この手




     立ちすくんで膝を抱える
     やせこけたこの手が嫌いだ

     いつも誰かに手をつないでいて欲しい
     寂しがりやのこの手が嫌いだ

     泣き虫でくちゃくちゃになった顔をつたう
     涙をぬぐうこの手が嫌いだ

     私のやせこけたこの手で
     いったい何が出来るだろう
     明日をいう日を縫いつくろうことが出来るだろうか

     私の寂しがりやのこの手で
     何を抱きしめられるだろう
     あなたと生きるという真実の扉を叩く事が出来るだろうか           2001年 3月





   猫




     僕が歩き出そうとすると
     足に絡みついてくる

     君は猫だね
     じゃれつき からみついて 離れない

     本を読んでいると
     その上をねっころがってじゃまををする

     君は猫だね
     じゃれつき からみついて 離れない

     背中を丸めてまっている
     大きな瞳でまっている
     そういつだってあなたの大きなやさしい手で
     頭をなでられるのをまっている                           2001年 3月