如風的少年
1958年統一試験の終わったあの日
ジミーがバイクに乗って僕に会いに来た
色褪せたカーキ色の長ズボンを穿き
顔にははにかんだ笑みを浮かべていた
僕たち二人は鳳凰樹の陰に身を隠し
比べるものがないほど青い空を眺め
こっそり煙草を吸う練習をしたりした
だけど一言も話はしなかった
日が西に傾くまで遊びほうけて
弟がご飯だから帰ろうと呼びに来た時
彼はやっと口を開いた ごめん
君と一緒に叶えることはできなくなった
あの子供っぽいたわいのない夢を
Don't cry, Jimmy Jimmy Don't cry
Don't cry, Jimmy Jimmy Don't cry
Don't cry, Jimmy Jimmy Don't cry
僕たちは風のような少年だった
1958年北風の吹き始めたあの日
僕は北へ向かう汽車に乗った
彼は緑色の軍用ジャケットを着て
ホームに立ち僕に別れを告げた
四輪車を手に入れたから会いに戻った
最後の記憶は彼が僕に言ったその言葉
誇らしげに北風に向かい狂ったように叫んだのだ
そうして別れを告げた風のような少年の生活
お互いに分かっていたんだ
誰もが自分の道を行かねばならない
過ぎ去った日々を悲しんでいる時間などないと
勇敢に手を振り別れを告げよう
努力すれば心の中に美しい記憶が残るだろう
Don't cry, Jimmy Jimmy Don't cry
Don't cry, Jimmy Jimmy Don't cry
Don't cry, Jimmy Jimmy Don't cry
風のような少年
風のように意地っ張りの少年は
とてつもなく偉大な夢を抱いていた
だけど今はただ風の吹き始める夜
あのはにかんだ顔を思い出すだけ
Don't cry, Jimmy Jimmy Don't cry
Don't cry, Jimmy Jimmy Don't cry
風のような少年
Oh 風のような少年 結局失ったものは何だったのか
分からない 僕がジミーのことを哀れむべきなのか
それともジミーが僕のことを悲しむべきなのか
Oh 風のような少年
Vivien's note :
かって一緒に青空を眺め、夢を語りあった友との別れ。過ぎ去った時間への甘い追憶と、人はそれぞれ自分の道を行かねばならないという苦い認識。これは誰にでも覚えのある普遍的な出来事。ジミーの抱いていた、とてつもなく偉大な夢とは何だったのだろう、この曲を聴くたびに、そう思う Vivien です。
Vivien の夢は、二十代の頃は映画評論家になりたくて、せっせと映画に関する文章を書いていました。今、陳昇へのファンレターに、詞や小説の感想を書く時、それが役に立っています。三十代の頃は翻訳家(英語)になりたくて、何年も翻訳教室に通いました。原文の意味さえ取れれば、そのあとの日本語にするという作業は同じなので、それも今、役に立っています。こうして振り返ってみると、回り道を続けてきたかのような道程も、長い助走だったのだという気がします。陳昇の詞と小説を翻訳するという「ライフワーク」に辿り着くための。だから、今は最高に幸せ !
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