２月３日(土曜日)

寒い朝・・・

　今年２度目の備中ツアー。
今回は２日間の日程がとれたので、いつものように金曜日の夜大阪を出て、
用瀬小屋に到着したのは夜中。寝る用意をしてたら、広島のグループがやってきた。
とりあえず寝る。。。

　７時半に起床。小屋の中の気温は２度を下回っている。。。寒い！
朝食を済ませ「ニューエリア」へ向かうが、駐車スペースに作業車が入っている。
訊くと、今日はダンプが来るらしい。
小屋に車を置いて、歩いてくるのも時間がもったいないので、 そのまま杉田ロックへ行くことにした。
岩場に着くとポカポカで気持ちいい♪

　 まず、いつものように「アップルート左・同右　5.10　」を続けて登る。

　次は「フクチャンのＣ　5.11c　」。
昔のトポでは　5.11b　で発表されているが、小屋の掲示板では　5.11c　になっていた。
登った人の話でも、そのくらいのグレードが妥当のようだ。
出だしのボルト２、３本目あたりからイヤラシイ。
なんとか越え、下部のレッジでレスト。上部はだんだん厳しくなってくる。
ホールドもよく観察しないと発見しずらいものが多かった。
核心を越えたと思ったら、その上のムーヴがさらに悪かった。
ダメもとで突っ込んだらなんとか厳しい部分を抜けられた。
このエリアのちゃんとしたルート、初の完登だ。

ワンテン地獄？

　 次は懸案の「変な事聞いていいですか　5.12a　」。
今まで６回トライしたが、ほとんど最上部で落ちるという、ワンテン地獄になってるルートだ。
ムーヴをよく思い出して登り始める。
中間部のアンダーから立ち上がり、左へトラバースする小核心をこなす。
そしてレスト。
さらに慎重に登り、最後の核心手前のレストポイントへ。。。
今まで何度ここで苦汁をなめてきたことか・・・
しかし、今までの苦労はなんだったのか、ウソのようにすんなり最終ホールドを掴んだ。
登れるときはあっさり登れるものだ。

　 しばらくレストし、隣の「わかって安代！　5.11c/d　」にトライ。
中間のハング越え、リップに立ち込むところでフォール。手順と使うホールドが悪かったようだ。
ＨＤで越え、さらに登るが上の核心部でまたフォール。
ここも使うホールドの手順がややこしい。 ＨＤでムーヴを固めて降りる。

　 Ｎ田さんは「フクチャンのＣ」をＴＲでやる。
１度目はかなりテンションしたが、２度目はノーテンだった。 次はリードできるだろう。

　 今日はこれで終了する。下山し、買い物を済ませ小屋へ行く。
今回は給湯器は直っていた。ぬくぬくの風呂に入って豚シャブを食べる。

２月４日(日曜日)

早起きして・・・

　今日は用事で早く帰らないといけないので、一番に起きる。
と、言っても７時２０分ころだったが・・・

　昨日、行けなかったので「ニューエリア」へ上がる。
阪井さんら島根グループも来ると言っていた。
今日は賑やかになりそうだ。

　まず最初に「フェイス　5.10a　」をアップに登る。
”雨だれホールド”が多くて有効なホールドがわかりづらい。

　 続いてＮ田さんがフラッシュ。
一息ついてたら、みんなが上がってきた。

　今日は時間 も少ないので「時間よ止まれ　5.12a　」に取り付く。
下部はムーヴを思い出しながら登っていくが 、さすがに流れるようには登れない。
核心手前のコルネを取るムーヴ。。。
右手をデッドポイント で出したのだが、掴むところが悪く、フォール。
あきらかにムーヴが間違っていた。
核心は前回 やったムーヴでなんとか抜ける。
ひとまず、レスト。

　 Ｎ田さんが左端の「フェイス　5.10b　」を登るのでビレイする。

迷い・・・

　 時間的に最後のトライ。
さっき、マスモッチやブキちゃんたちが登っていたムーヴを見ると、
核心部は左のサイドプルを使っていた。
亮ちゃんもそのムーヴの方が易しいので、そっちで登ると言う。
うーん、迷いが生まれてしまった。。。

　考えてばかりでも仕方ないので、とりあえず登り始める 。
下部は問題なし。さっき落ちたところも通過。そして核心手前のレストポイントへ。
この期に及んでやっぱりまだ迷ってる・・・
今までやってきたムーヴでいくか、それともまだ試していないが、易しいムーヴでいくか。。。
しばらく考えた後、Ｎ田さんに「今まで通り、右から行く！」と告げて登る。
しかし、４手くらい進んだがフォール。
またしてもダメだった。。。
ＨＤでレストしながら左からのムーヴを試す。
遠いホールドをなかなか取れなかったが、何度かやってるうちに解決できた。
確かにこっちのムーヴの方がちょっと楽に感じる。
次回こそＲＰしたいものだ。

