大峰、芦廼瀬川遡行、労山合同隊の旅
2005年7月22()〜24日()      同行者:Bergen,,KK,ST,SK(OWA)
記録
7月22日():

 20:00JR大阪駅桜橋口前集合-阪神高速ー五条(集合)−十津川ーR425−上小川(幕営)

末の日曜日はSTさんも野球試合が無い。我々Y山岳会も、渓遊会(代表:吉岡 章さん)の提唱された、労山合同山行の、大峰、芦廼瀬川遡行に急遽、合流決定した。
 メールで詳細を打ち合わせ、楽しい渓流の旅に参加した。

この沢は6年前に入渓したが、核心部周辺の通過に長時間を要し、岩棚の上でビバークを止む無くされた、痛恨の経験があった。
それ故、今山行の参加には些かの不安があったのだが、渓遊会の面々のサポートで、杞憂に終わった。
 そこで山行計画の問題として出てくるのは、メンバーの技量に基ずく、時間短縮と安全性の綱引きである。

今夜は遅い集合時間であるが、十津川までは近い。

今夜の宿は七泰ダムの終点の林道から降りた河原だと言っていたが、終点には車も無い。
少し手前の幕営集団が本隊と判断、元に戻って合流できた。
合流を祝して
宴会。暫くは安寧な宴会。
吉岡さんとも話が進む。
それからKLCCの彼氏が到着。
その後、宴会も進展し、明日の登頂を祈って床に就く。

雨を予想していない我々はタープであるが、これもまた良しである.
しかし結局は、雨には見舞われなかった。

今回は某メーカーの沢用グッズの初体験である。
天候は良いと言うのだが、泳ぎの多い所では体の冷えが
大いに問題となる。この用具は有効か?それも試してみたい.。
「大枚を叩いた価値が有るものだろうか?」


前夜の宴会跡、車の回送前の静けさ
7月23日(土):

6:00起床、朝食ー車回送ー9:00出発ー14:30テント場到着ー宴会ー就寝
 出発前、6年前のY山岳会での遡行の悪夢がよぎる。
 核心部の通過に長時間を要し、ヘッドランプでの淵泳ぎ、岩場登攀を強いられ、挙句の果てには終了後、岩棚でのビバークを余儀なくさせられた。
 この記憶が、今回の参加を逡巡させた要因であったが、「案ずるより生むが安し!」、
 思いがけなくも安寧に過ぎ去ってしまった.。
「これは何なのか?」
それにしても、懸念が払拭される経験は楽しい。

 今朝は昨夜の痛飲(?)にもかかわらず、早起きである。
それもその筈、我らが前代表 KKさんが朝早くから徘徊(いや、周辺調査!)で、動き回っていたからであった.。

「くっさん、何を早起きしてやってるんや?」

と言っても、彼の耳には届かない。

 我々も否応無く起きる。今朝の食担はBergenである。ラーメンとチャーシューであったが、SKさんの野菜が余ると言うので、付け足す。
おかげで豪勢なラーメンになった。

 車を終了点まで回送したが、これに小1時間掛かった.。
全員集合して、七泰ダムから入渓する。

 最初は何と言う事の無い河原だ。
その内に轟々たる七泰滝が出現。これは直登不能で右岸の巻き道を嵩巻く。ここで初のザイル出動。
我々淀屋橋のSTとKKはその横のルートを切り開くが、追従者なし。

「此処は比較的楽に登れますよ」

と言っても、やはり少し難しく見えるのだろうとの思いで、先を進む。

次は保色滝5m、槙滝10mと続く。直登は無理と書かれてあった。しかし、多数の混成隊の入渓の緊張の余り、詳細を把握できず.。

 天候は不安定で、小雨は降ったりやんだりの繰り返し。
藤根谷とカラ谷を見送ると、本当はフジネと呼ばれる岩盤帯があるそうなのだが、私は知らない間に通り過ぎてしまった。SKさんはあそこがそうだったと言うが、私は分からなかった.。それほど変化が見られないということ?
 幾多の徒渉を繰り返し昼食タイムを取ったが、送電線は見当たらずまだまだ核心部の焼グラ淵まで時間がかかりそうであった。

