東北の名山巡り-その1
2005年10月6〜11日     同行者:ST,SY,、KK、OM
訪問先  乳頭山(烏帽子岳)、和賀岳&焼石岳
7日:乳頭山,9日:和賀岳、10日:焼石岳
思い立っては東北の岩手、秋田の錦秋の山を訪ねてみた。東北北部の名山は以前から気になっていたのだが、車で出かける時の遠さに些か恐れをなしていたのであった。
確かに往復には半日必要であるが、訪れた山々とも、それぞれに味わいを持った秀峰であった。
東北らしい伸びやかな山容が、私の心を非常に感激させたのであった。

東北道を行く。岩手山は霧の中
10月6日(木):大阪出発

20:00吹田ST宅-名神吹田IC-北陸道、磐越道-
 
出発予定を早めて集合。例によって休憩時間を最小にして先を急ぐ。平日の夜なので北陸道は空いている。
 新潟から磐越道を経て、郡山で東北道に合流。漸く、夜が明けてきた。

10月7日():乳頭山(烏帽子岳)

6:00盛岡IC−9:00滝ノ上温泉駐車場(駐車)-12:30乳頭山山頂12:45ー13:30高層湿原ー17:00登山口ー入浴ー国見温泉駐車場(幕営、宴会)


最初の山は簡単なはずであったが、天候と長担場に、一同驚いたのであった。



登山口の滝の上温泉、ダムと対岸の山

登山口で
夜を徹して北陸、磐越、東北道を走りぬく。
磐越道の長いトンネルは眠気を誘うに十分だ。
トンネルを抜けると、会津坂下、若松に入る。
高速道も、山地から盆地の道への転換だ。

日本列島の縦断も長いが、横断も場所によって色々な素顔を見せてくれる。
兵庫県の分水嶺は、有名な「水分け」である。
場所は皆さんご存知だろうが、加古川と由良川の別れで、なんと標高100mに満たない(95.5m)。
最寄のJR福知山線(通称、JR宝塚線の城崎より)の駅である石生(「いそう」と読む)からは歩いて、水分れ公園に行ける。手前の旅館は、切妻作りの屋根の東西で、降雨が瀬戸内海と日本海に分かれるという。

会津若松から漸く空が明るくなって来た。
眠気を堪えて運転するが、平地になれば運転も楽だ。
カーブも少ないし、上り下りも少ない。
郡山JCから東北道に入る。伸びやかな東北の山、平野の如く、高速道も伸びやかだ。関西のカーブの多い高速道を走っている身には、精神衛生上極めてヨロシイ。・

菅生SAで休憩後、盛岡ICで降りる。
此処からは一路、滝ノ上温泉を目指して地道を進む。
幸いにも頂上がガスで隠れた岩手山が絶好の目標となる。
川沿いに上ると、周囲は噴泉湯の立ち並ぶ登山口、滝ノ上温泉であった。
早速登山準備に係り、登山口から登り出す。
なんせ仮眠もしていないので、些か眠い。
いきなりの急傾斜である。
しかも粘土質で滑りやすいときている。

「こら〜、気を付けんとイカンで!」

出だしから九十九折れの登山道である。
唯一の慰めは紅葉である。
まだ浅いが、自然林の林は素晴らしい。
それにしても、傾斜がきつい。

少し傾斜が緩くなって来ると、モリアオガエル自生地の沼に行き当たる。
思いもかけぬ静寂と、そして紅葉が辺りを支配している。なかなかの感激ものです。

其の後登山路はまた急傾斜となり、湿地のある緩傾斜地までは急な登りが続く。
途中、本年の高校総体の県大会(?)に参加の高校生群に出会う。
皆さん、引率の先生に引きいられ、青春を謳歌しておられる。

