立山初滑りの旅
2004年11月19(金)〜21日()      同行者:ST隊長以下4名(SK,OM,MS,Bergen)
記録
11月19日(金):


 20:0022:00 JR大阪駅北口集合,出発
立山と言えば、真っ先に思い浮かべるのが5月の連休、そして夏山ですが、今回初めて11月の新雪シーズンに出かけました。
さて首尾は如何だったでしょうか?

今秋の天候異変を反映するかのように、案の定今回も雨の間を縫う山行でした。

まだまだ天候には恵まれないようですが、来年は果たしてどうなんでしょうか?期待して良いのか、或いは期待しないのが良いのか?

思案のし所です。

快晴の立山連峰(20日午後)
11月20日():

3:20富山地鉄、立山駅駐車場(幕営,仮眠)7:00起床8:10ケーブル乗車-美女平-室堂…9:00出発10:30雷鳥平(幕営)11:30−雷鳥沢下部で雪上訓練…16:30帰幕、宴会、就寝

富山県下の土日は雨の予想でしたが、室堂(標高2500m)なら雪だろうと考えて、敢えて決行したSリーダーの好判断でした。

今回から新人のMSさんが参加です。
平均年齢が大きく下がったのみならず、会にとって新鮮な息吹を感じます。
今時珍しい好青年なのも,嬉しいですね。


立山駅構内にて出発の朝

立山駅駐場には結構な数の車が止まっているが、5月の連休には比べるべくも無い。
例により、テント設営後、小宴会。
この時期のケーブルの始発は8:00だ。
お陰でゆっくりと寝られた。何時もと1時間以上遅いのだ。

今日は予報と反して晴れている。気温は些か高めだ。

ケーブルと高原バスを乗り継ぎ、終点の室堂(2500m)に到着したら9:00になっていた。
ターミナルから外に出ると、下界と違って薄曇りで、ガスも立ち込めている。
あたりは一面の銀世界であるが、急傾斜にはやはり岩が露出している。
積雪量は70cm、雄山、大汝、富士ノ折立の山頂などは、雲の中だ。

室堂の台地を、今夜の宿の雷鳥平テント場まで歩きます。池や谷を迂回しながら、結構なアップダウンがくねくねと続きます。

雪山と山スキーのフル装備は、流石にこたえます。恐らく15kgは越えているでしょう。
しかし例によってロープでザックに結びつけて、スキーを雪面に引きずっているので、歩きはまだマシです。(何故歩きはですって?それは後で分かります)
これをその姿から「ずりずり」と呼んでいますが、(語呂がイマイチ良くないので)皆の間では評判が悪い。
しかし、代わる適当な言葉が無いので、仕方なくこの言葉を使っています。


室堂で出発準備

同上、bergen。

雷鳥荘前で、滑走準備

雷鳥平より雷鳥荘の斜面を望む
「みくりが池温泉」のロッジも店仕舞支度です。
池の水面は見えず、雪が被っている。行き交う人の列が途切れない。
正直言って、この時期にこんなに人が多いとは思わなかった。
観光客は僅かで、殆どが登山者かスキーヤーだ。
最近の特徴か?ボーダーが非常に多い。


「雷鳥荘」
も同様に店仕舞モードで、玄関口が僅かに開いているのみだ。窓は全て雨戸がしまっている。

「雷鳥荘」前の斜面が今日唯一の滑降だが、傾斜が急で、雪も悪そうである。

今シーズンの初滑りとしては最悪のシチュエーションだ。しかも荷も重いと来ている。
滑走の準備をしながら、滑り降りる人を見て、

「ひぇー、ガリガリ言ってるデ」
とか

「こら大変だ」

など、
皆思い思いの不安を(みな、STさんを除いた旧人だけですが)のたまわれる。

しかし、心とは反対に手は無意識に板にしっかりワックスを塗り、靴をスキーモード
に替える。

「ええ、ままよ!」

思い切って滑り出すが、雪質はアイスバーンに近い。シュプールも硬い溝となっていて、乗り越すたび脚もふら付く。
格好悪いが急傾斜は斜滑降、キックターンで、何とかこけずに降りれた。
緩傾斜で漸くターンできたが、足腰はふらふらである。


雷鳥荘からの下り

雷鳥平まで、漸く下る。

雷鳥沢での雪上訓練

シーズン初めの滑りがこの斜面だったので、全員がテント場に着くのに30分も掛かってしまった。早速テントを設営する。
まず床面から雪のブロックを切り出し、屋上が辛うじて見えるくらいまで周囲に防風壁を作る。次いでテントを建て、マットを敷く。

