山スキーツアー
2004年4月30〜5月4日      同行者:SY,TS、KS,HS
ツアーコース 北ノ俣岳ー薬師沢右俣ー中俣

出発の朝り
 以前から北アルプス周辺のスキーツアーを目指していた山スキー同好会であったが、代表のY先生の執念がみのって昨年の不完全燃焼の薬師沢滑降に出かけてみた。
 3日からは生憎の天候で眺望に恵まれなかったが、適時臨機応変な対応を行い真に大人の,快適なツアーであった。
それにしても黒部川をへた後立山では3日も行動可能だったそうなので、この差は何だったのかと思ってしまった。
4月30日(金曜):出発
21:30JR大阪駅-吹田IC-
名神北陸道-
 
北陸道は空いている。今回はY隊長は定刻前の到着である!?
紆余曲折はあれど、昨年に引き続き神岡の道の駅で泊まる。
5月1日(土曜)
 2:30神岡道の駅駐車場(仮眠)
 神岡の道の駅で暫しの休息だ。各自各々の状態で眠りこける.
私とSKさんは常識的にトイレの横の仮眠所で寝たが、その他はデッキの長いすなどで寝たので、「山屋」は融通が利く、とつくづく思う。
 
6:00起床、朝食-7:00発-8:00飛越新道トンネル前ー11:00寺地山-16:00幕営地(幕営)

北ノ俣岳の登り
朝早くから出発準備だ。
神岡からは遠い。
途中、山之村を通過するが、分岐点の分かりにくい所だ。

今日は太郎平までの予定なので長担場だ。
昨年の経験で分かっているが、寺地山、避難小屋からのしんどさは格別だ。
今年は崖崩れで、トンネルの500m前から歩きを余儀なくされる。これも疲れる原因だが行き道は気分が高揚しているので気にならないものだ。
夏道を高圧線まで登ると有峰湖が見える。鍬崎山や今回の目的地の薬師岳、北ノ俣岳さらには黒部五郎岳も一望される。

今年は登る人も多い。我々は
ズリズリ(ザックにシュリンゲでスキーを結わえて引きずり歩く様を言ったが、この表現に異論もあるメンバーもいた。)だが、殆どの人はシールである。

打保からの登山道と合流するピークは開けていて何時もながら快適だ。しかししんどいのは此処からだ。寺地山手前のピークには何時も騙される。寺地山と勘違いして頑張るのだが、実際はもっと遠くにあるので消耗してしまう。

各人とも寝不足と、追加食料による重量増による疲労蓄積で寺地山からは極度にペースが落ちてしまった。
避難小屋で泊まる話もあったが、今回は明日の予定も考えて頑張り、何とか北ノ俣岳の手前の尾根上で幕営出来た。
しかし予定であった稜線までや太郎平小屋までは足が伸ばせなかった.。
5月2日(日曜)
5:00起床、朝食-6:00発-9:00太郎平小屋ー11:30薬師平小屋(滑降開始)-13:00中俣出合ー17:00幕営地(幕営) 
北ノ俣岳より槍ヶ岳
太郎小屋に到着する ヘリコプター
今日は快晴だ。朝から意気が上がる。
朝食をさっさと済ませ、いざ出発だ。
十分に睡眠を取ったので、昨日の疲労はもうない。
北に鍬崎山、大日岳、剣岳に薬師岳を眺め、南には黒部五郎、笠が岳、乗鞍岳、御岳が綺麗だ。
西には白山の白い峰が屏風のように並んでいる。

テント場からトレースを辿り、最後は夏道からトラバース気味に登り、北ノ俣岳の北の肩に到着した。
昨年もそうであったが、此処から見る黒部源流の山々や槍穂高の景観は、何時見ても素晴らしい。
ハイマツ際にテントが見える。

さていよいよ滑降です。
太郎平目指して滑りますが、いきなり尾根を間違えます。
手前の尾根に入り込みました。
暫し登り返します。

太郎山までは快適な斜面で、皆思い思いにシュプールを描きます。朝一番なので些か脚が疲れます。

太郎平小屋には今年もヘリコプターが到来します。
ほぼ20分くらいの頻度で泊り客(?)をドンドン上げてきます。
 太郎小屋近くで休憩しているとヘリのローターの作り出す激しい風に体が冷えます。そそくさと移動です。

