湖北の秀峰巡り
2004年4月10〜11日     同行者:MO
訪問先 土蔵岳1008m

海津の桜ー2003年

 以前から気になっていた滋賀と岐阜の県境の土蔵岳に、思い立ってMOさんと出かけた。
 渓流釣りの偵察で京都のMYさんとずっと昔に行った記憶は鮮明に再現された。
 
 今回は桜巡り、渓流釣り、山菜取りそして登山と、非常に欲張りの計画を立てた。渓流釣りと山菜取りこそ逃したが、他はほぼ満足された。 
 山自体も予想した通り、ブナ林のひっそりとした玄人好みの秀峰であった。


4月10日(土曜):土蔵鉱山跡(幕営)

13:00芦屋、MOさん宅-名神西宮IC-18:00土蔵谷(幕営、宴会


土蔵鉱山選鉱所跡ー異様な雰囲気である
 例によって終業後MOさん宅に移動。10分の距離だ。
 今日は木ノ本までなので湖西を走るが、303号線の混雑には参った。近江塩津とマキノ間は車が動かない。トラックにはこの桜の時期、恐怖の道だろう。
 
 木ノ本の平和堂で買い物を済ませ、土蔵谷の鉱選場跡の台地で幕営する。
 
 MOさんはこの雰囲気を異常に嫌がっていたが、二人ともアルコールが進むに連れ大いにしゃべくりまわり、寝入ってしまった。
4月11日(日曜
土蔵谷遡行ー土蔵岳登頂

5:00起床、朝食6:55出発10:35尾根分岐-
11:25山頂-12:30下山開始-15:00登山口-
13:30出発-19:30帰神


OMさん

出発前の2人


 
Bergen
 昨夜は宴会が長引いたが、そんなことはもののかわ、
2人とも定刻に起きる。
入渓者(?)が2組、車で入ってゆく。

 朝食は昨夜の鍋の残りにうどんを入れて効率的に済ませる。今日は昼までは天気だというので、先を急ぐ。
 
 林道に沿って川を遡るが、渓相は中々良さそうだ。
しかし林道脇は釣り易いので、実際に魚は居るのだろうか?
案の定、先行者の姿は見えない。
 
 
 
土蔵村暗渠立抗跡ー遥か下に水が流れる
途中、鉱口のトンネルが見られ、
奥から湧き水が溢れ出ている。湧出量はかなりのものだ。

 暫く行くと右に谷を分けるが、入り口の林道が崩れているので、間違えそうである。

 この奥に昔は.土蔵村があったそうで、
今ではその名残の遺跡が見られる.。

 ことに谷を暗渠にして村の中心部に広大な平地を確保し、
山の斜面も利用して最盛期は1500人以上の人口があったそうだ。
今では訪れる人も無く、寂寥感が漂う。
 
 
 山奥の谷間に苦労して広い平地を確保したが、
豪雪、水害そしてストライキが鉱山を襲った。
しかし最後の決め手は安い輸入の銅鉱石だった。
昭和40年山は閉山した由。
 あれからもう40年近くになるという、
歴史の流れを感じさせる遺跡であった.。
 

堰堤下の橋ー狭くて安定が悪い


 村の北には巨大な堰堤があるが、
その下の木橋は細い丸太2本で作られており、
渡るには度胸が大いに必要であった。
流れの水もやや濁っている印象を受け、
快適な雰囲気には程遠い.。
左岸に尾根に急角度で向かう踏跡があるが、
これは南西尾根に向かうものだろう。

 右岸の急斜面を登って辿り着いたダム湖は、
静寂が支配している。
湖底には朽ちた木々が無残な姿を晒している。
 
途中の岩うちわの群生
 
 しかし此処からの谷の雰囲気は一変し、
自然林に囲まれた谷沿いの楽しい踏み跡となる。
テープは着いているが、かなりのルートファインディングを必要とする。
幾度も流れを横切らないといけないので、
このルートを行くには長靴が最善の選択であった。
 まだ木々の新緑はいまだ萌生せずであるが、
途中の山肌に咲く花の姿も大いに眼を楽しませてくれる。
 
しょうじょうばかま(猩々袴)

翻ってみる横山岳ー北面は流石に雪が残る

 傾斜も余り感じずに進んで行くが、次第に高度を上げると谷も開けてきて、振り返ると横山岳がその優美な姿を見せていた。北面だけあって残雪模様が美しい。

 此処までは踏み跡があったが、テープは無くなった。
右に枝沢があるが、テープも踏み跡もない。
位置関係からは土蔵岳直下に突き上げる沢だろうが、踏み跡がなければこの装備で突っ込む気はしない。
来るまでにチェックしていた尾根道から取り付くよう、決定して戻る。

 土蔵谷右俣の本流を戻り、左岸の植林帯の明瞭な作業道から尾根に取り付く。
 直ぐに植林帯の不明瞭な道となった。しかもかなりの急傾斜である。普通ならとっくに引き返して行くのだが、何故か今日は(今日も?)頑張る。

 1つには、両側の尾根があまり高く感じられず、登るに従い段々と近づいて来るので、頑張るモチベーションが生まれて来るのだと思う。
 
潅木帯の残雪を登るMOさん
2つ目には勿論、MOさんに向けてのポーズも否定しない。
彼女は「えらいえらい」と言いながら、元気だ。
何時もだが、苦しい山行も大いに楽しんでいる雰囲気である。勿論私と一緒に行く 山行の性格(変わった所の、玄人好みの 山行)を熟知しているから、この計画に参加したのだが。
 
 彼女は私のことを、「究極のピークハンター(登頂第一主義者)」と言います。
そうです!何と言われようとも私の考えははっきりしてるんです。
 まあ(折角来たのですから)チャンスがあるなら、それを最大限に生かさないとね!
これは人生の鉄則でしょう。
 植林帯の急傾斜を終えると、自然林の疎林になる。
残雪も出てくるとMOさんのプラブーツが有効だ。
私の長靴はやや不利であるが私はドンドンと高度を稼ぐ。

勿論、要所要所ではしっかりと彼女を待っておく.。
当然ながら「放って置いた!」、と言われないための予防策だ。
いい人なのだが、油断は禁物。

 稜線からはかなりの傾斜ですが、
残雪を利用してあっけなく東西に平坦な頂上に達しました。
此処からの蕎麦粒山、三周ヶ岳、横山岳および金糞岳の眺望が立派です。
何れの山々も気高く聳えています。

土蔵岳頂上にて私


 
 今まで誰にも会いませんでした。
なんと言う静寂の山でしょうか?
二人でゆったりと満ち足りた時間を楽しみます。
遠くでチェンソーの音が聞こえます。
途中に捨ててあった(?)ザックと服は
今聞こえているチェーンソーの人達のものでしょう。

 頂上で餃子を焼き、ビールを飲んでいると、
岐阜県側からの登山者と初めて出会いました。
お話してみると、やはり最短ルートは八草川支流からのようです。

堰堤上の湧き水

瀬田川の夕陽
鉱山跡にはいろんな建物や湧水、そしてトンネルなど興味の尽きない遺跡が残されていました。
 天候も最後まで持ち、なんとも楽しい湖北の山行きでした。