8月24〜25日(木・金曜日) 今年の夏休みはお盆をはずして、まとめて取れたので小川山に行くことにした。 一緒に行ったのはHさん。プー太郎なのでこんな休みでも付合ってもらえるのだ。 24日の夜、大阪を出発。中央道の恵那峡SAまで走る。 トイレの裏にテントを張って寝る。 25日、6時半起床。7時出発。 小淵沢ICで高速を降り、途中買い物をして廻り目平キャンプ場に着いたのは、 午前10時過ぎ。適当な場所にテントを張って、近くの「母岩」へ行く。 天気は晴れ。 手始めに「命の母 5.5 」を登る。OS。 次に「悪妻賢母 5.10d 」。これもOS。途中、核心でロックスの4番を使う部分があるが、 ムーヴはフェース的なのでそれほど怖くはなかった。 最後に「登攀のすべてデラックス 5.10c 」を登る。 35メートルと長くて面白いルートだ。当然クラックも出てくるが、レイバックで 片づけることができるので、ここはスムースに通過。 問題は核心部のスラブだ。長い間スラブを登ってなかったので、5.10cのムーヴといえど ここを越えるのには苦労した。なんとかOS。。。 このルート、ロワーダウンができないので懸垂を2回しなければならない。 2回目の懸垂をしようと、ロープを引こうとしたら、末端の結び目をほどいていないのに 気付いた。末端はすでに5、6m頭上。。。 壁の右端のガレから登ろうとしたが、足場の悪さと持てそうだった松の木が枯れて グラグラだったので、諦めてクライムダウン。 結局、エイト結びをロープの途中に作って、ハーネスに安全環ビナで取り、 ルートをA0で登り返してほどきにいった。 このトラブルで下山が遅れ、フロと夕食が遅れてしまった。。。
8月26日(土曜日) 朝、起きると快晴だった。 今日は朝一に「父岩」へと向かう。 「小川山ストーリー 5.9 」を登るために行ったのだが、先客がいた。 先のパーティが終わってからトライする。 Hさん、途中でめげそうになりながらもRP。昔、トップロープで登ったことがあるらしい。 私も登る。4年ぶりくらいに登ったが、適度に難しさが続く。さすが★★★★! いいルートだ。 この1本を登ってから「妹岩」に移動。 こっちはけっこう人が多い。このエリアでのお目当ては「カサブランカ 5.10a 」。 ★★★のクラックだ。どのトポを見ても小川山で3本の指に入る美しいクラックである。 今回のツアーで最も登りたかったのがこの「カサブランカ」だ。 そのためにキャメロットも買い足した。 トライしていた人が2人いたので、どんなふうにプロテクションを使うか観察させてもらった。 OSにはならないが、フラッシュでも充分満足できるだろう。 まず、バンドに上がるまでのクラックが想像以上に悪かった。 こんなんで、上まで抜けられるのだろうか? 止めて降りるなら今のうちやで、と一瞬思ったがバンドに上がれてしまったので もう登るしかないやろ、と自分に言い聞かせる。 フレアーしたハンドクラックを登り始める。途中雨が降ってきた。泣きたくなるぜ。 キャメロットをとりながらなんとか、最後の3mまできた。 残りはフィンガークラックを登れば終わりなんだけど、もうカミングデバイスは フレンズの1番が1個あるのみ。あと2つは使いたいのにー。。。 考えても仕方ないので、意を決めて登りはじめる。 最後のフレンズを使ってフィンガージャムを2手3手と伸ばし終了点までたどり着いた。 正直、クラックはここ数年登ってなかったので、ちょっと無謀かと思ったけど、 人工壁ではあるがパンプ大阪のクラックはことあるごとに登っていたので、 ジャミングの感覚はそれほど無くしていなかった。 ともかくフラッシュできてよかった。。。今度来た時は「クレージージャム」だ! この後「彩花 5.10c 」を登る。 Hさんが先にトライしたが核心で敗退。代わって私が登り、ぎりぎりでフラッシュ。 ほんまに5.10cか!? 11aくらいに感じたけど。。。 まぁそれは私の体調のせいだろう。最近登りこんでないし・・・ この日はこれで終了した。
