳」。隅田川の渡し舟に乗り合う客が、大喜利よろしく順番に唄ったり踊ったり。中村橋之助や、勘三郎の息子・勘太勘太郎、七之助、若手の役者が春の風景をバックに華やいだ舞台で顔見世を閉めました。特にストーリーがあるわけでなく、濃厚なフレンチの後のデザートのワゴンサービスのような演目でした。
全ての出し物が終わって南座の外に出ると、時間はもう10時前。ほぼ6時間南座に居りました。座席の前後が狭いのでヒザが少し痛くなりましたが、初歌舞伎が顔見世・勘三郎の襲名興行で本当にラッキーでした。掛け声も3回掛けれたし、初めての大向こうデビュー?も出来て大満足です。また勉強して次は大阪松竹座に参戦だ!
今回は、こちらのサイトのおかげで楽しめました。 → ご機嫌!歌舞伎ライフ