錫杖岳前衛フェース-岩登りの旅
2006年9月22(金)〜24日()      大阪労山合同隊主催
同行者:、SH隊長(凍稜会)、OM(淀屋橋),NT(OWAC)
9月22日(金):

 19:10JR大阪駅 出発-23:30飛騨清美IC-1:30槍見温泉PAで幕営

ほんちゃんの岩登り。
あの、錫杖岳前衛フェースに挑戦です。
といっても、リードはSHさん!
今まで3回(OMさんは5回)の練習で向かいます。

他の人は何回も来てますが、Bergenは初めてです。
些か不安と期待がよぎります。


 集合予定時間を早めて出発したが、そこで出てきたのがETC割引の壁。かんかんガクガクの議論が有ると思いきや、今夜は通常料金で降りると、すんなりと決定。

槍見温泉の駐車場の隅で幕営。
1時間ほど遅れて、東京よりNTさんが合流。
「明日朝、す早く登りましょう。」
テント場の確保が大事です。
5ヶ所ほどしかありません。

暫く宴会の後、そそくさと入眠デス。
翌朝、装備を整え出発するメンバー(左からOM,NT,SH)
9月23日():

6:00起床7:00出発8:30テント場(設営)9:00出発…9:30登攀開始(第1ルンゼ)13::00横断バンド(終了点)…15:00テント場

錫杖沢とクリヤ谷の出合のテント場には、幸いにも2個所空き地が有りました。
今日は「左方カンテ」が混んでいるので、「第1ルンゼ」に転進です。
天候は最高です。

前衛フェース概念図(「日本の岩場」より)

前衛フェースの全容
 雨の予想は何処へやら、今朝は天気は最高です。
クリヤ谷沿いの登山道を登りますと、巨大なブナの木が!
見上げますと、蒼空に前衛フェースが聳えています。

「ワァオー、凄い迫力や無いか!」
標高差200〜300m、聳立しています。

「あれが1ルンゼ、左が左方カンテ、右が3ルンゼ...」
SHさんの解説です。

暫く登山道を進み、左に道(踏み跡)を分け、
BC(ベースキャンプ)にテント設営します。
登攀具以外をテント内にぶち込み、
期待半分、不安半分で出発デス。
錫杖沢を詰めて取り付き点に急ぎますが、人気の左方カンテは待機パーティで一杯です。この分だと、2時間くらい待たねばなりません。

 SH隊長が決断します。
「今日は第1ルンゼに行きましょう。
左方カンテは明日です」


岩壁の下部を移動して、取り付き点に向かいます。
(本来はもっと下(2P)から取り付くのですが、今日は遅いので、
下部は省略です。


取り付き点から見上げます。首が痛くなるほどの傾斜です。
SH隊長がリード、続いてNTさんとOMさんがフォローし、最後にBergenをOMさんが確保する、1-2-1で登ります。
最初は易しい階段状ですが、次第に傾斜が立って来ます。
 

第1ルンゼ取り付き点

3P目をリードするーSHさん
 この天気では壁も乾いており、フリクションが十分効いて快適なクライミングが楽しめ(!?)ます。

 ピッチの終了点には立派なテラスがあり、安心して待機できます。
「だから、この山にしたのですよ!」
隊長がノタマワレます。
納得です。お心遣い、感謝、感謝です。

2p目登攀中に、後続パーティーが追いつきましたが、ルンゼの間のV字岩壁に向かうようです。
男女の2人、2組のパーティーです。
京都から、と言っていました。
4P目は右側の壁がハングしており、先行パーティーがアブミで奮闘中です。
我々は左の凹角を登るようですが、終了の確保点が狭いので此処で暫く待機です。左には左方カンテを登るパーティーが指呼の間に見えます。

「話には聞いていたが、凄い高度感ですネー!」

漸く確保点が空いた様なので、SHさんがリードします。
ピンの位置がイマイチ分かり難いようです。 
途中、スタンスが乏しい所に、我々のためにアブミを掛けて頂きました。
大いに助かりました。

左方カンテの3P目を登るパーティー

穂高の山もくっきりー左から涸沢、奥穂、西穂高岳の各ピーク
例によって、難しい、ルートの案内は、本Hpの目的とするところでないので省略します。
今日は本当に気持ちよく晴れて、快適なクライミングが楽しめる筈ですが、そうはなかなか行きません。

「ホンチャンのクライミングは矢張り、スケールがデカイですね!」 
目先の課題(凹角、フェース、チムニー...)の突破、テラスでのセルフビレイなど、ゲレンデの練習を再確認しながら進みます。

