BÖEM-BAWERK E. v.
,Kapital und Kapitalzins., Insbruck,Wagner, 1884-1889, 2vols., pp. xii+498; xx+470

 ベーム=バヴェルク『資本および資本利子』初版。
 第一巻『利子理論の歴史および批判』は、アリストテレス以降150人以上の学者の見解を五つのカテゴリーに分類している。「一つ一つの利子理論について単に各々の場合にその主要内容のみを考察するのに集中した。彼はこの内容を再構成するに巨匠の完璧をもってし、これが中核を評価するに不屈の眼光をもってし、・・・本質的なるものを如何に確乎と把握するか、また無関係なものを如何に無視するかを、斯くも教え得たるもの本書にしくはない。」(シュンペーター『十大経済学者』邦訳P。216)
 第二巻の『資本の積極理論』は、「書名から推測されるようなたんなる資本と利子のみに関する著作ではなくて、価値、生産、分配を含む経済過程全体にわたる包括的な分析を企図したものである。・・・しかしかれのもっとも重要かつ独創的な貢献は、資本および利子の理論である。かれは、人はなぜ貯蓄し、中間生産物(資本)を生産するのか、という問題を提起して、その解答を異なる時点における異なる財に対する価値評価の中に見出した。」(大野忠男『近代経済学史 近代経済学(3)有斐閣双書』P.95)
 シュンペーターは第二巻より第一巻を高く評価しているが、著者自身は、第一巻は第二巻のための準備的著作と考えていた。通常の経済学史の本には、第二巻の内容解説を主としている。

 ドイツの古書店からの購入。二巻揃ってはなかなか出回らないと思う。第二巻にはかなりの書き込みがある。




第一巻標題紙見開き(拡大可能)




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