パタゴニアの氷河
氷河(Glacier)とはなに?
高山や高緯度地方では,降り積もった雪が低温のため,
溶けずに,重なってその深さがおよそ30mに達すると,
重力によって緩やかに谷をすべりはじめる。これが氷河
である。氷河は固く重いので,流れる途中で周りの岩石
をけずりとっていく。そのため氷河が流れた跡にはU字
谷やモレーンといった独特の地形がのこる。大きな氷河
をみると,いくつもの黒い筋がみられる。これは氷河が
周りの岩石を削りながら流れ,これがいくつも合わさっ
てできたことを示している。
氷河が谷をながれくだるうちに,降る雪の量よりも表
面からの融解または蒸発による消耗が多くなる地点があ
る。この地点が雪線である。雪線より下までながれてき
た氷河は崩れ落ちて,その水が川となる。
氷河の中心と外側では,摩擦力の差によって,中心部
の流れの方が速く外側が遅い。そのため,氷は引っ張ら
れたり曲げられたりするので,氷河の上方は,何メート
ルもの深さのクレバス(裂け目)ができる。下方の氷は大
きな圧力をうけているため,ひびや割れ目ができてもす
ぐにふさがる。氷河の流れる速さはおよそ1日に1m以下である。
氷河の種類
氷河は,その形や氷河ができた地方の気候などによって,山岳氷河(スイスア
ルプスの氷河),谷氷河(低緯度の高山などにもみられる山岳氷河の1種),山
麓氷河(アラスカの氷河),氷帽(アイスキャップと呼ばれ,山岳氷河と大陸氷河
との中間にあたる氷河)などに分けられる。他の一つは大陸氷河または氷床(南極
大陸,グリーンランドなど)である。大陸氷河や氷床の末端がわれてできるもの
が分裂してできるものが氷河氷山,棚氷が分裂してできるものが卓状氷山である。
氷蝕と氷河地形
氷河によってはこばれた堆積物がつもったものをモレーンといい,氷河の周り
にできるでこぼこした丘を氷堆石という。また,氷河による浸食作用を氷食とい
う。氷河が流れ始める谷の頂部では,周りの岩壁が半円形にけずられる。この地
形をカールと呼ぶ。
山の何カ所かでカールがつくられると山頂がするどくとがったホルンとよばれる
形ができる。氷河がながれた谷は幅が広いU字形のU字谷になる。フィヨルドは,
氷河がけずったU字谷の一部に海が入りこんだものである。
氷河公園のグレイ湖とグレイ湖に浮かぶ氷山
氷河が崩れ,湖の虹がでる
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クしてください。