第三十回 錬金術師

宰相、最近は錬金術という物が流行っているそうな。

 なるほど、それでこの怪しげな背景ってワケですか。しかし錬金術が流行っているのはあながち嘘ではありませんな。

 そうなのじゃよ。本屋に行けばその手の漫画が妙に増えておる。錬金術と名が付けば何でも良いと思っておる。困ったものよのう。

 まあ、その手の話は独白でやってください。ここはそういう議論をする場ではないのですから。

 ここは会議室だと思ったが?

 もう昔の話です。

 そうじゃったの・・・。

 さて、悲しい話は終わりにしようじゃありませんか。今日は何をするんですか?

 それじゃ。実はわしもブームにあやかって錬金術師を名乗ろうと思っておるのじゃよ。

 ほう、それで何を?

 だから錬金術師じゃよ。

 だから何の?

 何の?

 またバカが始まったよ。ホントに名前だけかよ。

 違うぞよ!錬金術の意味くらい知っておるぞ。

 じゃあ言ってみろよ、ワン公。

あぁ〜?誰に向かって口をきいておるのじゃ?

 おめぇだよ!わんわん!

 さて、国王と宰相の不毛の言い争いの間に錬金術について説明するわね。
 錬金術というのは今の化学の元になった学問なの。正確には卑金属(鉄や鉛など)から貴金属(金や銀など)を作ろうという学問ね。つまり物質をあらゆる方法で変質させて別の物質を作ろうとする物なの。
 西洋の錬金術が有名だけど実はこのような試みは世界中で行われていて、中国では仙人になる薬や不老長寿の薬を研究していたといわれているわ。

 そうじゃったのか。

 勉強になりましたな。

 宰相、ウロコが目から落ちておるぞ。

 これは私としたことが!ところで陛下は何の錬金術をやるつもりですか?

 実はもう初めから決めてあったのじゃ。某漫画を読んでいたからな。

 ほう、それで何を?

愛の錬金術師じゃ!

 こいつマジか?

 錬金術に必要なツールもそろっておる。
出でよ!アルフォンス!

 ハ〜イ。連続出場デスヨ。モウれぎゅらー決定ダネ。

 誰か止めろよ。絶対勘違いしてるよ。漫画って表紙観ただけなんだろ?内容知ってたらこういうことにならないって。

 アルフォンス、愛を精製するのじゃ。

 お待ちなさい!そんな方法で、愛を射止めようなんて悪い子は、月に代わっておっ仕置きよ〜!!

 貴様は!3回も連続出場するなんて許せんのじゃ。

 それはロボットじゃないわ。本当は中に人が入っているの。右眼から中を覗いてご覧なさい。

 右眼?どれどれ・・・。

 ・・・。

 うほぅ!中に裸の少女がいるのじゃよ。この中は別世界ですか?左からも見るのじゃ。

 左は見ちゃダメ!

 見るなと言われると見たくなるのじゃよ。こちらはどんな美女が?

 ・・・。

 えらいもんが入っておったのじゃよ・・・。

 錬金術ハドウナッタノデショウ?

 君帰ってよし。

 ずが〜ん、ヤッパリコウイウおちデシタカ。


 結局思いつくままに進んでいくストーリー。次はどんな物語なのか?こうご期待。