ペンタックス100SDUFIIの使用レポート


通称「ツチノコ」と呼ばれるこの望遠鏡は、淡く広がる星雲・星団撮影用の機材として購入しました。これの初期型である100EDUFはハレー彗星が来た時に発売され、その当時にはなかった10センチの屈折でF4というスペックを武器に、爆発的にヒットしたのを覚えています(私はその頃は貧乏で買えませんでしたが(今もそうですけど))。
あの頃はまだオートガイダーがなかった時代なので、高感度フィルムを使って手でガイド修正しながら撮影するのが当たり前の時代でした。その中でこの速写性を持ったこの望遠鏡が発売されたのですからヒットになったのもわかる気がします。
(私は今でもこの望遠鏡の速写性には助けられています)
初期形の100EDUFは輝星に青ハロもかなりつき、周辺減光もめだったのですが、2代目のSDUFになって青ハロはほとんどなくなり、周辺減光もかなり減っています。3代目のSDUFIIになって、レンズのコーティングなどを見直し、より一層性能がアップしたそうです。

実際に使用するときには、望遠鏡の構造自体がほとんど望遠レンズのような構造ですので(下図参照)、使い方としてはペンタックス67をくっつけて写真撮影専用に使っています。眼視で使ったことは一度もありません。実際この望遠鏡の取り扱い説明書にも「写真専用設計のため眼視では色収差や像の甘さが出る」等と書いてあります。ですので、星野写真用として使わないとこの望遠鏡の意味がないと思います。
あと私はまだ試したことはありませんが、最近はやりの一眼レフデジカメを使って星雲や星団を写してみるのもおもしろいかもしれません。この望遠鏡のF4という明るさと星像の鋭さで、カメラの望遠レンズを使うより(保護フィルターがない分)シャープに写るのではないでしょうか。

望遠鏡自体の使用感としては、ヘリコイドのスムーズな使い心地、望遠鏡のしっかりとした作り、丁寧な塗装、コンパクトさともに満足しています。写真の星像の鋭さにも十分満足しています。ただ、周辺減光(中央集光?)が初期形より減ったとはいえ、若干気になるので、場合によっては自作の絞り環を入れてF5〜6まで絞り完全にフラットな星像を得るようにしています。あと気になる点といえば、望遠鏡にカメラをつけて赤道儀に取り付けようとすると、鏡筒部分が短すぎるために前後のバランスがとれなくなってしまうことです(私は自分で鏡筒バンドを加工してなんとかバランスがとれるようになりました)。これは初めて使ったときはバランスがとれず正直「ムカッ」ときました(笑)。
メンテナンスについては屈折望遠鏡ですからほとんどメンテナンスフリーですし、一般の屈折望遠鏡には必ずある光軸調整ネジもありませんし(最近の望遠鏡にはないものも増えましたね)取り扱いはとても楽です。

今流行のペッツファール光学系を用いたフォトビジュアル望遠鏡と比べると、眼視面では負けてしまう望遠鏡だと思いますが、フォト面では十分対抗できるよい望遠鏡だと思います。
ただやはりオールマイティさには欠けるので「これ一台で月・惑星、星野なんでも」となると苦しいです。そういう方にはペンタックスならSDPシリーズ、タカハシならFSQなどがよいと思います。
今、眼視用の望遠鏡を持っていて、今度、星雲・星団写真を撮ってみたいので望遠鏡の購入を考えているという方にはお勧めの望遠鏡の一つだと思います。

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