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vol. 10 信頼の原則 ・・・・ '06年7月26日
先週末のこと、600ccのバイクでツーリングから帰る途中、高速道路上でとても怖い思いをした。
本線を100km/hあまりの速度で走行していたのだが、ふと左前方を見ると、加速車線から本線へ合流 しようとしている乗用車が見えた。 私が走っていたのは右側車線だったため、視界の端でその乗用 車を捉えたまま、特に速度を緩めたりということはしなかった。
しかし次の瞬間、その車は左車線を飛び越えて一気に右車線まで、しかも私のすぐ左前方へ進入して きたのである。
反射的にブレーキを掛けたが間に合うかどうか。 左前方へみるみる乗用車のボディが迫る。 右側は コンクリートの側壁。 もうダメかと思ったが、衝突、転倒、いずれも免れて、事なきを得た。
一瞬の出来事だったが、まったく寿命が縮まる思いだった。
もし二人乗りをしている時だったら間に合わなかったかも知れない。
法律用語に 「信頼の原則」 という言葉がある。 ドライバーは、他の自動車運転者や歩行者などが交通 法規にしたがって適切な行動をとるだろうと信頼して運転すればよく、交通法規に違反した行動に出る ことまでを予想して運転すべき注意義務はないといった意味である。
ちなみに、専門書による記述は次のようになっている。
『近年、自動車運転者の注意義務も次第に緩和され、相手方が幼児や老人の場合を除き、自動車運転者と しては、一般公衆が交通規則に従った注意深い行動をとるであろうという信頼のうえに立って運転すれ ばよく、相手方が交通規則に反した危険な行動に出るかもしれないことをいちいち予想してその都度減 速や一時停止までする注意義務はないとされるようになり、この信頼の原則の法理は、最高裁でも認め られるようになった』 (警察時報社刊・刑法総論・安西温著)
この原則は、自動車運転者間相互においても適用されるべきで、自動車の円滑な運行に関してはこの 「信頼の原則」 が不可欠だといっても過言ではないだろう。
交通量の多い幹線道路を走っていて、いつ何どき歩行者の飛び出しがあるかも知れないなどと考えて 徐行運転などしようものなら、それこそ事故の元である。 また、信号のある交差点に右折待機中の車 がいるからといって、直進車がその都度減速するわけにもいかない。
疑いだしたらきりがなく、青信号で交差点へ進入することも出来なくなるかもしれない。
かといって、所謂 「だろう運転」 をするわけにもいかず、やはり危険を予測しながら、「かもしれな い運転」 を心掛けるべきなのだが、その辺の匙加減が難しいといえば難しい。
しかし相手に過失があろうとなかろうと、ひとたび事が起きれば圧倒的にダメージを受けるのはバイク 側である。 今回の出来事で、やはり四輪を運転する時以上に不測の事態に備える必要があ ることを、再確認した次第である。
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