第十回 突撃!秘密部隊!

 う〜ん。バカ犬がいないのはいいことだ。いっそ、このまま王にでもなるかあ?

 ほう、面白いことを言うのじゃ。

 な、帰ってきたのか!

 わしの偉大なる力の一端を見せてやる。秘密部隊突入!

ラジャー!

 うほ!何じゃこいつ等!

 宰相!おとなしく降伏しろ!

 貴様等に負けるかー!

 逆らわん方がいい…。

 はい、降参です。


 ずりずり…、ずりずり…。


 ???。なんだ?


 ぴー、ぴー、ぴー。


 また変なのが現れた…。なぜかほふく前進してるし。ぴーって。

 ザー…

 こちらアルファ、作戦は成功どうぞ。

             ザー…。

 む、無線なのか!?


 こちらゾディアック。作戦成功おめでとうどうぞ。ザー…


こいつも応答してるしー!ザーって口で言ってる?言ってるでしょ?

ザー…、アルファ兄さん、ケビン兄さんらしき人を発見しましたどうぞ。ザー…。ずりずり…

ザー…、なに〜!ケビンが?解った、任務が終了次第そちらへ向かう。プチ

 う〜ん、ゾディアック。早く私を捕まえてみろ。

 兄さん…。いったいどこにいるんだ?ずり…

 行ってしまった…。もしかして、アルファが上を向いてゾディアックが下ばかり見ていたからお互い気が付かなかったのだろうか?壮絶なすれ違いだ…。

 
 と、いうわけで我々は急がなければならない。

 ちょっと待ってくれ!あんたさっきここにゾディアックという奴が来ていたのを見たよな?

 何を言っている?ゾディアックがここにいるはずがない。あいつは今、訓練の最終試験として我々と鬼ごっこをしているのだ。

 ふ〜ん。ま、いいか。そう言えば、あんた名前は?

 我々に名前はない。コードネームはブラボーだ。

 アルファ、ブラボー、ケビン、ゾディアック。謎は解けた!おい、陛下!

 おいとは何じゃ!

 こいつら26人構成だろう。どこにいたんだ?

 にょほほ、その通り!奴らは26人構成!アルファベット順にコードネームが付いた兄弟じゃ。

 26人兄弟なのか!?

 うむ、正式名称、ぶんぶんロイヤルナイツ秘密特殊部隊。その秘密性からアンモでさえ部隊の存在は知らん。驚いたであろう。

 おい、ロイヤルナイツの正式部隊が団長と見習い一人だけなのに対してその秘密部隊とやらが26人もいていいのか?それにさっきの話からするとどうやらケビンという隊員は行方不明になっているようだが。


そうなのだ!

 ケビンは去年の春に行方不明になった。元々あいつは強力な人格変化の訓練を受けていて精神的に不安定な奴ではあった。しかし、奴の変装術を見破れる奴はいない。奴は人格までもその人間に変わるのだから。

 そうだ!しかしそれが仇となった。ある日、要人暗殺に向かった奴は、訪問販売を装い、ターゲットに近づいた。
 しかし!人格まで訪問販売員になりきったケビンは本当に契約を取ってきて、帰ってくるまで暗殺に行ったのだということさえ忘れていたのだ。

 その後、ケビンはすぐに姿をくらませ、帰ってこなくなった…。おそらく、契約を取ってきたものの、商品を送ることができない責任の重さに耐えられなかったのであろう。

 おい、ちょっと待て。昨年の春と言ったな?私も昨年の春、訪問販売で買った商品が届かなかったという経験があるのだが。商品は何かな?

 確か、あのころ流行していたアブト○ニクスだったと思うが。それがどうした?

 ほう、奇遇だな。私もア○トロニクスを契約していたのだ。おまえら依頼人は誰だ?

 甘く見るな。我々はプロだ。依頼人を明かすようなことはしない。

 おまえ等のことは陛下しか知らないのか?

 そうだ。我々の存在はすべてに秘密なのだ。

 ほう、ほう。おい!バカ犬!


 シーン…

あのバカ犬!逃げやがったな!


「お〜い、にいさ〜ん。」

まずい!!
  撤収っ!!

あ…。

 兄さん…。ここにいたと思ったのだが…。いつになったら追いつけるのだ。

 あんたまだいたの?


 ずりずり…、ずりずり…。


 みんな行ってしまった。いったい今回は何だったんだろう?(国王のことは忘れた)