MALTHUS, Thomas Robert
, PRINCIPLES OF POLITICAL ECONOMY CONSIDERED WITH A VIEW TO THEIR PRACTICAL APPLICATION, London, John Murray, 1820,pp. vi+ 601

 マルサス『経済学原理』、初版。
 生存中のマルサスの令名は人口論によったが、ケインズ称揚もあって経済学者としての現在の評価はセイの法則批判や一般的過剰生産の可能性論者として知られている。当時も現在も、リカードの批判者としても有名である。「マルサスとリカード間の論争が、地主階級と工業階級の間の権力抗争を反映していた、と述べた。しかし、この論争は同時に、経済思想発展の上で無視できない方法論上の問題をも反映している――即ち、経済学がその分析手法を、道徳的または哲学的科学から受け継ぐか、数学あるいは合理的科学に求めるか、という問題である。」(フィリス・ディーン著奥野正寛訳『経済思想の発展』p.136)

 米国の書店から購入。紙表紙で背のみ皮製。装丁は今ひとつ。標題紙他に旧所有者のサインがある。1920年の初版本で、古い本だから相応の黄ばみがある。 
 古書の値段は後世の評価を如実に表し、本書は同時期のリカードの主著に比べれば4分の1くらいの値段だろう。こういう、どの経済学史の本にも載っている定番書は、価格に引かれて古書市場に出て来るから専門書店は常時在庫していることが多い。資力さえあればいつでも買えないことはない。『国富論』しかり、『資本論』しかり。
 小生にとって、その資力が問題である。もちろん、待ち惚けに終わる例の方が圧倒的に多いが、気長く待っていると思わぬ出物がある。この本も自分で決めている「自主規制」の最高金額を切ったものだったので、購入した。タイミングも幸いし、円高に振れた時であったのでお買い得だったと思っている。
 発行年度で見れば、この本あたりが小生の買える本の上限だろう。これより古い定番の本は、金額のケタが違って来て、とても手が出せそうにない。
 




標題紙(拡大可能)

(H17.4.記)



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