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何でしょうか?先生。
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はるかさん、彼らを部屋に連れて帰って差し上げて。そっちの見舞いの人にはもうお帰りいただくように。面会時間は過ぎてるんだからね。
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見舞いって誰じゃ?
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先生、この方は患者さんですよ?
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え?誰が診察したの?
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え?誰って・・・。誰かしら?
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おいおい、看護婦がそんなことじゃ困るよ。もういいから、この人は僕が診ておくからケムコさんと日下さんを部屋に戻して。
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(何を言っておるのじゃろうか?まさか、またべたオチの兆候なのじゃろうか?)
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は〜い、ケムコさん、お部屋に戻りましょうね。
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何を言っておる!私はスーパードクターKであるぞ!
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はいはい、じゃあドクターK、お部屋に戻りましょうか?
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医局に戻るのか?
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そうですよ。(本当は402号室だけど・・・)
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うむ、それなら仕方ないのである。今日もカルテが山積みなのか?
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そうですよお。がんばってくださいね。あ、みちるさ〜ん、ちょっと手伝って。
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はい、先輩。
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じゃあ、日下さんをお願いね。
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はい!日下さん、お部屋に戻りましょうか?
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え?はい。でも仕事は?
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お仕事はもう終わりですよ。今日もご苦労様でした。
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そう、ありがとう。明日からもがんばります。
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ええ、そうですね。がんばりましょうね。
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みんな去ってしまった・・・。まさか、わしは遊ばれておったのか?
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さて、診察しましょうか。
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ぬぉ!おったのか貴様!
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やだなあ。僕はどこにも行きませんよ。
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あやつらはいったい何者なのじゃ?
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患者さんですよ。
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貴様…、今までの流れをしれっと変えよって。
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流れって?まあいいや。これ以上は守秘義務があるから話せませんよ。
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やっとまともな医者に巡り会えたようじゃの。伊達で理事長をやっとる訳じゃないという訳でもないので心配したぞ。
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???。まあ、いいや。お名前を聞かせてください。
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何を言っとるか。わしはここの理事長じゃぞ。
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え?でもここの理事は国王ですよ?
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じゃからわしがぶんぶん1世じゃ。
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へえ、そうだったんですか。
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さすが精神科医は違うの…。
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あはは、よく言われます。単に感情がもうないだけですけどね。
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怖いことを笑顔でさらっと…。おまえのような奴が一番怖いんじゃよ。で、その理事長が患者のことを聞きたがっておるんじゃが。
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ええ、いいですよ。スタッフ間での情報のやりとりは守秘義務に含まれませんからね。だから、看護婦が休憩室で患者のうわさ話に華を咲かせるのも合法なんでしょうかねえ。あはは。
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(この病院はどうなっとるんじゃろうか?)
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まず、ケムコ氏は多重人格障害なんです。ぼくもまだメインの人格には会ったことがないんですけどこちらで確認してるだけで4人別人格が存在します。
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ほう、ドクターケムコとスーパードクターKには会ったが。
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他に、小学生くらいの男の子で名探偵Kと名乗る人格と、牛丼が好きな超人Kと言う人がいます。彼らはみんな素顔を隠しているんですよ。超人Kの時は「肉」って書いてあったな。何のことなんでしょうね?あはは。
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じゃあ、鼻メガネもとい日下君は?
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彼は躁鬱病だったんですよ。最近はドクターケムコ付きの看護士をやらせることで落ち着いていたのでそれを治療法として続けていたんです。
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結局わしは彼らに遊ばれていたのか?
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そんなことはないと思いますよ。彼らは彼らの世界で本物の医師であり、看護士なのですから。まあ、ケムコ氏の医者に対するイメージは少々偏ったものですが、あれはたぶん以前入院していた病院で医師がああいう態度を取っていたのでしょう。精神病棟は昨今ではかなり見直されてきたとはいえ、まだまだ問題が多いですから。
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そうなのか、わしは君がうちの病院の医師で本当に良かったと思うよ。
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あはは、僕だって実は上辺だけかもしれませんよ。
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いや、お主は感情がない、などと言っておったが話を聞けば大体解るものじゃよ。こういう世界にいればある日ふと、自分がやっていることは偽善じゃないか、と思うこともあろう。そう思いながらも患者に優しい言葉を投げかけている自分は上辺だけの人間じゃなかろうか?と思うこともあろう。つらい仕事をよく頑張っておるの。
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いえ、これが僕の勤めですから。
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で、わしはもう帰って良いか?
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結構ですよ。まさか一国の王を病室に押し込めておくわけにも行きませんからね。
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うむ、君の名を聞かせてもらえるかな?
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地場 衛です。
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(やっぱりそうじゃったのか。はるか、みちると来たらもうこの名しかないと思っとったが。こいつ、流れを無視しとると思ったら最後の最後でやってくれるわい)
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では、お城の方に連絡しておきます。はるかさん、連絡よろしく。
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はい、先生。
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数分後…
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先生、帰ってこなくていいそうです。一生、牢屋にでも閉じこめとけって…。
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宰相…。絶対次回殺すのじゃ。
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