TVBS「真情指数」蔡康永訪陳昇 (98.9)

Part U

テレビのトーク番組の採録です。陳昇蔡康永(聞き手)Vivien


曽寄人籬下渾渾e4e4的度日

広告会社の後・・・・半年間の失業期間があったと読みました。この半年間、ビールに頼って日々を過ごしていたそうですね。そのうえ、日光が床の上を移動する速度を見ていた。そうでしょ・・・・これは広告会社の後のことですか。

その頃はもう・・・・ほとんど、すぐにレコード会社に入るとこだった。僕は冬になるといつも・・・・いつも思う。やっぱり・・・・明日なんか来そうもないって。やっぱり、いつも日光が床の上を移動するのを見ていた。あの頃のあの冬は特別晴朗だった。エルニーニョ現象がなかったせいかどうかは知らないけど。(ええ若いもんが日がな一日、床を見ていたなんて、想像するだけで切なくなります。でも陳昇のことだから、そんな時も、頭の中であれこれと思いを巡らせていたのでしょうね。それが今の陳昇の土台になっているのかも。人間には無為の時間も必要なのさ)

それじゃ、失業している状態も、あなたにとっては快適だったんだ。そうでしょ。

違う、違う・・・・あの頃はいつも百元で一週間を過ごさなきゃならなかった。ちっとも愉快じゃなかった。非常につらかった。

北投の友達の家に居候していたんでしょ。

そう、そう。だけどやはりご飯は食べなきゃならない。彼の家ではただで栄養のある昼飯を提供してはくれなかったさ。

お金がなかったから、ビールを飲んで日を過ごすしかなかったんだ。私はまた・・・・。

いや、いや・・・・あの頃知り合ったたんだ・・・・もっと風変わりな友達に。うん・・・・どうして知り合ったんだっけ。僕は別の種族の仲間に入ったってわけさ・・・・そう言うべきだな・・・・あの頃、宋光泰という作家がいた。

光泰。

そう。

一時期、わりと注目されたことは知っています。

僕はあの頃・・・・彼らとわりと近しかったんだ。

えっ、彼は同志の世界に関係のあることをたくさん書いていますね。(同志はYOKOさんによれば同性愛者のことだそうです)

そうそうそうそう・・・・。

じゃ、その頃は同志酒Ba(ゲイバーみたいなものでしょうか?)に入り浸っていたんですか。

入り浸っていたわけでもない。僕にもはっきりしない。どちらにしろ、みんな友達だったってわけさ。(Vivien も時に疑うことがあります。陳昇は女よりも男の方が好きなのではないかと。それを隠すために、わざと女好きのふりをしているのではないかと。ハハハ)

あなたにはすることもなかったというのが、本当のとこですね。

することはなかったよ。時には・・・・ほとんど半年、何もなかった・・・・仕事にも就けない。それに独身だったしさ。それからあのルームメイトとふたりで、どうせ毎日、あのレナード・コーエンの歌を聴いていたんだ。

えーっと、あなたは一時期、作家の光泰ら一群の人々と・・・・わりと同志の世界に親しんだ生活を過ごした。しかし、あなた自身は少しも話す気にはならない。それが・・・・。

実際、このへんのことをあまり記述しないのは、これらの友達は・・・・特にデリケートで、その後、来るのも早いが、去るのも急だったというわけさ・・・・。・・・・この話、ここでの話題に近づいているかい。

知ることができて、私はとてもうれしいです。問題はありません。ハハハ。・・・・ところで・・・・陳昇の本名は陳志昇ですが、なぜ改名したかというと、聴くところによると・・・・レコード会社の試験を受けようとして、しかし、何度も受けたけれど採用されなかった。また来たと見破られるのが恐くて、改名せざるを得なかった。こういう言い方で正しいでしょうか。


老唱片公司不死心 改名後捲土重来

だいたいはそんなとこだ。なぜなら一度の試験で・・・・。

元の名前が陳昇ほど芸術家らしくないのを嫌ったわけでは。

違う、違う・・・・同じレコード会社を受けに行って、三度行ってもだめだった。採用されなかった三ヶ月あとのことだった。また新聞で見たんだ・・・・何てことだ。また試験をするというのか。この世界には使える人間はそんなに少ないのか。それでちょっと腹が立った。ちょっと腹が立ったんだ。僕は・・・・。

そんなに人が足りないなら、俺を使えよと。

くそっ、くそっ・・・・俺みたいに精彩のある人間を使わないなら、また行ってやる。しかし内心、これでは人に見破られるだろうと思ったんだ。僕は途中までの意気込みをなくして、なくしたまま試験に行った。中に入ると、あの・・・・あとで僕の主管になるんだが、彼が・・・・君には見覚えがあるなあ。どこで会ったんだろう。いい加減な話をでっちあげ、その次は・・・・。

見破られなかったんだ。

そう、二度目に行った時に採用された。採用されてからは、ずっとこの名前を使って来たんだ。

それが、あなたが四、五年仕事をした綜一公司ですね。

そうだよ・・・・それからずっと使ってる。始めた時からこの名前だ。

簡単に変える人ではないんですね。試験に通ると、長い時が待ち受けていました。

おおまかに言って、その後、綜一を離れたことを除くと、あとはずっと滾石公司で、もう変わったことはない。

綜一を離れた原因は、その頃、陳昇はひとりの録音師と一緒に、自分で自分のアルバムを作ろうとしたからだと聞いています。それはしかし・・・・彼の・・・・綜一公司の老板(商店主から社長さんまで、各業種の経営者のこと)がそんなことはするべきじゃないと考えて、辞めさせたようです。

