Illust_gang_talk


「陽気なギャングが地球を回す」
このミステリーがすごい、で入賞したときから気になってはいたのですが、
昨日やっと購入し即効で読んでしまいました。 面白かったです!とにかくキャラクターがいい!

リーダーは100%嘘を見抜くことができる人間嘘発見器、成瀬。
「サンタクロースの格好をした男の大半はサンタクロースじゃない」
逆に口を開けば嘘八百、演説好きの雑学王、響野。
「ロマンはどこだ」
人懐こくどこか犬を思わせる天才スリ師、久遠。
「あまりに中身が入ってなさそうだったから。こっそり返しておいたけど」
秒単位の精密体内時計を生まれながらにして持つ女、雪子。
「あっちのエレベーターと六秒差よ。たぶんそんなに遠くには行けないわ」

こんな4人が集まって何をするかと思いきや、彼らはなんと百発百中の銀行強盗団なのでした。計画は緻密にして周到。実行は俊敏にして鮮やか。この日も仕事は完璧、…のはずでした。逃走中に巷を騒がせている現金輸送車ジャックに鉢合わせするまでは!

楽しくて楽しくて読んでる間中、顔がにやけっぱなし。コメディタッチで書かれているので死体が出てきてもぜんぜん血なまぐさくないところもいいですね。キャラクターはみんな好きですが私は特に響野さんが好きです。

銀行強盗の最中に「本日はお忙しいところまことに申し訳ありません。紹介が遅れましたが、私たちは銀行強盗です。」から始まって約6ページ分しゃべり続け、銀行強盗が終わると、「みなさん、最後までお付き合いいただいてありがとうございました。ショウは終わりです。ごきげんよう。」と言って、きれいにお辞儀をして風のように去っていく。
ああ、なんてかっこいいんだ!


「陽気なギャングの日常と襲撃」
挿絵の桜子さんにならって、いろいろ詰め込んでみました。幻の女の挿絵で、女の人がちゃんとかぼちゃの帽子をかぶってたのがよかった。ウイリアムアイリッシュの「幻の女」へのオマージュですよね。
あーだめだ。楽しすぎる。電車の中でにやにや笑ってしまって、私の前に座ってた人に、こんな気持ち悪いにやにや笑いが出る本なんて絶対読みたくない、と思わせてしまうほどにやばかった。感情が抑えられん!

以下、ダイジェスト感想です。ネタバレ含む。

よかったシーン
・成瀬のロマンはどこだ
ききとれなかったけど、成瀬も言うんだ、と思って嬉しくなった
・「私の喫茶店とどちらが広いのか知りたくてな」
・雪子は、結局自分ではストップウォッチを確認しなかった
かっこいい!
・「なにをやられているんですか?」「強盗」
みんな自分の能力とか銀行強盗のこととか隠さないよね
・誰も聞いてないのに「すったんじゃないよ」
・「これはサイフです」
・「これがそのサイフです」
・酢豚のパイナップルをのこす久遠
ホントに嫌いだったんだ
・「え、嘘。何で?僕のニュージーランドを汚さないで欲しいんだけど」
なんかこの言い方がかわいい。
・雪子が祥子と10代の時に友達になりたかった、と思うところ
・成瀬の離婚の理由を聞かれ、話をそらす響野
これは絶対知ってて隠してるよね
・地球儀を回す成瀬
まさに陽気なギャングが地球を回しちゃった瞬間
・「やめてください、久遠さん」
・「助けて、助けて、誰かボクシングのできる人。ボクシングの得意な喫茶店の人」
・「えっと、恐怖新聞です」
律儀に相手も「何新聞だよ」とか聞いちゃうところがお人よし
・「待ってろ久遠。今行くぞ」
その後すぐに車が溝に落ちる
・何だかんだ言って響野は運動神経に優れている、と思った
成瀬が響野をほめるのは滅多にない
・手をあげながら、すべきことを確認する4人
手を上げるしぐさがみんな違ってるところがいい
・「こわーい」
女子高生のような久遠
・「まずいんだ。逃げろ」「ばれたんだ」
後から考えれば、かなりの策士成瀬
・久遠に離婚の理由を聞かれ「じゃあ、響野にきけばいい」という成瀬

リンクで気づいたのは
居酒屋「天々」
ガブリエルカッソ
昔のアルパチーノは伊坂幸太郎が成瀬のイメージとしてあげていた
興信所のようなもの、と聞くとどうしても黒澤が出てきてしまったが、
「友達のいなさそうな、気持ち悪い、中年」ということでこれは違うだろう

今回は久遠がかなり活躍していた気がするのですが、めちゃめちゃスリまくってましたよね。煙の中鍵を掏るシーンがかっこよかった。「意外に楽勝だったな」とか言っちゃったりして。


