ああ、レオン…。
人は、真実だから信じるのではない。信じたいものを真実として受け入れるのだ。…そう言ったのは、誰だったろうか。
僕らは、間に合わなかった。お前は、遠くに逝ってしまった…僕の偶像を抱いたまま。
お前にとっての真実と、僕にとっての真実は、永久に遠く離れたままになった。
それでも、お前も最後には、心の一番深いところで、僕が誰だか感づいていたね。
お前が最後に残した、不思議なほど安らかな笑顔の本当の意味は分からないけれど
…自身の呪縛を逃れて、安らかに逝ったのだと、せめて、僕にはそう「信じ」させてくれ。
さて、レティル、ルー。いよいよだ。
かつてレオンと僕がドラゴンと戦った時、僕らは共に正面突破しようとした。…それが、まずかったと思う。
矢面には、僕が立つ…正確には、ロンダキオンが立つ。君たちは、隙を見て、脇から小うるさく攻めてくれ。
奴は頭に血が上りやすいから、そこにつけ込みたいんだ。冷静な判断をされると、全くやっかいな相手だからね。
だけど、絶対に直撃を受けないよう、気をつけてくれ。
防御を優先させていれば、君たちにとって、奴の攻撃をかわすことは、そう難しくはないはずだ。
深く傷つけようとしなくていい。でも、奴がいらだつくらいの打撃は欲しいんだ。…レティル、頼むよ。
ルー、君にはこの、「神の涙」を預けておくから。ここぞという時には、頼む。
回復が後手に回らないように、でも薬が無駄にならないように…君なら、それが出来るはずだから。
それから、できれば最初に、奴の翼膜を破っときたい。奴に飛行戦をさせないように。
…それに万一、最悪の事態が起きても、奴が飛び去れないように…後から来たアルター達が、奴に止めをさせるように。
だから、僕が奴の背後に回る間、一瞬でいい、奴の気を引いていて欲しいんだ。
でも、そうすると、奴に背水の陣を敷かせる事になるから、それだけ厳しい戦いになることは、覚悟しなくちゃならないけどね。
…と、僕の案はこうなんだけど。何か、意見はないかい?
|