8月27日(日曜日) 今朝も天気は快晴。 今日はマルチピッチの「ガマルート」を登ることにした。 登るのは6年振りくらいかな。 1ピッチ目、ガマスラブの左の方、5.7くらいを登る。 続いてHさんフォロー。 2ピッチ目、出だしがのフレークを登り、ダイクをトラバースしスラブを直上。 このスラブ部分が悪い!確かグレードは5.9。 Hさん荷物が重そうでつらそうにフォロー。ごめんね。 3ピッチ目、簡単なフェースを登る。上まで伸ばそうかと思ったが一度ピッチを切る。 4ピッチ目、フェースから傾斜の強い凹角。五級くらいらしいが、もっと易しく感じた。 コンティニュアスで10mほど斜面を上がり、左に10mトラバース。 1段降りたところが5ピッチ目の取り付きだ。はるか上にハンガーボルトが見える。 5ピッチ目、出だしでキャメロットを使って、易しい部分を登りハンガーにクリップ。 この後2ヶ所ほど難しいムーヴがでてくる。このルート全体の核心部だ。 Hさん、重い荷物にあえぎながらフォロー。顔は泣いている(^^; ふたたびコンティニュアスで稜線を20mほど登り、最終ピッチ。 6ピッチ目、易しいスラブ(5.4くらい)を登ると、後は立って歩けるほどの 緩傾斜になる。Hさんフォーローで登攀終了。 下降は北面に2回の懸垂でルンゼに降り立った。 今回、念のため50mロープをバックロープで引いていった。 シングルロープ1本で登ったら、最後の懸垂は3回になるだろう。 ギアの整理をしていると、にわか雨が降り始めた。急いで下山する。 雨は1時間ほど降ったが、たいしたことはなかった。 幸運なことに滞在中、雨らしい雨はこの時のみだった。
8月28日(月曜日) 7時起床。今日も快晴だ! 今日は昔から登りたかったルート、「ジェットストリーム 5.10b/c 」を登りに行く。 テント場から林道、パノラマコースを歩いて、ケルンのある踏み跡をたどり 屋根岩2峰の基部へ到着。 さっそく登攀準備をする。「セレクション」に取り付くパーティが1組いる。 準備完了後、基部を3峰のほうに巻いて上がり、取り付きへ向かう。 5分ほど壁を見ながら登ると、ハッキリそれと判るダイクが現われた。 まず、1ピッチ目、まさにトラバースルート。真横に進む。 凹角からフェースに移る場所が意外と悪い。 何度かトライしているうちにテンションしてしまった! あーあ、オンサイトがなくなってしまった。。。 気を取り直し再びトライ。今度はなんとか抜けた。 後はパンプに耐えながらひたすらハンドトラバース。 核心の遠いホールドのムーヴをこなし、ダイクにマントリングで立ち上がる。 思ってた以上に怖いピッチだった。 しかし、プロテクションはすべてハンガーボルトで安心できる。 ルートの中間のアンカーもリングボルト3個で、ステンレスチェーン、 スリングで信頼できる支点だ。 不安ならバックアップに近くのクラックからキャメロットで取ることもできる。 Hさん、何度もテンションをかけながら、泣きっ面でフォロー。 よほど怖かったのだろう。呼吸が荒い。 トラバースはフォローの方がコワイのだ(^^) 2ピッチ目、最初のボルトは見えない・・・ フェースが曲面なのでしばらく進まないと、出てこないのだ。 慎重にダイクをトラバースしていくと、やっと見えてきた。 2ピッチ目のスタートから6、7mくらい先だろう。ムーヴは易しいのだが、 なんせ、高度感がすごいので緊張する。 2ピッチ目の核心は足の入れ替えだった。バランスのいるビミョーなムーヴ。 このムーヴの後はクライムダウンを交え、ルートはやや下降し、 最後はフレークをレイバックで登る。 このフレークにフレンズが1個残置されていた。利用しようとしたが、 流れが悪くなるので結局使わなかった。 自分でキャメロットをセットし長めのヌンチャクで最後のプロテクションを取る。 終了点は「蜘蛛の糸」の上の松の木。 Hさんはワンテンはいったが無事フォローし、懸垂2回で取り付きに降り立った。 想像以上にびびったが、やはりクライミングはこれくらい緊張感がなくては達成感も薄れる。 満足のいく1本だった。 帰りに「ソラマメスラブ」で1本、「ソラマメ 5.9 」を登る。 フリクションで登る完全なスラブのルート。Hさんは敗退。 私が交代して登る。 ボルトのハングだけがクライミングのすべてではない。 フェース、クラック、スラブ、ハング、となんでも登れるクライマーになって欲しいと願う。 もっといろんな岩を登りましょう。。。