　 ちょっと早いが今日はこれで終わる。来週は一人で来る予定。
元気な島根グループと一緒に登ってもらう約束をした。
三日間、体力がもつかな・・・

２月１０日(土曜日)

一人でドライブ

　今回はパートナーがいなかったので、島根グループと登る約束をし、一人で大阪を出発。
途中、渋滞もあって小屋に着いたのは1時３０。
小屋には２パーティーいたが、片方は遅くまで起きて、だべっていた。
いい大人が「迷惑」という言葉を知らないのだろうか。。。
無視して、とっとと寝る。

　翌朝、待ち合わせは「川エリア」の駐車スペース。
しばらく待って、リョウちゃんとマスモッチ、阪井さん一家が来た。
さっそくエリアに行ったが、壁が濡れてて登れそうにない。
時間も昼近かったので、近いエリアに行こうという話になり、「岡山エリア」へ行く。

岡山エリア

　用瀬小屋の目の前にあるエリアだが、行くのは初めてだ。
アプローチも近く、５分とかからない。
易しいルート（５．８から）もあるのだが、あまり時間もないし、
おすすめの「フェイス　5.11a　」を登る。
エリアの左から２本目のルートで、なかなか面白かった。
マスターでオンサイト。

　２本目は左端の「カンテ　5.10d　」。登ってみると、とても面白い。
グレードは５.１１ａはあると思う。三ツ星！

次は、「４０センチの１本ウンコ　5.11d　」。名前はオゲレツだが、
ルート名は無関係みたいだ。
長いコルネでも垂れてるのかと思ったが、そうでもなかった。
リョウちゃんがヌンチャクを掛けててくれたので、
なんとかＯＳ。 ムーヴも読みどおりだった。ラッキー♪

　　　　　　　　　　　　　　　　　　「カンテ」を登るリョウちゃん→
じゃろう岩へ

　ここで、阪井さんに誘われて「じゃろう岩」に移動。
「よいではないか　5.11d/12a　」をやってみる。
阪井さん曰く、お買い得の１２ａだそうな。。。
リョウちゃんが「一撃できますよ」と言ってたので、その気になって狙ってみることにした。
しかし、１２のＯＳは、なかなか許してくれないものだ。
下部の核心は４度も行きつ戻りつし、なんとか越えたが、上部のスローパーで耐えてるうちに、
本当にパンプアウトしてフォール。
自分の意志とは無関係に指が開いていった。
こんなに限界まで粘ったのは、いったい今まで何度あっただろう。
結果はともかく悔いのないトライだった。
ＨＤで抜けて終了。

　この日はこれで終わる。
高梁で買い物をし、小屋で食事。
皆、平川に行ったようで、小屋は我々４人だけだった。

２月１１日(日曜日)

快晴の朝

　今日はニューエリアへ行くことにした。
空はよく晴れている。日当たりのいいニューエリアは暖かそうだ。

　まず、アップに「ただのアプローチ　5.10d　」を登る。

　次は前回ＲＰできなかった「時間よ止まれ　5.12a　」。
下部を慎重に登る。ところどころ細かいムーヴ、特にフットホールドの位置を忘れていたが、
なんとか最後のレストポイントまでたどりついた。
そして核心のムーヴ。
最後は気合いのデッドポイントでホールドを掴み、
最後のクリップホールドへ。
４回目のトライだった。

　レストして「親の心子知らず　5.12a　」をやる。
核心は４本目のボルト周辺。クリップするムーヴも悪い。
クリップはなんとかこなしたが、その先のムーヴは続かず
フォール。後はＨＤで抜ける。

　最後にもう一度、同ルートにトライ。
今度は４本目のクリップもできなかった。
ヨレヨレで終了点へ。。。

　今日はこれで終了して、下山。
買い物してくれてたマスモッチとブキちゃんと合流し、
すき焼きを食べる。
しかし、若い連中はよく食うなー。。。　　　　　　　　　「時間よ止まれ」を登るリョウちゃん↑

２月１２日(月曜日)

９ヶ月振りの２ルンゼ

　今日は最終日。
２ルンゼへ向かう。
目標のルートは「寺島ルート　5.12a　」。
５月にトライしたが、歯が立たなかったルートだ。

　まず、アップに右端の「フェイス　5.10d　」を登る。

次は「寺島」。リョウちゃんたちにルートのラインを聞くと、
私が春にトライしてたラインと違う・・・
どうやら「トレーニングルート」を登っていたようだ。
グレードは阪井さんによると　５.１２ａ・・・。
登れるわけがなかった。納得。。。