今日は剣御前から剣沢上部の滑走を予定していたが、積雪状況、雪質が宜しくありません。
止む無くSリーダーは予定を変更し、雪上練習だけとなりました。

雷鳥沢の下部で急傾斜地を捜し、スタンディング・アックス・ビレイ、滑落停止訓練をします。ロープの摩擦熱で服が溶けるのに皆吃驚。訓練用のぼろ服を持ってきて正解です。

最初はスコップを尻に敷いてスピードを付けての確保訓練でしたが、そのうち物足りなくなったリーダーのSTさんがスキーで滑り出した。
ハーネスの背中のループにロープを結び付けて制動させる。極めて迫力満点であるが、彼以外、誰も真似ようとしません。
凄まじいトレーニングでした。



スキーで滑落停止訓練

快晴の雄山

新来のMSさん、将来の有望株!

思いのほか時間が掛かりましたが、皆さん非常に楽しく練習が出来て、大満足でした。
見渡すと、室堂周辺の山々も明るく見えてきています。青空の下、雄山も立派に聳えています。

最後は硬くなりかけた雷鳥沢下部を滑降しましたが、流石に足腰が馴れてきたのか?今度は朝と違って、快調に滑走出来ました

テントに入る準備中から、とうとう雪がちらついて来ました。
今夜はまた早くから宴会モードです。

11月21日():

8:00起床-9:00出発-10:30雷鳥沢上部=滑走=帰幕、テント撤収13:00出発…14:00室堂14:20バス乗車―立山駅−ウエルサンピア(入浴)−22:30帰神
今朝は異例の遅起きです。
昨夜は雪が降ったので、更に一面の銀世界で、しかも晴れ渡っている。
立山連峰のパノラマの世界です。

Bergen in 雷鳥平

滑走出発の朝


11月の立山なんか!誰が行こうと言ったの?」


と、昨日御立腹の、紅一点
(といっても?歳半ばを過ぎておられますが)
OMさん、

今朝はご機嫌です。


本当に、

ラッキー」です。
「さて、今日は何処に行くか?」

さても思案のし所です。

昨日は雷鳥沢に行ったが、ちょっとだけ滑っただけです。
帰りの時間を考えると、今日は13:00頃には撤収を完了したいですね。

今日の目的は、ずばり、滑降そのものなので、効率が大事なのです。

直登で、ロスが少ないとすると、今日も雷鳥沢しかありません。
タイムリミットを11:00とし出来るだけ上まで登り、滑降を楽しむようにします。

浄土川を渡り、対岸でシールを着けます。本来はツボ足で歩き、ロープでスキーを引きずる(「ズリズリ」)のが楽なのですが、何事も練習です。フルメニューをこなしておくのに異議はありません。
特に、新来のMさんは新しいスキーなので、シールの具合も見たいだろう。

それにしても大勢の人です。
人の列が途切れません。


昨日の到達点から更に上部まで足を伸ばします。途中から急になるので、流石にシールは止めてツボ足に替えます。
剣御前の小屋が指呼の間に見えますが、あそこまでは更に1時間は掛かるでしょう。

稜線まで人の列は延々と続いていますが、我々はここで時間切れ。
栄養補給の後、お待ちかねの滑走タイムです。
なんせこのために辛抱して苦しい登りを頑張ってきたのですから!


雷鳥坂を登る。

到達点で休憩

滑走するMSさん

同じくMSさん

ここからの新雪は、それはそれは素晴らしかった。昨日の雪と違い、いとも快適にターンできます。
皆さんも華麗に舞っておられます。

新来のMさんは大学時代に1級を取られた由、伸びやかな体型でダイナミックに滑られます。


「うひょー!快適で〜す!」

軽薄な言葉が、思わず出てきます。

男は快楽の前には無力なようです。
分かっていても、突き進みます。
アンドロジェンのなせる技でしょうか

最後の谷筋こそ、でこぼこで滑りにくかったが、今シーズンの最初は非常にハッピーに終えられました。
更に良くしたもので、テント撤収に期を合わせるように雪が舞い出し、帰りの高原バスや高速は雨の中でした。天候とは裏腹に、満足感で満たされたツアーでした。

例によって、またまた癖になりそうな立山でした。

曇りかけた雷鳥平

撤収準備
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