「陽気なギャングが地球を回す」(映画)
陽気なギャングが地球を回す見に行きました。原作ファンの間で前評判が散々よくないことを聞いていたので、ハラハラしながら見に行ったんですが、冒頭で「ロマンはどこだ」って出た時点で全部吹っ飛んだ。だめだ。心臓がばくばくいってる。

まあ、確かに「成瀬はもっとクールで策士でニルアドミラリなんだよ」とか「グルーシェニカーもったいない」とか「なんでラストが違うの?」とか「私は中学生慎一が見たいんです」とか「恋愛要素なんぞいらん!」とか言いたくなる気持ちはわからんでもないですが、私が全部ひっくるめても良かったと思います。DVD買ってもいいぐらい。
以下、ダイジェスト感想です。ネタバレ含む。

好きなシーン
・冒頭ロマンはどこだ
・田中商店で響野が網を飛ばしてしまい小声で「ごめん」
・空に浮いてる役者名を通り過ぎていくテロップ
・「出会いがあれば、別れもあります」カウンターに立ってお辞儀
 つられて礼をするおばあちゃん
・雪子が片輪走行するときに使った滑り台にしんいちの文字
・演説に気を取られハンドルを離す響野→人をはねる→医者に詰め寄る
・「結構便利よ、楽しいことも悲しいことも全部数字に直せちゃうから」
・響野→雪子になってた「愛の力じゃないか」の電話
 響野→成瀬でやってほしかった!
 それからもっと皮肉った感じで言って欲しかった!
・「神崎には会ったこともない」
 「あのなあ…!」
 「嘘は言ってない」
 「俺もそう思った」響野態度豹変
・成瀬「ギャングは解散だ」
 「用がなくても来たらいいよ、コーヒー飲みにさ」
 久遠と雪子にはそう言って
 地道には「おまえは来なくていいから」という響野
 でも実際久遠が来てると「なんで用もないのに来るんだよ」という響野
・書類を落としまくる鴨打
・雨の中走りながら、メガネとネクタイを外す成瀬
・響野キューピットしようとするが、久遠に止められ、えーという顔
・「雨男がまじったみたいだ」
 「すみません」
 「大人げないよ」
 「大人気なく生きるのが俺のポリシーなんだよ!」の言い方
 2回ともいい
・映画では久遠も響さんって呼ぶんだ
・地道もお揃いの黒服、なんか4人そろうといい
 サングラスの地道かっこいい
・ショーの終わりのようなお辞儀、拍手が巻き起こる
・ジュラルミンケースを落として手を挙げる4人
 てか4人横に並んでるシーンはどれもいい
・響野「嘘が見抜けるくせに、真実が見抜けないお前さんはぽんつくだ」
 成瀬「ぽんつく…」
 そのあと響野ビリヤードが上手くいって、わーぉという顔
・雪子に撃たれて怖がる地道
・雪子「魂のランクが下がってる」原作台詞キタ!
・ソファーの羽で口の中がもさもさになる地道
・雪子「デートのお誘いならお断りよ」
 成瀬「あいにくデート用の車じゃないんだ」
・カウンターに立って天井に向けて3人が順番に銃を打つところ
 背中がかっこいいよ。スクープの音楽もいいよ。
・爆弾のボタンにビビる警官
・建物から世界一安全な街づくりの垂れ幕を落とす田中
・雪子に叩かれる成瀬
・一番ちゃっかりしている久遠
・響野、映画の終わりについての演説
 これが映画用に伊坂さんが考えたやつですよね。

はい。やっぱ響野がいいですね。響野は原作そのままって感じでした。原作では成瀬はもっと超然としたキャラクターだし、久遠はあそこまで冷めてはない。雪子は映画のほうが子煩悩になってた。でも、いいよ。みんなかっこよかった。パンフもメイキングもサントラも買っちゃたよ。

 
「陽気なギャング」(雑誌)
「伊坂幸太郎WORLD&LOVE!」という伊坂作品紹介の雑誌を買ったのですが、
陽気なギャングのページで「無重力ピエロ」さんの掲示板で書いた感想が、
ファンのコメント欄に載ってました。びっくりした。
しかも一番手。笑
これだけでも買った価値がありましたね。
伊坂検定として、100問クイズが載ってるので解いてみたのですが
77点でした。1問凡ミスをしてしまったので、78点はとれたのになあ、と反省してます。
でもこれ難しすぎますよ。作品について結構いろいろまとめている方なので
もうちょっと分かるかなと思いましたが、
選択問題はともかく記述問題は4割しか正解できなかった。
というか、この本にほとんど正解が載ってるわけで、ちゃんと読んでからやればよかったのか。
いやでも実力テストということで、これでいいのかな。

せっかくなので、ギャングファン向けの問題をひとつ。

雪子が始めて盗んだ車の車種と色の組み合わせで正しいものを選べ
a.カローラの白
b.ソアラの白
c.プレリュードの紺

答えは読んで確かめてください。笑

next→
▲Top
■Index