出発して手に大岩壁が見え始めた。百間グラだ。
水量が少ないので、何と言うことも無く過ぎる。
左手からヒイラギ谷が入ってくる。
深い緑に囲まれた20mほどの斜瀑が蕩々と流れているが、また流に身を投げる。
この沢では、泳ぎは安全のための一番の方策だ。
一旦身を投げると、輝かしいまでの恍惚感に襲われる。

「皆さん!自虐せぬようにご注意下さい!」

何事も須らく、広報が大事である。


七泰ダム終点の林道にて

七泰滝の突破、右岸の高巻き
休憩するY山岳会の面々
右から,KK,ST,そしてSK(COWAC)の方々



へつりを交えて進む

焼グラ淵を泳ぐ


焼グラ淵を終えて滝脇を登る
 此処まではまあ高巻き主体で、水に激しく漬かる経験は無かった。
しかし、

「気だるい遡行よ、さようなら!」 

いよいよ来ました!
芦廼瀬川のメインは、100mの焼クラ淵!

6年前の記憶が蘇ります。
此処でザイルを出すのかと思いきや、渓遊会の吉岡さんは悠々と淵に漕ぎ出します。
勿論、ザイルも着けず、着の身着のままで。
当然ザイルをセットしてもらえると思っていた我々は、迷いましたね!

幸いにも両岸には休憩できるような岩棚や倒木もあり、休憩しつつ進めるのが確認できました。
少なくとも20mくらいで休憩できそうです。
幾らライフジャケットを付けていても、泳ぎの不得意のBergenにはそれなりのプレッシャーです。
ここで心は固まりました。

「仕方ない!進むほか無し!」

結論に行く行程は、何時ものように簡単でした!

 両岸は迫り立って上部は木々が覆い、薄暗いものの行くしか道は無し。渓流遡行に、と思ったライフジャケットと渓流仕様のザックが有効です。
お互いに強力な浮力を発揮するのです。

 流れの緩いヘリを泳いでいるときは良いが、流れが早くなっているところでは進行は極めて困難でした。また、ザックを背負って平泳ぎすると、顔を水面から浮かばせるのは極めて困難です。
脚は立ち泳ぎで、腕は平泳ぎで、が極意と感じました.。
最後は大きな円形の淵を持った滝で、落ち口の水流がきついためか?
此処で初めてロープをセットして頂けました。
左側の壁を登ります。

ルート工作を見つめる面々、中央が吉岡さん。


核心部の登攀、ルート工作する渓遊会のメンバー
続いて数ヶ所の淵を泳ぎで通過.。
流れの速いところは進まず。
所々、フィックスが張られます。

続いて洞窟状の8mの滝を持った淵に到達。
此処がこの谷の核心部です。
我々の心に緊張感が走ります。

前回は暗闇の中、右手の凹角を登ったようですが、今回は水量少なくもっと奥の斜面を突破するようです。
渓遊会のメンバーの皆さんにルート工作して頂きました。
最初はアブミをセットしないと登りにくく、中盤は滑りやすい岩盤で緊張します。
幸いにもフィックスで安心して進めました。

これまた感謝感激です。
この上は比較的平流ですが、それでも今夜のテント場までは、まだまだ苦労があります。
やはり渡渉と嵩巻きのみならず、泳ぎも混じります。
最後まで油断が出来ません。

それでも大したもので、先行者が薪とりに出かけている光景が目に入りました。
これはもう直ぐテント場が近い何よりの証拠です。

案の定、テント場につきました。
我々は吉岡さんの了解を得て、本隊と別れた少し上流の左岸でタープを張りますが、極めて快適でした。

途中にわか雨に降られたり、対岸の本隊と交流しましたが、皆さん、自然の中の幕営に大いに解放的気分に浸っておいででした。

今夜のテント場でタープを張る

カンパーイ!、SKさん(左)とBergen

ご機嫌のFさん(前)と吉岡さん

私も吉岡さんと
我々も夕食を済ませ(SKさんの豪華な夕食でした)、対岸の本隊に合流して交流会を持ちました。
依然我々のY山岳会に入っていたFさんが逞しく成長されているのを現実に見て、吉岡さんの山の会(遡行同人  渓遊会)の人材育成のシステムに驚嘆した次第です.。