　あらためて「寺島」にトライ。
３日目で疲れていたが、なんとか中間の核心部までは
たどりついた。
しかし、そのムーヴはこなせずにフォール。
ＨＤでムーヴとノーハンドレストの体勢を確認する。
上部はなんとかつながった。
終了点直下が悪かったが、とりあえず全てのムーヴはできた。

　レストして２回目のトライ。
下部はスムースだったが、中間の核心で右足がスリップして
フォールした。ＨＤで終了点へ。。。

夢と憧れのルート

　最後のトライ。もう腕もかなり張ってたので、ヌンチャクを
回収するつもりで取り付く。
下部をこなし中間のレストポイントへ。
右足をニーロックしレストする。
核心のムーヴはフットワークがうまくいき、越えることができた。
こうなるともう落ちられない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ぬれた豆」を登るブキちゃん↑
登る前とは大違い。がぜんやる気が出てきた。
ガバホールド帯を慎重に登り、最後のレストポイント。
回復した頃を見はからって突っ込む。
最後はムーヴを間違えたが、なんとか持ちこたえ、終了点にクリップ。
３回目のトライでＲＰに成功した。
今回のツアーで一番の収穫だった。

　 羽原さんは「夢と憧れのルート」と賞したが、登ってみて納得。
素晴らしい内容のルートだった。
　

２月１７日(土曜日)

”パンチョ”登場・・・

　いつものように前夜発で出発し、土曜日の朝を用瀬小屋でむかえる。
朝食を食べてたら、パンチョさんが現れた。
知る人ぞ知る、ある意味、有名人だ。愛娘の美麻ちゃんと二人できたらしい。
パートナーがいないそうなので、２ルンゼの予定を変更して杉田ロックに向かう。
３歳の幼児にはかなり遠いアプローチなんだけど・・・

　まずアップ用ルートを登る。
下だけでは物足りないので、「変な事・・・」を他人がトライ中なのをいいことに、
ヌンチャクを使わせてもらい、中間部まで続けて登る。

　レストし、「わかって安代！　5.11c/d　」にトライ。
ムーヴは解決したつもりだったのに、右手で持つホールドの位置を間違え、
あたふたしてるうちにフォール。
小さなルーフ越えなので、戻ってやりなおすことができなかった。
反省しつつロワーダウン・・・

　レストし、再度トライ。
今度は一発でハングを越えて立ち込みに成功。
そのまま上部を慎重に登り完登。

便数が少ないのは年のせい？・・・

　Ｎ田さんは「フクチャンのＣ　5.11c　」にトライ。
初リードで核心部のワンテンだった。
次にはＲＰできそうな感じ。

　パンチョさんはあちこち登ってたが、美麻ちゃんと下山するから時間がかかる、
と言うので先に下りてしまった。

　この日は登る本数が少なかった。
朝が遅いし、アプローチも遠いから当然の結果なんだが、
それでも、もう少し数登らないといかんなー。

２月１８日(日曜日)

薄曇りの朝・・・

　今日は７時過ぎに起床。朝食を食べ、ニューエリアへ向かう。
今日の目標は「親の心子知らず　5.12a　」のＲＰと、「二度目の春　5.11c　」のＯＳ。
まぁ、あまり気負いせず、「できたらいいな」くらいの軽い気持ちでやってみよう。

　到着後「ただのアプローチ　5.10d　」でアップ。
そして「二度目の春」にトライ。

　下からオブザベすると、縦ホールドばかり目に付く。
なんとなくムーヴが浮かぶが、スタンスはどうなるんやろ？
とりあえず登り始める。
出だしは問題なし。しかし縦ホールドの連続する部分でムーヴに詰まりフォール。
粘る間もなく、簡単に落ちてしまった。

　この後、Ｎ田さんがトップロープでトライ。
ムーヴはなんとかつながったようだった。

　レストして「親の心子知らず」にトライ。
４本目の厳しいクリップはクリアーしたが、その先のムーヴは続けることができなかった。
このルート、マスターリードではキツイ・・・
ＨＤしてヌンチャクをかける。次のトライでがんばろう。

　今日のニューエリアは私たちの他に１パーティだけ。
静かな一日になった。

核心でスリップ・・・

　レストしても腕はけっこう張っているが、ダメモトで再トライ。
下部を順調に登り、問題の核心部。
厳しいクリップをこなし、左手を甘いホールドで中継し、２手続けてとばす。
しかし、一連のムーヴの途中で左足がスリップ！
Ｎ田さんは下から見て、ダメと思ったらしいが、
なんとかこらえて足を置きなおし、もう一手伸ばしてカチをとった。
自分でもよく耐えてムーヴを続けたと思う。
上部を慎重に登り、終了点にクリップ。
ヒヤヒヤのＲＰだった。。。