8月29日(火曜日) 明日、朝から帰阪するので、登るのは今日が最後になる。 天気は今日も晴れだ! 最終日はふたたびマルチピッチ、「セレクション」を登ることにした。 昨日と同じように屋根岩2峰の基部へ。。。 準備をし、登りはじめる。今日は取り付いている人はいない。 あたりまえか。。。平日やし。 1ピッチ目、5.8のハンドサイズのクラック。キャメロットを3個使い、私がリード。 Hさん、テンション交えてフォロー。 2ピッチ目、5.8のスラブ。Hさんにリードしてもらう。 フェースの真ん中を行く、気持ちのいいピッチだ。 私がフォロー。 3ピッチ目、ノープロのチムニーとなるので私がリード。 バックアンドフットで登り、立木でビレイ。 4ピッチ目、私がリードする。 出だしはオフウィズス。キャメロットの#0.5や#1あたりが使える。 ボルト2個でプロテクションを取り、チムニーを登る。ハーケンもあるが、 フレンズも使える。 凹角の抜け口の岩は乗っかってるだけで、グラグラ動く。 これから登る予定の方はご注意を! 5ピッチ目、昔登った時はルンゼを詰て終わったのだが、 今回はオリジナルラインの残り2ピッチを登ることにした。 「ROCK&SNOW」の小川山特集に載っていたので、登った人も多いだろう。 「クライミングジャーナル」の小川山特集(10年くらい前の号)には、 登る人は少ないと書いていたが、初登者のラインを登ってこその再登といえる。 出だし、いきなりのトラバースは支点がとれず危ないので、いったん5mほど上がり、 スラブのホールドを使い、ルンゼの中の松を掴み、クライムダウンする。 水平クラックに移る前に、木の根でプロテクションがとれる。 クラックはハンドサイズ。キャメロットの#1前後がばっちり効く。 フットホールドは岩茸に覆われて見つけづらいが、足で払い(自然破壊?)、 よく探して足で立つようにすれば、腕力を使わずにすむ。 回り込んだところがビレイポイント。 FIXE製の新しいボルトが2個打たれている。 Hさん、水平クラックをアンダークリングで持ってトラバース。 トップはプロテクションをセットしながらになるので、フォローならではの登り方。 最終、6ピッチ目。ラインは右の斜上するワイドクラックと左のフィストサイズのクラックの 2通りとれる。グレードはそれぞれ5.7と5.8。 当然後者を登ることにした。 立木で1本ランニングをとって、あとはキャメロットの#1、#2、#3が順番に使える。 コーナー状になっているので、足は途中までステミングをすればかなり楽になる。 クラックの抜け口まで来て、「#3があと1個あればいいのにー!」と思ったが、 ないものは仕方ない。右足のフットジャムと右手のフィストジャムで最後の部分を越えた。 最後は駆けるように終了点へ。 Hさん、やはりクラックは苦手。テンション交えて上がってきた。 最後の2ピッチを登るかどうかで、充実度がまったく違う。 1ピッチ目のクラックを登れる人なら大丈夫なので、 これから登る予定の方はぜひ最後の2ピッチも登ることをお勧めする。 下降は2、3峰のコルのほうへワイヤーが続いているので、それを利用して下る。 5分程下るとルンゼに降り立つので、あとは2峰南面よりに踏み跡を下れば、 「ジェットストリーム」、「かたつむり」等の取り付きの横を通り、南面の基部に降りてきた。 帰りは「林のボルダー」で少し遊んでいった。 室井登喜男氏のいわゆる「黒本」をたよりにプロブレムを探す。 3本ほどトライしたが、四級を登るのがギリギリくらいだった。
8月30日(水曜日) 今回のクライミングは昨日まで。今日は朝からテントをたたみ、帰る準備をする。 快適な廻り目平の生活は名残惜しいが、川上村を後にする。 途中、渋滞にもつかまらず、午後4時ころ帰阪した。 |