メビウス ギドク流『聖痕』 / ★★★★☆
苦痛と快楽は紙一重、凄惨と滑稽も紙一重。痛い描写や凄まじい感情表現が満載のギドクの最新作、相変わらず面白いです。同時に、セリフは一切なしという意欲作でもありと、見応えのある一作でした。幼時に男性器を切り取られた主人公の一生を描くのは筒井康隆の小説『聖痕』ですが、性の何たるかも知らない幼児ではなく、性に目覚め始めた少年の性器が切り取られたとしたら、というのが本作です。
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俳優は俳優だ ギドク×アイドル / ★★★★
ギドクの製作・脚本ということで観に行きました。題名から分かるように、同じくギドク製作・原案の『映画は映画だ』の姉妹編といったところ。ちょっと哲学的な趣きもあった『映画は映画だ』に比べると、もっとストレートな作品でしたが、自分的には「山椒は小粒でピリリと辛い」系の、とても好きなタイプの作品でした。
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最後の命 中村文則初映画化 / ★★★☆
少し前にマイブームだった中村文則作品の初映画化で、柳楽クン主演ということで観に行きました。子供時代の経験からトラウマをこうむってしまった二人の青年を描く作品ですが、キャストが好演でした。柳楽クンはもちろん、もうひとりの主演の矢野聖人も魅力的。モノクロに近い映像も魅惑的で、物語を極力その映像で表現しようとしているところにも好感を覚えました。とても真摯な作品ですが、自分的にはこの原作はそれほど好きではないのが残念です。
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祝宴!シェフ 有点灰心 / ★★★
16年ぶりのチェン・ユーシュンの新作ということで、行きはワクワクしていたのですが、帰りは・・・・。退屈はしなかったのですが、映画というよりは漫画という感じの本作、ちょっとガッカリでした。
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レッド・ファミリー 資本主義は手強い / ★★★☆
ギドク脚本・製作ということで観に行きました。コメディと聞いていたので、もっと笑えるのかと思っていたのですが、そこは肩透かし。ギドクが監督していたら、もっとヘンな笑いに満ちた映画になっていたと思うし、自分的にはそういうのが好みなのですが、しかし、これはこれで悪くなかったです。
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まほろ駅前狂想曲 工藤ちゃんライター / ★★★☆
まほろ駅前シリーズの第二作、あいだにテレビドラマをはさんだせいか、一作目とは若干雰囲気が異なるような気もしましたが、瑛太と松田龍平の距離感や、二人の醸し出す空気感は相変わらず心地よかったです。
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監視者たち 香港映画のリメイク作 / ★★★☆
香港映画『天使の眼、野獣の街』をリメイクした韓国映画。オリジナルはタイト(上映時間90分)でクール、なおかつ終盤がエモーショナルで涙々という、実は隠れた快作なのでした。
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郊遊<ピクニック> あれから二十年 / ★★★★
デビュー作から現在まで、リアルタイムで見続けてきた監督はそう多くはないのですが、ツァイ・ミンリャンはそのひとり。実はファンレターを出したこともあります。デビュー作の『青春神話』と二作目の『愛情萬歳』が、大阪では同じ日に公開されたのですが、公開初日にまずベネチアグランプリの『愛情万歳』を観てとても好きになり、その頃は土曜日に映画を観に行く習慣だったのですが、次の土曜日まで待ちきれず、翌日『青春神話』を観に行ってしまいました。その『青春神話』がまたもや私好みの作品で、二作に感激したあまり、思わず手紙を書いてしまったのです。
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円卓 こっこ、ひと夏のイマジン 阪急電車 / ★★★★
製作委員会に名を連ねているのは在阪の各テレビ局。在阪の関西テレビと読売テレビが手を組んでヒットさせた『阪急電車』のやり方を踏襲したと思われますが、そのわりに関西が舞台という情報は浸透していないようで残念。関西弁が楽しいし、作品的にも面白いし、阪急電車も出てくるし、関西の人は映画館に駆けつけましょう(笑)。
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私の男 ちょっと苦手 / ★★★
物語は暗く重く、性描写や暴力描写も粘っこくて、嫌悪感とまでは行かなくても、少し居心地の悪い思いもしたのですが、終盤の浅野忠信のセリフにちょっと頬が緩んだりして。
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GF*BF 報われない想い / ★★★☆
台湾の青春映画には同性愛を描いた作品が多いのですが、これもその一本。男ふたり(忠良、心仁)、女ひとり(美宝)の27年にわたる恋と友情の物語(心仁は美宝に恋し、美宝は忠良が好きで、忠良は・・・・)。そこに社会的、政治的状況も絡めているところが異色です。
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罪の手ざわり HNは「水を求める魚」 / ★★★★★
ジャ・ジャンクーの久々の新作、極力、前情報をいれないようにして、とても楽しみにしていました。冒頭5分、ケレン味のある活劇タッチにワクワク、それに続く烏金山の惨劇後、これから一体どんな展開が、と息詰まった瞬間、画面にはこれまでの作品でお馴染みの長江を行く連絡船の映像が・・・・。
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ぼくたちの家族 穏やかに心癒される / ★★★★