　最後に「二度目の春」をもう一度登る。
今度はＲＰに成功。
核心は中間の縦ホールドが連続する部分かと思ったが、続けて登ってみると
悪いのは最後の３メートルだった。

　今回はこれで終了。
次の目標は「美しくカンテ」だ。
こうもり谷の「カンテ」によく似たルートだと思う。
落とすまで便数がかかりそうだが、モチが続くだろうか・・・

２月２５日(日曜日)

戻り寒波・・・

　つい先日まで最高気温が１６度もあったのに、昨日から一転して真冬に逆戻り。
今日は９度までしか気温は上がらないらしい。
よりによって、そんな日に「こうもり谷」に来てしまった。。。

　まず、「パインヒル　5.10c　」をリードする。
ロワーダウンし、そのままトップロープで「哲学の道　5.10c　」を登る。
これでアップを終了。

　対岸の岩場に移動し、Ｎ田さんが「ガングリゴン　5.9　」でアップ。
次に私前回（１／２８）の雪辱を晴らすべく「見たか上山　5.12a　」にトライする。
ムーヴをよく確認し登りだす。
しかし、なんかホールドが湿っぽい・・・
何とかクリップをこなしながら進んだが、３本目のクリップをしたところで耐え切れずにフォール。
寒いからスローパーも止まるだろうと思ったが、けっこう湿度が高いようだ。
しばらくレストしてると、それを裏付けるように、ミゾレとアラレまじりの雪が降ってきた。。。
また、前回のように濡れてしまったら、今日のＲＰは無理だろう。
休憩もそこそこに２度目のトライにかかる。
これで落ちたら今日は諦めよう。
　一手、二手と進む。
クリップをこなしデッドポイントの連発で上部のホールドへ。
しかし、持ち方がベストの位置でなかったので、体勢が崩れかけたが、
なんとか最後のリップのホールドへ右手をデッドする。
止まった。。。終了点にクリップしロワーダウン。なんとかＲＰに成功。
ＯＳもけっして不可能ではなかったのに、はまってワンテン地獄になってしまった。。。
詰めの甘さを実感。。。

逃げてちゃダメだよね・・・

　メインエリアに移る。
「一部損壊」や「活断層」にヌンチャクが残置されてたので、誘惑に負けそうになったが、
自分が逃げてるような気がして、「罹災証明（カンテ　5.12c　」をやることにした。

　ヌンチャクを１０本、ハーネスに下げて取り付く。
カンテを触るのはいつ以来だろう。
ホールドが欠けてからは、上まで抜けてない。
下部は順調に登ったが、例の欠けたホールドのあたりでフォール。
クリップするムーヴをさぐる。
あとは数度のテンションをまじえ、ＨＤで終了点へ。
次回、もしかしてＲＰできるかも・・・

　Ｎ田さんは「パインルーフ　5.11a　」にトライ中。
ムーヴを少しアドバイスしたら、ＨＤしたが解決したようだ。
次のトライは惜しくもワンテン。きっと次はＲＰできるだろう。

　さて、レストし再び「カンテ」。
下部を慎重に登り、中間のレストポイントへ。
問題の厳しいクリップは自分が「いける」と思ったムーヴでやったが、
想像以上に厳しかった。。。
あやうくフォールしかけるが、なんとかこらえて最後のフェース手前まで来た。
交互にシェイクするが、完全には回復しない・・・
呼吸を整えて、最後のムーヴに入る。
そして、最終ホールドの一手前まで来た。左足のフットホールドを探すが、
手がパンプして、慌てているのがわかる。
落ち着いて良い位置に置けない。。。
最後のホールドに手を伸ばそうと、意志は働くのだが・・・
「カンテ」お約束の大フォール。。。
ＲＰは逃したが、限界まで粘ったので「よし」としよう。

　いろんな岩場に行って、いろんな人と接するのは自分にとって、とてもいい刺激となる。
それが備中に行くモチベーションにもなっている。
ホームエリアだけで登っている人たちは、どういう考えでクライミングをしているのだろう。
昔、私のクライミングの師匠はこう言った。

「ルートのマスターになるな。グレードのマスターになれ」

この意味は、ある一本のルートを、ムーヴを覚えて登るクライマーでなく、
たとえ低いグレードだとしてもフェース、クラック、前傾壁、スラブ、
とすべてを登れるクライマーになれ、ということだ。
私も、クラック、スラブのレベルはかなり低いのだが。。。

　楽な道に逃げたらレベルの向上はない。
自分の限界に挑戦し、その限界を引き上げるのがクライミングの喜びなのだ。