彼女とは昔の御嶽山の山スキーで偶然にお会いしたのですが、その際にも吉岡さんが一緒に登られてた由.。我々4人メンバーと交流もてなくて残念でした。

カランクルンのテントや渓遊会のテント巡りで夜は更けました。
こんな機会を与えてくださった渓遊会代表の吉岡 章さんに感謝しますと共に、明日の遡行の安寧を祷るBergenでした。 




7月24日():

5:00起床朝食7:00出発11:30遡行終了ー19:00帰神

昨日はかなりのアルバイトだったので皆疲れている。
今日は楽なはずであったが、いきなりの泳ぎに皆吃驚。
それでも天候に恵まれ、水量は少ないし遊び場所は多いのでゆったりした遡行を楽しめました。

今朝は昨夜の幕営環境があまりにも良かったので、つい今日も楽だと誤解してしまった。
実は早朝から泳ぎを見舞われたのであった。

「えーッ、本当?」

皆さんに(私も含め)

「昨日で核心部は抜けた!」

との認識が、あった?
しかしそれは甘かった!
それでも下手に危うい高巻きをするより、淵を泳いだほうが安全なことも多いのだ。

しかし過酷な運命も読み込み済み。果敢な挑戦が進みます。あくまでも高巻きするHソンセンのメンバー、渓遊会のシュノーケルマン、Oさんなど、さまざまです。

これが沢の合同山行の良い点でしょうか。
我々はいい所取りの参加をしているので、バックアップをされている渓遊会の皆さんのご活躍の場面は断片的にしかお見受けしませんでしたが,なかなか大変だとお見受けしました。

そのうち平流部で大休止。
吉岡さんは最近写真に凝ってると言われ、参加各メンバーごとに記念撮影をして頂く。

我々Y山岳会の面々は、普段から小難しい場面には慣れていないので、大いに緊張して撮影に臨んだのであった。
町朝からいきなりの泳ぎ!

河原でしばし休憩


滑り台で遊ぶ

着水ーッ!あぁー、快感!

この上は滑り台あり、飛びこみ台ありの、エンターテイメント大のステップである。
川幅も広くなり、水量も少ない。
しかし有意な淵や滝はそこなわない。.

天候も良いので大いに楽しむ。
昨日の核心部で冷えたのと、大いに異なる。

皆さん、遊び場所を見つけるのに事欠かない。
流れで遊び,淵で惑う。
実にこれも又良しである。

淵に飛び込まなかったBergenも滑り台には敏感に反応しました。

「さー,行くでー」

淀みに入りますと、ザックがなかったので、ウエットスーツのみなら、かなり沈みます。
思いもかけないザックの浮力効果でした。

「ザックさん、有難う!」

それに付けても、吹田から渓遊会に移籍したTさんのはしゃぎようは、見ていても楽しかった。
どんどんと積極的に課題に挑まれる姿勢は、大いに参考になった。
核心部を過ぎ、天候も安定した沢では、楽しい遡行が楽しめる。
少し緊張する高巻きやへつりも大したことなく、大いに楽しい経験である.。
淵を泳ぐのが一番安全な遡行法であるのが段々と分かってくる。渓遊会のOさんは、シュノーケルを咥えてそれを実証されている。
一番問題なのは流れの速さと上陸点の地形である。
水からの上陸は意外と大変なのである。
衣類に纏わりつく水の抵抗が上陸を妨げ,有効なスタンスに恵まれなければ、腕だけで体を持ち上げるチャンスは1回に限られる。殊に水温が低ければ尚更である。

課題は色々と過ぎ、最後のエンターテインメントはこの淵である。

「きゃー、ひえー」

と言いながら、淵に飛び込む。
高度差は10m近くあるのではなかろうか。
「狼返しの滝」である。

ひとしきり遊んで先を急ぐと、右から廊下状の笠捨谷が合流する。ここでもゴルジュを泳いでいる渓遊会メンバーがいる。本当に泳ぎの好きな方たちです。

その後直ぐに無粋な鋼鉄製の堰堤が出てきて、終わりと思った泳ぎも再度経験。
最後の見覚えのある長瀞(簡単に横を巻ける)を過ぎると、終了点の河原だった。

「皆さん、ご苦労様でした。
渓遊会の皆さん!どうも有り難う御座いました。
これからもよろしくお願いします。」


淵に飛び込み

着水!これは度胸が要ります。