京都、北山、皆子山&天ケ森(ナッチョ)ハイキング)
2008年6月17日     同行者:SK
訪問先  皆子山(寺谷から)&天ケ森(百井から)

 820平(だいら)出発…8:40寺谷出合…10:40山頂11:15…12:45林道13:00大見…14:10百井登山口…15:15天ケ森山頂…16:20大原
 
Sさんのお誘いで、センチメンタルジャーニーではないが、青春時代の思い出の詰まった京都北山に出かけた。バスでこの地域に入るのは、学生時代以来である。
幸いにも、今日も快晴で、絶好の登山日和だ。

ji神戸を5時半に出発。
出町柳7:45発の京都バスに乗車。
花折峠を越えて、平(だいら)で下車。
安曇川源流の林道を歩いて寺谷出合に着く。
寺谷の沢に沿って、よく踏み込まれた道を登っていく。
樹下の涼風が気持ちいい。

二股を過ぎた左岸に、その小屋は残っていた!
30年あまり前に、当時小学生だった娘さんとSKさんが、安曇川源流を百井から鞍馬へ歩いたとき出会った老人の小屋であったという。

老人は北アルプス・屏風岩で遭難死したひとり息子の霊を弔うため、息子が生前歩き回っていた北山の一角に小屋をつくり、ときどき訪ねては息子と「対話」していたのであったと言う。
出発点の平(だいら)の集落
 
出合から1時間で左手に大岩が現れ、それから30分の急坂(この部分は道が相当荒れている)で頂上に出た。

皆子山は京都府下の最高峰(912m)でありながら、今いち人気がない。
その理由のひとつにあげられるのが、頂上に展望がないことだ。

「北方が伐採され、なかなか良い景色です.」
 頂上の東側は伐採されており、比良の連峰が武奈ヶ岳から蓬莱山まで目の前に広がっているではないか!
皆子山より比良、武奈ケ岳を望む 

早めの昼食をとり、当初予定の皆子谷を下るためその取り付きを探す。
西側一帯は疎林に変わっており、地形がよく見渡される。皆子谷の源頭部分を巻いている尾根筋を進むと、しっかりとした道がある。
標高800m台の穏やかな峰のうねりを、上り下りしながら西へ進んでいる。落葉樹の疎林の中のルートであるが、なぜか昭文社の地図には掲載されていない。

当初、皆子谷に下る計画であったが、このルートは地図に載っていない新道と推定した。
「これは絶対確かめなければならない!
名前は、皆子山北西尾根だな」

と衆議一決。
当初の予定ルートを変更した。
皆子山山頂屋

12:45に大原大見から尾越へ通ずる車道の前坂峠の南に出た。この道は「鯖街道」のひとつであり、先月の「鯖街道シリーズ」で歩いた道である。

当初予定のルートは、「大原大見の分岐から安曇川源流のミタニ峠を経て小出石」であった。
ところがヒノコの分岐を見誤り、結局、大原百井からナッチョのルートを取ることにする。
「まあ、ものは考えようですね。今日は(新規ルート)探訪の旅ですね」

まさしく、このコースは私にとっては始めての体験である。
急ぐ
旅でもないので、ゆったりと歩きます。
 
大見の分岐点の道標

草刈していた地元の人に、天ケ森の取り付きを教えて頂く。分かりにくい道だが、地図を信用して先を進む。
突如、ルート上で広大な切り開きに出会う。

窓のない倉庫の建物群(10棟はあった)で、周りのフェンスも、人の気配も、社名、立ち入り禁止の表示もない。
「火気厳禁」の表示があるだけ、なんとも不気味な雰囲気である。
足早に通り抜け、山中のトレールに入ると、程なく上空にヘリが飛来した。まるで、無人探知機が秘密の基地に侵入したあやしき2人の人影を発見、ただちに出動・・・といった構図である。幸いにも、拘束されることは無かった!
百井から天ケ森への分岐点。

このトレールは山の南側のトラバースルートで、急な斜面に足幅ぐらいの踏み跡があるだけの荒れた道だ。
もともとは百井と大原街道をつなぐ街道(?)だったのだろうが、人が歩いた気配がない。水平道であるが、右側は何百メートルも切り落ちた谷である。南アルプスの沢沿いの下降路のようである。倒木や木の小枝が差し出ており、谷ひだの部分は崩落している。

「落ちたらまず助かりませんね。慎重に行きましょう」

14:30にナッチョ頂上への分岐が現れた。金毘羅山を思わせる尾根道で、中々頂上が現れない。最後の急斜面をよじ登ると、頂上だった。

 「いやー、満足ですね」
天ケ森山頂にて、SKさん
頂上には、ミタニ峠からの北尾根道が合流していた。
やたらとテープは付けてあったが、山名板も展望もない。南側にも下山ルートがあるようだが、今日は冒険(?!)ばかりしているので、最後は確実なルートを取ろうと決定。分岐点に戻り、小出石へ向かって下る。
SKさんが、
「途中から目印が減ったきたのが気になる」
と、しきりに言われる。
踏み跡がしっかりしているので間違いはないと思いながらどんどん高度を下げていくと、30分で車道に出た。

「中々急な下りでしたね。」
Skさんは
「最後は山肌を巻きながら降りたのでしたが?」
と、不審なご様子だ。
山頂にて、Bergen
小出石の集落に出る車道の途中に、ナッチョへの登山道入り口を示す立派な標識があった。
SKさんの謎は解消された!
何処かでルートを間違えたのか、或いは南のルートが正しいルートだったのか?
「次回に検証せねば!」

小出石から大原百井へ通じる車道に出るため、渡渉を強いられた。小出石に着いたときは16時を過ぎていたので、大原まで約1時間、てくてくと歩く羽目になった。
百井から天ケ森
今日は、梅雨の中休みの好天に恵まれた山行であった。
前半はSKさんの期待通りの「センチメンタル・ジャーニー」であり、後半は一転して「アドベンチャー・ジャーニー」となった。
山奥に点在する過疎の集落のたたずまい(廃校になった小学校の校庭に残っているジャングルジムの鉄棒桟の中を大きな木が上に伸びていた!)にときの移ろいを感じながらの古街道歩き、地図に載っていないルートあり、初めて歩くルートありの、内容豊富な一日であった。

この紀行文は、SKさんの報告を改変して作成しました。速やかに報告文を作成されたSKさんに深謝します。
皆子山周辺