第十三回 あの人は今

 ここか?ゾディアックが言っていたケビンらしき人物がいたというのは。

 そうだ、アルファ兄貴。さっそく潜入してみるかい?何、病院なんか簡単に潜入できるさ。

 よし!俺は裏手から行く。おまえは屋上からだ!健闘を祈る。さらば!

 了解!見付けたら合図をくれ!

 待てよ。屋上から?どうやって屋上へ行くんだ?そうだ!我々には長年培った根性があるじゃないか!今こそ見せるとき!とおっ!

 裏口から潜入成功!ブラボーの奴もうまくやっているかな?

 (駄目だったらしい…)

 さて、どこにいるのか?


 そのころ


 今日は久しぶりの登場である!日下君!

 ここにおります、院長!

 あの邪魔者を始末するのだ!

 え?(←邪魔者)

 地場君!君の営業成績は落ち込むばかりだ!よって解雇を命ずる!これは院長命令である!

 そう言えば最近患者が減ってるかも。

 そう言われればそうですね。それに患者を何年も入院させるなんてろくな医者じゃないのかも。

 ちょっと君たちまで、患者がいないのはいいことじゃないか。それに精神病がそんなにすぐに治癒しないのはよく解ってるだろう?

 安心したまえ。君のあとがまにはスーパードクターK君を精神科部長として据える。もう思い残すことはあるまい?

 院長、それはひどいですよ。せめて売店にでも置いてあげたらどうですか?

 え〜!明日からボク、売店の店員ですか?

 仕方ないな。リストラだけが能ではないと言うことか?

 では院長、そろそろお部屋に戻りましょうか?

 うむ。カルテを書かなければな。

 じゃあ、日下君も。

 はい、明日もがんばります。

 う〜ん、みんなひどいなあ。

 おい、ケビンという男を知らないか?

 え?うわぁ!あなたどこから入ったんですか?銃なんか持ったら駄目ですよ。

 悪い、人にものを尋ねるときは銃を向けるよう訓練されているものでな。きみがバンピーだということを忘れていたよ。

 ケビンさんねえ。ここにはいませんね。

 もう、あの人達ったらおかしいわよね。

 あはは、でも毎日退屈しなくていいじゃないですか。

 それもそうね。でも地場先生の売り子姿一度見たかったかも…あれ?

 あ、銃を持ってますよ。

 みちる!警備員を呼んできて!

 はい!

 ちょっと待ってくれ!違うんだ!

 行ってしまった。何という足の速さだ。さすが看護婦。行動が迅速だ。

 しかし、騒がれるのはまずい!ここは一端引くぞ!ブラボー、ブラボー、応答せよ!作戦は失敗!撤退する!

 ラジャー…。ぷちっ。


そのころケムコの自室


 牛丼一筋三百年。早いの、うまいの、安いのぉ〜。やっぱ、これに限るな。


 いた!ケビン兄さんに間違いない!


 誰だ!そこにいるのは!出てこなければK肉マンのK肉バスターをお見舞いするぞ。

 にいさん!もういい加減にバカの振りはやめてください!ケビン兄さんなのでしょう?

 ・・・。

 だって兄さんはずっと『K』にこだわってきているじゃないか!

 ・・・。

 兄さん…。解りました、もう何も言いません。それからアルファ兄さんとブラボー兄さんがこちらに向かっています。気を付けてください。さようなら。

 ゾディアック…。

 あ、ボクの名前を…、やっぱり…。

 それでも私はK肉マンなのだ…。

 くっ。これで我が特殊部隊は最強の兵を失ったことになる。もうお会いすることもないでしょう。さらばです!

 行ったか…。もう戻れはしない。この温かな生活を知ってしまった今となっては…。ここの人たちは皆温かい人ばかりだ。もう特殊部隊には戻れない。

 王子には意外な過去があったんですね。

 ミートよ。見ていたのか。このことは秘密にしてくれ。喋ったら袋詰めにしておならプーの刑。

 絶対大丈夫。グー。

 よし。名誉ある敗北だな。これからも楽しくやろう。