MILL, JAMES
, Elements of Political Economy , London, Printed for Baldwin, Cradock and Joy, 1821, pp.xiii+240, 8vo.

 ジェームズ・ミル『経済学要綱』初版。
 リカード経済学を初学者向け教科書として執筆したもの。英語で書かれた最初の経済学教科書とされる。ジェームズが毎朝の散歩の時に、息子に経済学の講義をし、翌日それを文章にして提出させ、書き直させたレポートの蓄積がこの本の素稿となった(J・S・ミル『自叙伝』第一章)ことは良く知られている。
 この本の章立てが示すように内容は、生産(第1章)、分配(第2章)、交換(第3章)、消費(第4章)の4分法である。森嶋流の区分では、リカードの主著の「経済学の原理」部分が本書1、2、3章と4章の1〜3節、そして「課税」の部分が本書の4章の4〜17節に該当するといえようか。
 マルクスの評価では、リカードの理論を体系的な形で叙述した最初の人であったが、「リカード学派の解体も彼とともに始まるのである。」(『剰余価値学説史』ジェームズ・ミルの項)と手厳しい。

 解説文として書くことが余りありませんので、またまた、無駄話を書き加えます。

(余談1)
 年来の疑問をひとつ。親・子とも有名人の場合大・小で区別するのが普通(プリニウス、デュマ、ピット等、ただしスピキオは叔姪の関係とのことである)だと思うのだが、なぜ大ミル・小ミルといわないのだろう。特に、ミルの場合、親子とも名前のイニシャルがJだから、大・小の方が区別し易いと思いますが、息子のほうが親より偉大な場合「小」とは言いにくいのだろうか。ラテン語はいざ知らず英語では“Elder”,”Younger”としてあるから、そんなことはないとおもいますがね。どなたか、ご存知の方があれば教えて下さい。まあ、現代の例では、ガルブレイスやサムエルソンの場合は息子の経済学者の方が小粒過ぎて呼ぶのにはばかれるでしょうが。

(余談2)
 ジョン・スチュアートの妻ハリエットはよく知られているが、ジェームズの妻すなわちジョン・スチュアートの母の名も、ハリエットということを今回調べていて、初めて知りました。ジョン・スチュアート・ミルといえば、ファーザー・コンプレックスでよく知られていますが、案外マザコンだったのかしらと思ったりします。

 米国の書店より購入。標題紙に旧所有者のサインが2つある。 

(拡大可能)
(H18.6.11記.B)


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