国王の独白

 遊具の安全性について

 皆さんは雲梯という遊具をご存じでしょうか?これはよく公園や学校にある遊具で、頭上に設置された梯子状の設備にぶら下がりながら腕の力だけで進んでいくという遊具です。
 つい先日、不幸なことにこの雲梯の上を渡っていた小学一年生の男の子が雲梯の棒と棒の間にはまり、窒息死するという事故がありました。彼はランドセルを背負っていたために首とランドセルが引っかかり、下に抜け落ちることができなかったのです。もちろん首が圧迫されていますから呼吸はできませんし、おそらくガクンと落ちたと思われるのでその衝撃で頸椎がやられていたと思います。
 遺族の方はもっと安全性に気を配られていれば、事故はなかったはずだ。と主張しておられましたが私はこの場で敢えて言います。単なる事故です、残念ながら。
 確かに、遺族の方がおっしゃるように、雲梯の上に容易に上れない構造になっていれば今回の事故は防げたかもしれません。ですが、同じことをこれまで何十人、もしかすると何百人とやって来てるはずです。この男の子にしても初めてではなかったはず。ならばこれは不幸な事故です。確かに子供はある意味何をするか解らないところがあります。だけど、我々大人もそう言った危険な行為を繰り返しながらも育ってきたはずです。今回の事件の非を遊具側に求めるのならばもはや、安全な物などこの世にありません。何をしていようが危険は必ずあります。
 ジャングルジムをご存じでしょう。子供の頃あれで落ちて怪我をした、骨折したと言う話をよく聞きます。安全性が問われ、今ではすっかり見なくなりましたが我々は楽しく遊んだはずです。
 危険はあっても遊具は遊具。あからさまに危険な物は認められませんがまさに万に一回今回のような事件があったからと言って子供から遊具を奪うべきではないと思います。
 反社会的、血も涙もない、と言われそうですが遺族の方達が遊具をなくそう運動をするのははっきり言って他の人に迷惑です。高校生が暴走して事故を起こしたので全生徒がバイクは禁止、それと同じです。子供達はいろんな遊びがしたいし、少しくらい危険な遊びもしたい。本当に危ない物には子供達も近づきません。それくらいの生命に対する危機感は子供達にもありますって。犬ですら走る車のまえにわざわざ飛び出したりしません。
 私はこのごろの親はあまりにも過保護すぎると思います。ただし、この意見は決して子供を亡くされた遺族の方の気持ちを否定する物ではないと思います。遺族の方が悲しいのは当然だと思いますし、子供が死ぬことはとても悲しいことですが事故の原因を外だけに求めないで欲しいのです。絶対自分の子供は悪くない。悪いのは、悪いことができるようにしている物だ、なんてことにはならないようにして欲しいだけです。
 いじょう、国王の独白でした。