「我々もこういった時代があったのだ!」

と、感慨にふける。

この後は右のような小さな高層湿原後を経て、最後の登りにかかる。
急坂をあえぎながら登る。
登りきると高木は無くなり、熊笹の山肌となる。
しかし残念ながら視界は利かない。

「まあ、天気が雨でないのが救いでっしゃろ」

と、自分を慰める。
乳頭状の頂上が乗っている頂上台地から眺めても、ガスの中で頂上は見えない。

視界は利かない、風も強く、此処まで殆ど休まずに来たので、熊笹の林の中で休憩する。

モリアオガエルの生息地

湿地帯を行く

山頂から田代平方面


山頂にて全員集合
風が行き来し、次第に視界が晴れてくる。
小さな明瞭な頂上の山塊ガ聳えているのは、福島の安達良山と同様だ。
何れにせよ、目標が決まると登山隊も安心するというものだ。霧は晴れつつあるし、行く先の不安も無い。
思わず鼻歌でも出てきそうだ。

「千万人といえども、我行かん!」

の、心境ですか?

少し急傾斜を登ると、そこが頂上であった。
皆さん、ガスの中を記念撮影に勤しむ。
その内、その他の登山道からの登頂者で、頂上はいっぱいになる。我々も記念撮影をそそくさと済ませ、先を急ぐ。

何しろ、
「今日も回遊の旅だから、時間が掛かるのだ!」

です。

「こんなゆとりの無い山行、何とかなりませんか?」
なんせ、リーダーはSYさんだ!?

山頂での我々のメンバーの笑い、徹夜の疲れを吹き飛ばす快挙(と、我々が思っていた!)と、信じて疑いませんでした。
しかし、先は長かったのでしたね。

「こんなに下りで先を急ぐのは、年取った証拠ですかね?」
思わず口から出ました。
頂上を見上げながらガレた稜線を下ります。
見返りますと、なるほど秋田県からは「烏帽子岳」と言われているように、傾いた烏帽子の形をしています。
これは妙に納得しましたね。
「裏と表」これこそ全く表裏一体(ひょうりいったい)です。すべての社会現象の根幹のような気がします。

天候は何とか晴れてきました。
いい知らせです。

「やはり、我々には(神の)ご加護があるのだ!」

と思いますが、(どんな神なのだろうか?)神のみぞ知る?

続いて千沼ケ原に向かいます。
高層湿原だけあって、数多くのステージが続きます。
残念ながら植生は枯れていますが、

「黄金色の開放空間、なんとも素敵ですね!」

思わず心が躍ります。

しかし、此処からがなんとも長い下りであったのだ。
地図上で認識していたが、長旅の後の疲れがあったのだろう。まだかまだかと、言いながら下ったのでした。

山頂を振り返る

千沼ケ原を行く。

すばらしい紅葉

滝ノ上温泉の「みゆき荘」、此処で入浴。なんと300円!

そうは言っても、千沼ケ原からの下りは紅葉の美しい尾根筋でした。はるか下に見覚えのある噴泉搭が見えています。我々は急な下りを慎重に降りてゆきます。
しかし、先は長い。実感します。

「誰や!回遊しょうと言った奴は!」

流石に言葉に出ませんでしたが、皆の思いであった?

「こら、このままでは車の場所まで戻るのに1時間掛かるで!」

結局、ST,SYの二人が先行して降りることに決定。
何とか暗くなるまでに下山。
それにしても、この辺りはなかなか良い山です。
此処は何時までも自然林の楽しめる領域と思いました。
温泉が豊富なのもよろしい。
下山後は温泉、「みゆき荘」で入浴。
明日の予定は天候不良の予想でままならぬが、秋田駒
にらみで「国見温泉」に向かう。

幕営適地も無く、仕方なく駐車場でテントを張る。
疲れと登頂の喜びで大いに盛り上がったが、夜から不吉な雨と嵐の洗礼を受けた。

「まあ、ええことばかりでは、ありませんワ!」

国見温泉の駐車場で幕営
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