LEOBTIEF, W. W.,
THE STRUCTURE OF AMERICAN ECONOMY, 1919-1929 -- AN EMPIRICAL APPLICATION OF EQUIBRIUM ANALYSES ,Cambridge Massachusetts, Harvard University Press, 1941, 8VO, pp 181,

 レオンチェフ『アメリカ経済の構造』、初版。
 「このこじんまりした書物は、経済的な一般均衡――いっそう適切には、一般的相互依存――の理論を、1つの国民経済の異なった部分の間の相互関係についての経験的な研究に適用し、価格、産出量、投資および所得の共変運動を通じてその関係を明らかにする1つの試みを述べている。」 
 「全体の研究は3つの明確な、しかし密接に関係した、仕事に細分される。すなわち必要な統計資料の収集や整理、適当な理論図式の形成、まえに展開した理論的な工夫を経験資料に適用する仕事がこれである。」(山田勇・家本秀太郎邦訳序文)
 H.ムーワが1929年に『総合経済学』で試みた先例はあるが、「基礎統計が若干改善され、計算技術もいくぶん進歩したとはいえ、1930年代なかばでの一般均衡体系の定量化というレオンティエフの課題は野心的なものであったいわなければならない。」(黒田昌裕「W.レオンティエフ」『現代経済学の思潮』所収 P.220)
 「ハーヴァードでは、・・・34,35年のころであったか、わざわざ課外の研究会を開いて、「レオンチェフの新発明」を披露したほどである。しかし、なかなか共鳴者も得られないまま、レオンチェフは長い間ひとりで、こつこつとこの仕事を続けた。戦後にかれが述懐して、「私は当時、司令官から二等卒にいたるまでのすべての役を、ひとりでやった。時間のふりわけからいえば、二等卒としての仕事が99パーセントを占めた」と語ったことがある」(都留重人『近代経済学の群像』日本経済新聞社版P.238)

 作表に必要な計算をレオンチェフは、手回し計算機でやったようだ。私が会社に入社した時は、ちょうど「個人用」の電卓が発売されかけた頃で、ボーナスの半分くらいをつぎ込んで買った覚えがある。タイガーの手回し計算機はまだ、捨てられずに倉庫に眠っていた。電卓でも大変な労力がいるが、まして手回し計算機となると、体力も相当いっただろう。

 アメリカの古書店よりの購入。Ex-libraryだが、印やラベルは、ほとんど残っていない。紙カバーはおそまつだが、付表の「産業連関表」は完備している。訳書を買ったとき苦労した経験から推してわかるのだが、この手の本は、付表が失われている場合が多い。

 




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