僕たちの空

ススキの茂った場所があった。そこの一角を僕たちは、基地とよんでいた。ススキの野原の真ん中あたりを押し倒して、そこに寝っころがる。そこからみた、丸い小さな空。雲がものすごいスピードで流れ、夏アカネが飛んでいく。あるときは、ぶよぶよにふくらんだ飛行機雲と並行して寝っころがった。精霊バッタがキチキチと音を立てているのを聞きながら、空に吸い込まれていった。子供の背丈では、立っていてもすっぽりと隠れてしまう。かなりススキが密集しているので、一度作った基地にたどり着くのは至難の業だった。大人たちの知らない場所。だから、そこは僕たちの秘密基地だった。