今回のY先生の計画の骨子は、薬師沢の滑降のようです。正直言ってえらい標高差の滑降と登り返しになる!と、ビバークの不安を覚えます。
 本峰の登頂と薬師沢の滑降は、時間的に両立しないのは明らかです。
当然滑降が優先なので、問題は何処まで登り、何処から下降するかです。

結局、薬師平小屋から滑降するのに決定。
最初は少し傾斜がありますが、雪も柔らかく平坦で、ゲレンデでのような滑降
を皆楽しみました。見上げればシュプールが綺麗に残っており、皆大満足でした。

薬師沢右俣上部の急斜面を滑り降りて一服

薬師沢右俣下部、川面が露出している。
しかし快適な格好がそう長く続くわけはありません。
傾斜は緩やかになってきますが。谷は次第に狭くなり、木の枝や石等の異物が雪面に出てきます。注意して滑らないといけません.。雪崩によるものです。

東南稜の2786mピークに突き上げる枝沢(二ノ沢窪)が合流する辺りから沢は蛇行し、両岸の傾斜も急になってきます。

いよいよ恐れていた状況になりました。
雪渓の崩壊で川の中心部が露出していました。

最初はスキーを履いたままで通過可能でしたが、次第に厳しくなり、最後は壷足で通過する羽目になりました。
それでも慎重な偵察により、何とか左俣合流部に到達来ました。合流部から下流は雪解けが強くスノーブリッジも無く、対岸に渡るには渡渉しかありません。
 幸いにも合流点の上流ではスノーブリッジは健在です。
対岸に渡り、危機を通過した安心感でゆっくりと休憩します。それにしても天候が良いので、楽しいことこの上ありません。

今日は中俣を太郎平にシールで登り返します。
途中少し上りすぎて、最後は谷のトラバースを余儀なくされましたが、全員無事に太郎山南のコルに到着しました。

何故?太郎山のコル?
その答えは太郎平小屋に特命を帯びた密使を遣わすためでした。
実は何のことはない!TSさんが計画成就のお祝いをするためのビールを買いに行ってくれたのです。

長かった今日の行動も終わりです。
ビールで乾杯してご苦労をねぎらいます。

薬師岳東南稜をバックにY隊長
5月3日(月曜)
6:00起床、朝食ー8:00出発ー8:30避難小屋
(休憩)13:00出発ー17:00登山口ー18:00出発
神岡(泊)

 
 避難小屋で「暫し寛ぐSKさん

霧の中、暫し休憩。
 朝からテントの周りは強風が吹き、一面のガスだ。
昨日補強で積んだブロックも全て解けており、強風が容赦なくテントを襲う.。その度にテントがはためき、悲鳴をあげる。


 明日はもっと天気が悪いだろうから、今日のうちに風が避けれる地点に移動するしかない、と考えられた。

 ガスの中、強風にあおられながら慎重にスキーで下る。先が見通せないので慎重に下る。所々位置を確認して下る。
他のパーティもドンドン降り出したが、中々うまいパ-ティがいるもんだと妙に感心する。

避難小屋で休憩し、一旦は此処での宿泊も考えた。
しかし天気予報で明日なら雨中の滑降になるのが決定的と判断された時点で、本日の下降は決まった。


 急いでパッキングをし直し、ガスの中を寺地山目指して急いだ。下りでは2箇所ほど道を間違えたが、何とか明るい内に飛越トンネルまで戻ってこれた.。

今年は昨年に比べて雪も少ないのに、殆ど送電線まで滑降できたのは以外であった.
5月4日(月曜):帰路
6:00起床、朝食ー7:00出発ー氷見ー北陸道高岡IC-北陸、名神、名神吹田IC--16:00梅田(解散)
高岡の路面電車
(あとがき)
 長い登りであった。昨年も思ったが、その通りであった。
結局は北ノ俣岳西面での幕営に終りましたが、快適なロングツアーであった。
氷見での宴会は最高でした。
わざわざ寄った甲斐があったものだ.
山行中に最後の合流部の雪の崩壊は予定内であったが、最小の問題で済まされた.。それにしても
太郎は遠かった!

高岡に路面電車があったのに驚きました。
イヤー嬉しかったですね.。これほど効率の良い乗り物なのに方々で廃止の憂き目に遭っている可哀想な存在!
こんなに頑張ってくれているとは!高岡がいっぺんに好きになりました。
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