隊長、メンバーからも種々、問題点を指摘されます。
「岩登りは危険と背中あわせ!真摯に、謙虚に向かわねば!」
と、快晴の穂高連峰を見ながら、つくづく思いました。
最後のハング下を斜上し、チムニーを越えると、漸く登攀終了でした。横断バンドで全員集合します。
取り敢えず行動食、水分の補給で栄養補給です。
普通の登山と異なり、登攀中は十分なエネルギー補給は困難であるのが、よく理解できました。

此処からは懸垂下降で取り付き点まで下降ですが、2フェースを登ってきた(?)2人パーティーが横断バンドを下降してきたので、手間のかかる我々4人パーティーに比べ、小回りの効く、2人パーティーに先に下降してもらいます。

横断バンド(終了点)で寛ぐ

テント場で夕食の用意
懸垂下降は結局、4Pでした。
ルンゼ内は落石に要注意です。

それにしても、懸垂で降りてみると、
「よくぞ、こんなところを登ってきたなー」
と思うほどの急傾斜です。

帰りはルンゼの続きを下降します。
ガラガラの涸れ谷ですが、錫杖沢を下るより楽なようです。

テン場に帰って、ほっとして夕飯作りです。
今夜は(も?)アルコールも頂いて、豪勢な夕食と相成りました。

明日も晴れのようです。頑張って左方カンテに行きましょう!
9月24日():

4:30起床5:300出発6:30基部7:00登攀開始-11:00登攀終了13:00テント場-14:30槍見温泉ー15:00入浴(中尾温泉)−富山ー24:00帰阪

天候は霧模様です。
何はともあれ”早立ち”あるのみです。
今日も、昨日のように混雑して、登れるのでしょうか?


 左方カンテ2P目を登るOMさん
隣のテント場の住人もまだ出発しません。
下から上がってくるパーティーもありません。
今日は一番に取り付けそうです。

「取り敢えず、左方カンテに急ぎましょう!」

谷の右横の巻き道を急ぎます。沢と違って、滑る心配もないので、楽です。

今日も1-2-1のフォーメーションです。
取り付き点からの最初の1P目は楽だと書いてありましたが、なかなか!しっかり汗をかきます。

次の凹角はしっかり立っていますが、ガバが多いので助かります。

核心部の1つである3P目は小さなハングがあり、隊長がアブミを掛けてくれます。少し上にガバがありましたが、気付くまでアブミの回収に苦労させられました。

少しガス模様なので、流石の高度感も少し和らいでます。
「(高度感を感じないのも)良し悪しですな」
少し右に斜上すると、ビレー点に到着。
その少し上にも立派なテラスがある。

「此処からは、チムニーですか」
練習の成果は、如何?
最初は窮屈なチムニーだが、その後は快適。

やがてこのルートで一番快適(!?)だと言う、左のフェースに至る。

4P目のフェースをリードするSHさん

 6P目をリードするSHさん、最後が微妙だった。
思った以上に傾斜は立っていますが、細かいホールドをたどって登ります。なかなか緊張します。
「OMさんは(何時でも)余裕ですね!?」


昨日の経験があるので、体も精神的にも少し慣れている様ですが、あくまでも基本に忠実に登ります。
「慢心は、禁物です!」
くれぐれも、自戒せねばなりません。

このピッチの終了点のテラスは大きく、先行パーティーが居るので休憩です。昨日の京都パーティーです。

このテラスは「注文の多い料理店」というフリーのルートの終了点のテラスでもあります。そのルートを懸垂下降してもいいのですが、登ってくるパーティーがあるようです。
隊長が決断します。
「この次のピッチで終了します。帰りは来たルートを懸垂します」
このピッチは最初が微妙なハング、続いてチムニー登りの有効なチムニー、最後がフェースですが、乗り越しが微妙なバランスが必要でした。

「漸く終了点まで到達です。
この上がフレークのフェースで、本来の終了点です。
此処の降時、懸垂で木にロープが引っかかるので、此処で終了します」

ウエルカムです。満足です。漸く登攀は終了ですが、懸垂下降に最大の注意を払わねばなりません。
途中の3P目では、空中懸垂です。
漸く取り付きに到着。
疲れた足取りでテント場に戻り、撤収します。

中尾温泉で入浴後、NTさんとお別れ。
「また近いうちにぜひ一緒に行きましょう!」
来年は彼も大阪に戻って来るようです。楽しみですね。
 
身軽に懸垂で下降(此処は空中懸垂だ!)のOMさん

何とか無事に終了しました。
帰りは中尾温泉で汗を流し、NTさんとお別れです。
神岡、富山を経由して家に帰り着いたのは、12:00を回っていました。皆さんご苦労様でした。
SHさん、有難う御座いました。