立派な一戸建てが並ぶ郊外の住宅地、その情景を遠くから捉えた映像にふと、「幸福な家族はみな似ているが、不幸な家族は不幸なさまもそれぞれ異なる」という言葉が心に浮かびました。外側から見れば整然と美しい家並の、しかし、それぞれの家の中では一様でない暮らしが営まれている。
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野のなななのか 大林宣彦的ワンダーランドEXPLODE / ★★★★★
なぞなぞのようでもあり、呪文のようでもあるタイトルに2時間51分という長尺。ドキドキ、ワクワクしながら臨んだ大林作品ですが、うーむ、これは・・・・。ちょっと唖然ともしてしまうし、陶然ともしてしまうし、さらに粛然ともなってしまうような作品でした。
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クローズEXPLODE 闘う理由、闘わない理由 / ★★★★
柳楽クン目当てで観たのですが、他のキャストも魅力的で予想以上に楽しめました。女の子には目もくれない喧嘩映画、ヌルーい恋愛映画が苦手な私には爽快とも思える作品でした。 |
そこのみにて光輝く ホップ・ステップ・大ジャンプ / ★★★★★
私事で映画を観る時間もないほど多忙だったのですが、約一ヶ月ぶりに観た本作は胸に染み入るような作品、やっぱり映画っていいですねと再確認しました。前作『オカンの嫁入り』でファンになった呉美保、その後、処女作の『酒井家のしあわせ』も観ましたが、両作とも好感のもてる佳作。本作も期待しながら鑑賞しましたが、その期待をはるかに超える秀作にちょっとビックリ。去年の『舟を編む』の石井監督級のうれしいサプライズでした。ホップ・ステップ・大ジャンプという感じ・・・・。
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アイス 大阪アジアン映画祭−2 / ★★★★
二本目の『アイス』は台湾で映画製作を学んだミャンマー出身の新鋭監督の作品で、ミャンマーを舞台に中国系の男女を描いています。
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上から見る台湾 大阪アジアン映画祭−1 / ★★★
毎年恒例の大阪アジアン映画祭、今回は『上から見る台湾』と『アイス』という二作品を見ました。
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土竜の唄 潜入捜査官REIJI 面白くなかった / ★★☆
程度の差こそあれ、いつも楽しめる三池作品。しかし、今回はダメでした。三池監督とクドカンの強力タッグというふれこみですが、どうもそれぞれの持ち味や面白みが相殺されているように思います。両雄並び立たずといったところでしょうか。
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永遠の0 責任者、出てこい / ★★★☆
最初は興味がなかったのですが、濱田クンや染谷クンが出てるし、監督が山崎貴なら観てもいいかなと思いました。でも、ちょっと忙しい日々が続いていたので、もういいかなあとも思い始めた時に、流行りもんが好きな母親が観たいと言い出して一緒に鑑賞。
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ラッシュ/プライドと友情 好敵手物語 / ★★★★
A型ドM男とO型ドS男の対決?何もかも対照的な好敵手を描いたハラハラドキドキの物語。炎の中から蘇るラウダ、テレビのレース実況を眺めながら苦痛に耐えるその姿は求道者のごとく、女好きで自由奔放なハント、そのレースぶりも本能の赴くまま、あたかも野獣のごとく、その二人の対決はなかなかに魅惑的な「男の世界」でした。そしてそれぞれの女性関係が物語に深みや人間味を与えています。映画ファンとしてはリチャード・バートンやクルト・ユルゲンスの名前が出てくるのも興味深いものがありました。
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スノーピアサー 珍作 / ★★★
賛否両論ありそうなポン・ジュノの新作ですが、今のところは賛の方が優勢みたいですね。私は否かなあ。ソン・ガンホとコ・アソンがやはり親子を演じた『グエムル/漢江の怪物』は「怪作にして快作」という感じでしたが、本作は自分的には「珍作にして微妙」でした。
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ペコロスの母に会いに行く 懐かしい顔がいっぱい / ★★★★
老親介護という、見たいような見たくないようなテーマで敬遠していましたが、近くの映画館での上映が始まり、またいくつか映画賞も獲得しているということで観に行きました。
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危険な関係 勿弄愛情 / ★★★★
ホ・ジノとチャン・ドンゴンが韓国から参加した中国映画。ホ・ジノは大好きな監督なので観に行きましたが、有閑階級の恋愛ゲームという題材自体は好みではありません。しかし、原作の舞台を1931年の上海に置き換えた本作、めくるめく大メロドラマという感じで、予想外に楽しめました。
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名探偵ゴッド・アイ 初笑いの大笑い / ★★★★
2014年の映画始めはジョニー・トー、やりたい放題テンコ盛り、その過剰さにニコニコの130分でした。トー作品にしては長尺、それもそのはず、アンディ・ラウ&サミー・チェンというゴールデンコンビによるラブコメディ(日本では馴染みはないですが)に『MAD探偵 7人の容疑者』をプラスした内容。一本で二本分のお楽しみが味わえる、トー・ファンにとってはおもてなし映画ともいえる一作でした。
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