Vivien's CINEMA graffiti 14




百円の恋


安藤サクラ / ★★★


安藤サクラの肉体も含めた演技が見所ですが、それ以外はまあまあかなあ。前半は何か隔靴掻痒といった感じ、もどかしさを感じました。低予算映画によくある、聴き取り辛いセリフにも往生しました。ちょっともったいない感じのある作品でした(もっとよくできた思うので)。

しかし、ボクシングのシーンはとてもよかったです。最後、相手に「ありがとう、ありがとう」というところは涙が出ました。

(2015.3.4 第七藝術劇場)






紙の月


腑に落ちない / ★★☆


小林聡美が出演しているということで、遅ればせながら鑑賞しました。キャストが各種演技賞を獲得している作品で、その辺はさすがに見応えがありましたが、みんな何かイヤなヤツばっかりでゲンナリしました。物語も何か腑に落ちない感じ。主人公の気持ちもよく分からないし(他人のお金で一流ホテルのスイートで豪遊するところなんか、嫌悪感を覚えたりして)、主人公のまわりの人間、夫も上司も顧客も、みんな迂闊な人ばっかりだし。主人公が一心不乱に偽装工作に勤しむところは、何か一種の可愛らしさみたいなものを感じたので、いっそ、その辺をブローアップしたブラックコメディにすればよかったのに。あまりにもストレートに生真面目に語られても、面白くも何ともない物語でした。

(2015.2.23 宝塚シネピピア・2)






味園ユニバース


ディープ大阪 / ★★★★


大阪が舞台ということで興味があったのですが、二階堂ふみが出演しているというので、さらに興味津々に。山下敦弘×渋谷すばるという布陣にも、何やら不穏な期待を掻き立てられましたが、その予想通り、魅惑的な浪花ムービーになっていました。

大阪といっても、ミナミとか大正区とか、自分的にはあまり縁のない地域で、ちょっとというか、かなりディープな印象がありますが、その地域的特性がうまく生かされ、馴染みはないけど親しみはあるという、なかなかに心地よい時間を過ごしました。

浪花ムービーのキモはやはり大阪弁、ネイティブの出演者が多くてその辺は文句なし。二階堂ふみの大阪弁もほぼ完璧で、これはなかなかスゴイことではないでしょうか。

山下作品は題材やキャストによってはイラッとすることもあるのですが、今回は悪くなかったです。すべての記憶をなくした男、しかしひとつの歌だけは残ったという物語を、いつものようにグダグダと描きながら、ほのかな温かみを醸し出しているところが好みでした。

渋谷すばるを起用したのはダテではなくて、音楽映画にもなっているのですね。その声も聴き応えありでしたが、「赤犬」という歌謡バンド(!?)の昭和チックなライブシーンにもワクワクしました。

(2015.2.16 MOVIXあまがさき・11)






さよなら歌舞伎町


裸の天使 / ★★★★


廣木監督の作品は好きなときも嫌いなときもあり、今回は多分嫌いな方かと思ったのですが、『メビウス』で強烈な印象を残したイ・ウヌ(イ・ウンウ)が出演しているので観に行きました。

舞台は歌舞伎町のラブホテルということで、セックスシーンもテンコ盛りでしたが、大都会の片隅で懸命に生きている青春群像(おばさんもいるけど、笑)を適材適所のキャストが好演、ほのかなユーモアと優しさの感じられる空気感も心地よく、意外と爽やかな作品になっており好印象でした。

お目当てのイ・ウヌは、お人好しすぎるデリヘル嬢を、体を張りながらチャーミングに演じていて、ほぼ主役。まるで天使のような役柄に頬が緩みます。忍成修吾と我妻三輪子、南果歩と松重豊も思わず応援したくなるような健気さで、鑑賞後の後味がとてもよかったです。

PS 観に行ったのは雲の垂れ込める日だったのですが、雲間から夕方の温かい光が降り注ぐ情景が車窓に眺められ、何かうっとりしながら帰りました。

(2015.2.3 テアトル梅田・1)





星取表点数

★★★★☆90点 大満足(年間ベストテンに入れる)。
★★★★80点 満足(年間ベストテンに入れるかも)。
★★★☆70点 ほぼ満足(年間ベストテンに入れない)。
★★★60点 悪くないけど、ちょっと気になるところがある。
★★☆50点 悪くないけど、かなり気になるところがある。
★★40点以下 好みに合わなかった(基本的には採点しない)。




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