フィルム減感現像レポート


 ダイナミックレンジの広い冷却CCDや、デジタル一眼レフの普及が進んで、銀塩の旗色はだんだんと悪くなってきました。特に輝度差が大きい天体には、露出寛容度が狭いポジフィルムでは不利になります。画像処理で合成加工してごまかすことはできますが、ポジ自体が変わるわけではありません。

 そこで私は「フィルムの減感という方法で対処してみてはどうだろう」と考えました。撮影対象は、銀河中央部とエッジ部の輝度差の激しいアンドロメダ大銀河(M31)です。

アンドロメダ大銀河
 上の写真はPROVIA400Fを使って40分露出し、現像時に1/2減感してみたものです。極端な画像処理は控えて色調補正のみした画像です。

 天体写真では一般的に増感現像は行いますが、減感現像を行うことは希です。もともと暗い天体を撮るのですから、減感するのもおかしなことかもしれません。しかし減感するとハイライト部がやわらかく仕上がります(コントラストが弱くなります)。これが正しい方法かどうかはわかりませんが、M31中央部の飽和は少なくなっています。下にM31の拡大写真も載せてみました。

撮影データ NFD400F2.8+67 PROVIA400F(1/2減感) 40分露出

M31の拡大写真
 M31部分をトリミングしたものが上の写真です。ここまで拡大すると星像が甘くなりますが、M31の構造はよくわかります。減感現像により銀河中央部分(ハイライト部分)がやわらかくなっているのがわかると思います。

 減感現像は一概にお勧めできる方法ではありませんが、天体によっては好結果が生まれることもあると思います。露出時間が長くなるなどの弊害はありますが、機会があれば試してみるのも面白いかもしれません。

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