劉若英在唱歌

雨季 「雨季」(95.12)

窓の外はしとしとと糸のような雨
あなたは雨の中をやって来た
心のこもった眼差しを優しく向けて
僕を引き留めていたのは雨ではないと言った

まるでいじめられた子供のように
目にはほんの少し雨水が
雨なのか涙なのかあいまいなままに
あの年の春の小雨だった

窓の外は今も糸のような雨
だけどあなたの姿は見えない
遠方からもたらされたひとつの便り
あなたは以前と変わらず無事でいると

雨の中を歩いていると悲しくなってくる
あなたは今でも私のことを覚えているだろうか
あなたを引き留めている場所はとても遠いと聞いた
そこで華やかな暮らしをしていると

雨の中を歩いていると悲しくなってくる
あなたは今でも私のことを覚えているだろうか
もしも待つことが甘美な試練であるならば
私は永遠にあなたを待ち続けよう

窓の外は今も糸のような雨
だけどあなたの姿は見えない
遠方からあなたに送る一通の便り
私はあなたを懐かしく想っていると
私はあなたを永遠に待っていると

Vivien's note :
陳昇の心の中には確かにひとりの少年が住んでいますが、少女も住んでいるのでしょうか。そんなことを思わせる、とてもリリカルな詞。雨、少女、手紙・・・・・。Vivien がもし自分の映画を撮るなら、この三点セットは必ず取り入れましょう(笑)。




閣楼 「到處乱走」(96)

昨夜から残るコーヒーの香り
忘れてしまった 訪れた人がいたのだろうか
名前もない屋根裏部屋
声をあげることもない都会の中のささやかな場所

ドアのそばに転がるスリッパ
微風に吹かれている紗のカーテン
ベッドのかたわらでまどろむ猫
何もかも私の瞳の中で滲んで行く

屋根裏部屋に住んでいるひとりの人
彼女は心の中にひとりの人を住まわせている

こんな物語は歳月の知らぬこと
決して特別なことではないのかもしれない
こんな物語は去っていった彼も知らぬこと
このまま忘れ去るのがよいのかもしれない

どうして人の想いはこんなにも難しいのか
あなたは彼を想い 彼が想っているのは彼女
陽光はなおも青空に輝いているけれど
私の空には雨が降っている

Vivien's note :
第二段落の最終行「何もかも私の瞳の中で滲んで行く」は、涙という単語は出て来ませんが、もちろん涙で滲んで行くわけですね。「世間情歌」には「朦朧的 Ni 」、「最後一盞燈」には「站在街燈潺潺淹没的街頭」という類似の表現があります。あとの二つはどちらも男が泣いているわけですが、この歌詞の「私」は女性なのでしょうか。素直に読むと、この屋根裏部屋の住人である「彼女」ということになるのですが(その場合は、最終段落の二行目は一般論ということになりますね)、その彼女を主人公にした物語を外側から眺めている他者であるとも考えられます。もし陳昇が歌う場合には、この「私」は「僕」と訳せそうですね。




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