B.黄斑の形と大きさの測定
 ヒトでは,網膜の中で錐体細胞が最も多く集まった部分は黄色く見える
ので黄斑と呼ばれ最もシャープに像を見ることができる。「自」と「目」の文
字が確認できるかどうかで黄斑部の形と大きさを測定してみよう。
1.被験者は実験Aと同じようにして 記録用紙と顔の距離を30cmに保ち,
左眼を閉じる。
2.「自」と「目」の文字を裏表につ けた検査棒を記録用紙の中心に置き
字が読めるか確認する。見にくいと きはメガネをかけてもよい。
3.被験者は記録用紙の中心部を実験 中じっと注視する。検査係の人は,
検査棒を検査紙の中心から外側に向 かってゆっくりと動かし,どこまで
「自」と「目」の文字が確認できるか調べて記 録用紙に記録する(図6)。
4.実験Aの6と同様にして黄斑部の角度を調べる。横方向ccm,縦方向dcm
とすると,網膜と記録用紙の間は32.5cmであるから次の式で求められる。
横の角度: tanB=c÷32.5=○○ → B°
縦の角度: tanC=d÷32.5=○○ → C° 
○○の数値に近い値をtan表よりさがして角度を求める。

C.色の判別できる範囲を測定する
  錐体細胞には赤・青・緑の3色に感じる3種類の細胞がある。ヒトの眼では錐体
 細胞は網膜の中心部(黄斑付近)に分布している。周辺部には明暗だけを感じる
  桿体細胞が分布してる。赤色・青色・緑色にそれぞれ感じる錐体細胞の分布範囲を
 調べてみよう。
1.10cmの長さの距離固定棒を使って記録用紙と顔の位置を10cmの距離に保ち,左
 眼を閉じる。
2.他の実験と同じように被験者は記録紙の中心部を実験中じっと注視する。検査係
 の人は赤・青・緑色の検査棒を記録紙の周辺部から中心部に向かってゆっくりと動
 かす。色の区別ができるようになったところをマークする。
3.それぞれの色について測定し,マークした点を同色のマーカーで結ぶ(図7)。
 

.赤・青・緑のそれぞれの色を識別できる範囲は90°を越えるため,角度は次のよ
 うにして求める。
 眼と網膜までの距離=検査紙までの距離(10cm)+眼球の奥行き(2.5cm)
横の角度: tanD=e÷12.5=○○ → D°
tanE=f÷12.5=○○ → E°
横方向の角度=D+E=F° 横方向は F°
 縦の角度: tanG=g÷12.5=○○ → G°
  tanH=h÷12.5=○○ → H°
縦方向の角度=G+H=I° 縦方向は I°
〔考 察 〕
1.ヒトの眼には,なぜ盲斑があるのか。
2.日常生活で盲斑を感じないのはなぜか。
3.「目」と「自」の区別は,なぜ視野の中心部付近でしかできないのか。
4.色覚異常は視細胞のうち,どの細胞の異常によっておこるのか。