ガム星雲の広がり


Gum


 「おおいぬ座」の南部から「ほ座」にかけての天の川を写した作品です。表題にある「ガム星雲」は、写真下方に写っている大きな赤い星雲のことで、視直径は40度ほどもある巨大な散光星雲です。この散光星雲は、中心部で超新星爆発が起こったときの残骸と言われています。その時の爆発の大きさが感じられるガム星雲の広がりです。

 ガム星雲は「とも座」「ほ座」「らしんばん座」「りゅうこつ座」にわたって広がっている星雲です。元々この4星座は、「アルゴ座」という一つの星座でしたが、あまりに大きな星座なので、天文学者ラカイユが4つの星座に分けたということです。
 アルゴ座の元となった冒険船アルゴ号は、ギリシア神話では「50人の勇士を乗せて、金の毛を持つ羊を捕まえに行く船」として描かれています。そんなことを思い浮かべながらガム星雲を見ていると、なんだか船の乗組員の亡霊が星雲になって、ボォーッと光っているような気もしてきますよね。

 この星域は、ガム星雲以外にも比較的大きな散光星雲が存在していて、カラフルなところです。冬の淡い天の川も上から下へと流れて、とても綺麗な写真になりました。南天低い対象ですので、視界が良くないと写しにくい対象ですが、一度撮影されてみてはいかがでしょう。標準レンズぐらいの画角が星雲も写りやすく、最も手頃だと思います。

 撮影条件
SMCPentax105mmF2.4(F4)+ペンタ67にて撮影
P-2赤道儀にてガイド
露出25分 エクタロームE200(+1増感)
撮影地:奈良県十津川村
2004年12月撮影

月刊天文入選作品

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