先日、部屋の掃除をしていたら古い映画の前売り券が出てきて、自分の「物持ちのよさ」にビックリ! でも、こういうものって、結局いつかは捨ててしまうとしても(ある日突然、どうしてこんなものを、と思ったり)、なかなか捨てられないのよね。で、なつかしさもあってまじまじと眺めていたら(なかなか掃除が終わらない)、料金が安いのでまたビックリ! ジョン・ウェインの"Cahill"(邦題が書いてないけど何ていったかな?)が500円で、「ライムライト」が半端の520円。「ボギー! 俺も男だ」(同時上映・暗殺の森、ヘンな組合せ!)が550円。「上級生」が600円。「グライド・イン・ブルー」(同時上映・白熱、これは順当かな)が650円。「田園に死す」が700円。「走れ!つぶせ!急所を狙え!」の「ロンゲスト・ヤード」が800円。これが確か1975年だから、15年で500円上ったというわけ。他の物価と比べたらどうなのか分からないけれど、五割以上の上昇率はやはりひどいよね。もう少し安いと、私も助かるんだけど、といいながらも、二本立て前売り700円の大毎地下とか、500円の大毎地下名画鑑賞会にせっせと通い、お金を節約して本数をかせいでいるのであった。
昔は自主上映も盛んだったんだな。「特集・現代日本の青春映画」が三本立て500円。会場はフェスティバル・ホール(「仁義なき戦い」の三本立てもここで観たけど、信じられる?)。二番組あるんだけど、私の観たのは「斉藤耕一の世界」(小さなスナック、約束、旅の重さ)。他の二作品はもちろん秀作だけど、「小さなスナック」が意外と好きだった。パープル・シャドウズというグループ・サウンズの歌う、まるっきり歌謡曲の主題歌にはマイッたけど(画面に出てきて歌うシーンがあるのよね)、当時はトニー・パーキンスみたいだった藤岡弘と西野バレエ団にいた女の子(名前忘れた)との悲恋物語。けっこう泣いたような気がする。
「大阪シネ・サークル”埋もれた名画”フェスティバル」は料金不明。中之島の中央公会堂で「動物と子供たちの詩」と「コッチおじさん」、「哀しみの街かど」と「幸せをもとめて」の二番組。前売り券が二枚あるから、どちらも観たはずなんだけど、「哀しみの街かど」を観た記憶が欠落していてまたビックリ!(最近ビデオが出たので、そのうち見ようと思っていた)。アル・パチーノ主演なのに大阪ではなかなか公開されなくて、大喜びで観に行ったはずなのに・・・。「コッチおじさん」はジャック・レモン監督でウォルター・マッソー主演。孤独なおじさんが未婚の母の力になるというまじめな映画で、けっこう好きだったような気がする。
1975年12月29日(月)1時開始、と前売券にしっかりと年月日時間まで記してあるのは、三越優秀自主製作鑑賞会「8ミリ映画の新しい波’75」である。(来年こそあなたの映画を創りましょう)というコピーも添えてあって、あの頃の熱気を思い出した。そういえば、三越劇場の支配人だった面白いおじさんは今どうしていらっしゃるのだろう。無料の映画会をたくさん開催してくれて、よく通ったものだったが・・・・。
と、しばし追憶にふけってしまったが、時間と記憶の関係というのは本当に不思議だ。「幸せをもとめて」なんて大した映画じゃないのに内容を覚えているし、内容をおぼえていない映画でも、どこで観たかをしっかりと記憶していたりする。それが今は記憶のなかにだけ存在する映画館だったりして、時の流れを痛感してしまった。
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