彼はわりと昔風のやり方で、つまり・・・・彼の考えでは、僕が思うに、彼は全く・・・・版権や何か、そんなものは存在するはずがないと考えてたんだ。レコードにいわゆるプロデューサーやバンドの名前を載せるべきだなんて思ってもいない。彼は・・・・あのマドンナの歌がいいと思うと、君、ちょっとカバーしてくれ。それでいいんだ。

そういうわけだったと。

そう、そう。こんな風になったのはあとのことだ。だから・・・・あの時代はまだちゃんとしたやり方なんてなかったんだよ。彼を責めることはできない。

しかし、その頃の彼のそんな態度を受け入れるのは難しかったのでは。

でもないさ。それも当然のことだと思った。つまり、僕も考えたくはなかった。一枚のレコードを作るのに、それが何らかの価値観を備えていなければならないなんて。つまり・・・・僕は・・・・あの頃も・・・・どうやら・・・・君がひとつの仕事に行くとする。で、その仕事を一ヶ月ちゃんとやれば、いくらかのサラリーがもらえるというわけさ。レコードに名前があろうとなかろうと、重要ではなかったんだ。

それではその後、綜一公司を離れたのは、主として、あなたが自分のアルバムを作ろうとしたのに、老板が同意しなかったからですね。

思うに・・・その後・・・・恐らく少し原点に戻って話すと、つまり、書かずにいると辛い。その種の気持ちを抱き始めた・・・・発表しないでいると辛い。どうしても歌いたいというわけではなかったんだ。(天性のアーティスト、陳昇の目覚め! どうしょうもない力で湧き上がってくる創作のエネルギー・・・) その後、あの録音室の老板、麗風の徐崇憲先生・・・・彼が僕に言ったんだ。それならこうしよう。僕はそろそろひとつの時代がやって来ると思うんだ。君はバンドを作りなさい。そうして・・・・自分のやりたい音楽をやればいいってわけさ。というのも、彼は毎日見てたんだ。僕がその後ずーっと他人の歌をカバーするのを。そんなのは楽しくない。それはつまり、したいことをするというわけじゃない。少し金が必要だったが、蓄えなんてあるもんか。すると彼は言った。じゃ、僕がまず何十万元か、貸してあげよう。それで君はバンドを始めるんだ。(このくだりは何度読んでも感動! 「徐先生、因為有 Ni、所以我才能見到陳昇、太感謝了!」と、頭を下げたくなります。それにしても、人と人の出会いというのは不思議に満ちておりますね)


録音室老板出資 開始組團唱歌

それで始めたんだ。だけど心の中では思ってた。これがうまく行ったら、持って帰って、あの老板に聴いてもらおうなんてさ。結局、ある日、電話がかかって来た。「小陳、会社に来るのがいやなのか」。僕は言った。ずっとデモテープをろ、ろ、ろ、録音してるんですよ。「じゃ、もう戻って来る必要はない」。それで夜、荷物をまとめに戻ったんだ。

薄情だなあ。

うん・・・・もし彼の立場だったら、僕だって腹を立てるだろう。何をやってるのか分からない。どうして三ヶ月も仕事に来ようとしないのか。

その後、このアルバムが出来上がり、果たして・・・・四方の壁にぶち当たったのですか。あちこちで人に聴かせたのですか。

壁は四方にはなかった・・・・二方だけだ。つまりあの頃・・・・古臭いあの、旧式の海賊版や翻訳歌の時代が終わりを告げ、僕は・・・・僕もあの葬送の鐘を鳴らすのを手伝ったことになる。トントントン・・・・時代が・・・・新しい時代が来たんだ。創意歌曲の時代が来た。創作歌手の時代が来たってわけさ。始まるとすぐに・・・・李宗盛らのようなアコースティックギターで本当に始まり、それから童安格たち・・・・馬兆駿。彼らがすでに前をひとしきり走っていた。時代が来たんだ。それから、わりと大きなレコード会社がふたつ始まった。ひとつは飛Die(UFOレコードでしたっけ?)、ひとつは滾石(これはロックレコードですね)で、ちゃんとしたやり方を始めた。しかし、このふたつの会社はすぐに違う方向に向って歩き始めた。徐先生はもう認識していたってわけさ。それから彼は、僕たちはまず比較的・・・・アイドル、商業路線に向うべきだと考えた。だから初めは飛Dieに推薦してくれた。しかし・・・・明らかに・・・・。

合わなかった。

そう・・・・もしかして・・・・あの時、そのままやっていたら、僕は今・・・・。

アイドルだったんですね。(そりゃ、ないぜ! 笑)

そうだよ。こんな風じゃなかったかもな。そうだろ。そんなのは似合わないから、もう一方に換えたってわけさ。こっちは一、二曲聴いただけで・・・・すぐにマッチした、ぴったり合った。で、その路を歩いて来たんだ。



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