「ジェイド、誕生日おめでとう!」

「ありがとうございます。しかし、この歳になってはあまり嬉しくはないですね。」

「やっぱりそういうものなんですか?」

「アニスは早く大人になりたいのですか?」

「もちろん!



 ・・・・・あの、その・・・・・



 ・・・・・ジェイドと並んでも子供に見られないくらいに早くなりたいです・・・」



「今でも十分魅力的ですが・・・そうですね、今は確かに子供と大人の間の危うさを持っています。
 蕾が綻んでいる辺りでしょうか?・・・・・・・・・華が開いたら、さぞ美しいのでしょうね。」

「・・・あ、あの、ジェイド?そんな真顔で言われたら超ドキドキするんですけど・・・」

「してもらわないと困りますね。口説いているのですから。」

「へっ!?いや、アニスちゃんはとっくに口説かれちゃってますが!!」

「嫌ですねぇ、心変わりしない為の努力は惜しみませんよ。」

「しないですってば!」

「では、より私無しでは居られないように。

 やめるつもりはありませんよ。」

「うぅぅ・・・・これ以上好きになっちゃったら仕事出来なくなっちゃいますよぅ・・・」



「・・・・・・・・・ふむ。



 それはいいですね。



 ではアニス、私に誕生日プレゼントを頂けますか?」



「いいですけど、何が欲しいんですか?」





「貴方を下さい。」






「っっっ!!!えっ、ええっ、えっ、いやっ、そのぉー、・・・・・・・・」

「今貴方が頭に描いてるものも欲しいですが、そうではなく。



 ・・・・・私の所へ来て下さい、という意味です。」






「・・・えっと・・・・・・



 ・・・・・・・・それは、もしかして、



 ・・・・・・・・・・・・・・・もしかしちゃうやつでしょうか・・・?」






「紛れもないプロポーズですが、もう少しムードのある所の方が良かったでしょうか?」



「っ!!!


 ううん、ううん、


 嬉しい・・・


 嬉しいよ、ジェイド!!」






「・・・・・・・・・・・本当に、よいのですか?」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・どうして?」



「年齢差は気になりませんか?」

「・・・ぷっ・・・あははっ!なんだ、そんな事ジェイドが気にしてたんですか?」

「そんな事とはなんですか。
 年齢だけは、私でもどうにも出来ない壁なのですよ。

 ・・・・いかに長生きしようと、確実に私の方が先に死ぬでしょう。

 貴方の残り余生を寂しく過ごさせてしまうのです。



 ・・・・・・・・・・・・・・・それでも、よいのですか?」







「・・・私は、ジェイドが大好きなんです。

 そりゃ将来寂しい思いをするかもしれませんが、それよりも今このプロポーズを断ったら
 きっと一生寂しい思いをします。

 

 ・・・・・何度後悔するか分かりません。



 ジェイドは、私に一生寂しい思いをしろと?」







「・・・・・・・・アニスっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 知りませんよ、もう離しませんからね・・・・・」


「ちょっ!くっ、苦しいですよっ!!」




「・・・・・・アニス・・・・・・・・・・」




「っ・・・・?ジェイド・・・?」




「・・・・」




「ジェイド・・・?

 ねぇ、どうしたの?

 ・・・ジェイド?」




「・・・なんでもありませんよ・・・」

「なんでもない事ないですって!ねぇ、顔上げて下さいよ??」

「嫌です。」

「じゃあやっぱり何かあるんじゃないですか!」

「なんでもないと言ってるでしょう。」



「心配だから言ってるんです!悪いですか!?」



「・・・・・・



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私は、幸せ者ですね。」







「!?えっ・・・・・・・・・・・・・?



 泣、いて・・・・る?」



「だからなんでもないと言ったでしょう。」



「どうして…?」



「幸せで涙が出るというのは本当でしたね。」



「―――――っっっ!!!

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嬉しくって・・・?」



「えぇ、とても嬉しいですよ。」



「・・・・・・そんな・・・・・・っ・・・・・



 ・・・・・・・・・・・・・・・やめて下さいよ・・・・・・・・っ・・・・・・・






 私まで涙出てきちゃったじゃないですかぁ・・・・・・っ・・・っ・・・・・・・・・」














――――― 伝えきれないこの気持ち

――――― 苦しくって、でも、嬉しくって






――――― 言葉では言い現せきれないこの気持ち

――――― 自然と言の葉に乗ってあなたの胸に






――――― 涙が教えてくれる


――――― あなたの幸せを


――――― わたしの幸せを






――――― こんなに、こんなに愛しいことを



































◆――――――――――






「いいもの、ですね。」

「ハイ、素敵な誕生日になりましたね!」

「アニスの顔はぐちゃぐちゃですがね。」

「うっ!ジェイドが悪いんですよっ!!」



「どんなアニスでも愛してますよ。」



「えへへ、私も、どんなジェイドでも愛しちゃってますよ♪」







「「 これからも、どうぞ宜しく 」」